しんきんえん心筋炎
心筋炎とは?
心筋炎(しんきんえん)は、心臓の筋肉である心筋の炎症です。心筋は全身に血液をめぐらせるために、心臓を動かす役割をもっています。そのため、心筋に炎症がおこると、心臓がうまくうごかなくなり、心不全や不整脈、呼吸困難などをおこします。
心筋炎の原因になるものは、ウイルスや細菌なども含まれ、風邪をきっかけに心筋炎を発症する場合もあります。また関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患も原因になります。
疑われる場合は循環器内科を受診しましょう。
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心筋炎の症状
発熱、咽頭痛などのかぜ症状の後、胸の痛みや息苦しさなどが見られます。
また急速な病気の悪化から、血圧低下、意識障害、突然死を引き起こすこともあります。
心筋炎の診療科目・検査方法
症状や経過・診察所見に加え、胸部X線、心電図、心臓超音波、血液検査(心筋トロポニン(※3)含む)などにより診断します。
かぜ症状に続いて、胸の痛みや息苦しさが出現した場合には、循環器内科に受診しましょう。
心筋炎の原因
心筋炎の予防・治療方法・治療期間
原因の多くを占めるウイルスに関しては、根本的な治療が難しいです。入院の上、安静を保ち、心筋炎にともなって生じる心不全や危険な不整脈への対応を迅速に行います。
心筋炎の程度、種類、慢性化の有無などによって治療期間は異なります。
主治医の指示に従って通院の継続が必要です。
心筋炎の治療経過(合併症・後遺症)
心筋炎と診断される、あるいは心筋炎との疑いのある場合は入院が必要となります。
心筋炎になりやすい年齢や性別
軽症例は確定診断が困難です。本邦での発症率や死亡率の詳細はわかっていません。
また、発症頻度も不明なため、わかりません。
編集部脚注
※1 関節リウマチ
関節リウマチは、「免疫システムが自分の身体を攻撃する自己免疫性疾患の1つ」です。
自己免疫の攻撃で「関節の炎症」をきたし、関節の中にある「滑膜(かつまく)」の細胞が異常増殖を起こします。
滑膜細胞が異常増殖すると、「マトリックスメタロプロティナーゼ-3(MMP-3)」と呼ばれる物質の産生量が増加します。
MMP-3は、タンパク質を分解する働きがあるため、関節における軟骨の破壊に強く関与します。関節の破壊が進むと、「関節が固まる」「関節が変形する」などの症状が出てきます。
※2 膠原病 (こうげんびょう)
膠原病は、「身体を守るための免疫システムが、自分の身体を攻撃する病気」です。
基本的には、「自己免疫性疾患の同義語」と捉えて構いません。
具体的な病名としては「シェーグレン症候群」「関節リウマチ」「全身性エリテマトーデス」などが知られています。
※3 心筋トロポニン
心筋トロポニンは、「心筋を構成するタンパク質の1つ」です。
通常、血中濃度はきわめて低く、「かろうじて検出できるか、検出不能」です。
しかし、心筋が損傷を受けると、心筋細胞の成分が血液中に出てきて、血中濃度が上昇します。
以上から、心筋トロポニンは「心筋損傷(心筋壊死)の有無」を知るための指標になります。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 近畿大学医学部卒業
東京都老人医療センター(現:健康長寿医療センター)初期研修医
2008年 独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター 後期研修医
2010年 日本医科大学付属病院 循環器内科入局 同大学院生、久保田クリニック副院長
2014年 日本医科大学付属病院 循環器内科助教
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