腎不全とは
腎不全(じんふぜん)とは、さまざまな原因で腎臓の機能が低下した状態のことです。
腎臓の機能がうまく働かないことで、腎臓から体外に排出されるべき水分や老廃物が、血液中にたまります。
腎不全は急性腎不全と慢性腎不全の2つにわけられます。急性腎不全は、数日~数週間で急激に腎臓の機能が悪化します。原因を取りのぞき、適した治療をおこなうことで、再び腎臓の機能が戻る可能性があります。
慢性腎不全は数ヶ月~数年かけて腎臓の機能がゆるやかに悪化していきます。正常な腎臓の機能と比べると30%以下にまで低下した状態です。
慢性腎不全では、機能を失うと治療をおこなっても、その機能を取り戻すことは難しいといわれています。
腎不全の症状
急性腎不全の症状では、急に尿が出にくくなる、尿の色が褐色になるなどの症状とともに吐き気や食欲不振、重症になるとけいれんをおこします。
慢性の場合、初期には症状がほとんどありません。腎臓の機能低下が進んでくると、夜間に尿の量が増え、むくみや倦怠(けんたい)感、息切れしやすくなるなどの症状があらわれます。
急性腎不全と同じく、食欲がなくなったりすることもあります。また、皮膚がかゆくなるなどの症状があらわれることもあります。
急性、慢性いずれの場合も、進行すると本来は尿として排出されていた毒素が体内に蓄積されるようになり、尿毒症をおこすことがあります。
尿毒症になると血液中に老廃物がたまり、水分や電解質の調整ができなくなります。そのため、呼吸困難や心不全、意識障害などの症状があらわれます。
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腎不全の診療科目・検査方法
腎不全は、腎臓内科を受診してください。
体がだるい、手足がむくむ、尿量が少ないなど、体調に変化を感じたら病院で検査しましょう。
尿検査では、たんぱく尿、尿糖、血尿を調べます。血液検査では、クレアチニンや尿素、窒素の数値、eGFRの予想値などを検査します。
腎臓の機能が悪くなると、こうした数値が上がり、どれくらい病気が進行しているかを確認することができます。
超音波(エコー)検査では、慢性腎不全をおこして腎臓が小さく硬くなっている状態などを確認することができます。
診断を確定して、適した治療法を決めるためには腎生検をおこないます。これは腎臓に細い針を刺して腎臓の細胞を採取して、顕微鏡で観察する検査です。
腎不全の原因
腎不全は、急性と慢性では原因が異なります。急性腎不全を放置していると、慢性の腎不全になる例もあります。
急性の場合、体のどこに原因があるかで三つに分類されます。
- 腎前性(じんぜんせい)
腎臓へ向かう前の臓器に異常やケガなどがあり、それが原因になるのもの。出血、心不全、脱水、血圧が急激に低下するショックなど。 - 腎性(じんせい)
腎臓そのものに原因があるのもの。糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)など。 - 腎後性(じんごせい)
腎臓から排尿されるまでの泌尿器でおこるのもの。尿路結石や前立腺肥大など。
慢性腎不全をおこすものは病気や薬剤などです。
主に高血圧症、糖尿病、脂質異常症、腎炎、遺伝性の病気など、さまざまな原因が挙げられます。発症には食生活など生活習慣も大きくかかわっています。
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腎不全の予防・治療方法・治療期間
急性腎不全は、原因にあわせた治療をおこないます。例えば、心不全が原因であれば、心不全を改善する薬剤を使用するなどです。
尿毒症がみられる場合は、腎臓にかわり、機械で尿を濾過(ろか)する人工透析を数日~数週間することがあります。腎臓が正常な機能を取り戻すまでに、数週間~数ヶ月かかります。
慢性腎不全の治療は、今後予想される透析開始時期を少しでも遅らせることが目的です。基本的には、高血圧や糖尿病など、原因となる病気の治療をします。
しかし、ゆっくりと進行する場合が多く、その結果、透析や腎移植が必要となる場合があります。
いずれの場合も、食事でたんぱく質量や塩分をコントロールする食事療法をおこないます。
腎不全の治療経過(合併症・後遺症)
腎不全になりやすい年齢や性別
腎不全の原因になる慢性腎臓病の患者さんは、約1,330万人いると報告されています。男女差は特にありません。
年齢が高くなるにつれて発症しやすくなるといわれています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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