かんしつせいはいえん間質性肺炎
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)とは、肺胞(はいほう)とよばれる肺の組織を隔てる肺胞壁などが炎症をおこす病気です。間質とは肺胞壁や肺を支える組織のことを指します。
間質性肺炎になると肺胞壁などの組織が分厚くなる肥厚(ひこう)がおこります。そのため、肺がうまく膨らんだり縮んだりできなくなることで酸素をうまく取り込めない状態になります。それによって体を動かすと酸素が足りなくなり、呼吸が苦しくなります。
ウイルスや細菌による感染症や薬物などの化学物質、体を守るための免疫機能が自分自身の細胞などを攻撃することでおこる膠原病(こうげんびょう)などの病気など原因はさまざまです。
また原因不明ことも多く、治療法も確立されていないため、生命にかかわることもあります。
初めは痰(たん)の出ない空咳(からぜき)や息切れなどの軽い症状です。
しかし、進行して肺の組織が「線維化」とよばれる、硬くなった状態がひろがると、静かにしていても息苦しくなります。そのため酸素吸入などが必要になります。
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間質性肺炎の症状
空咳、息切れ、発熱が主な症状です。初めは運動や階段を昇るなどで息切れをおこします。次第に少し歩いただけで息が上がったり、肩で息をしたりするなどの症状があらわれるようになります。
2週間以上続く咳や、発熱は他の肺炎でもみられますが、間質性肺炎でも同様の症状があらわれることもあります。
進行すると肺が呼吸時にうまくひろがることが難しくなり、十分な呼吸ができなくなります。
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間質性肺炎の診療科目・検査方法
間質性肺炎の原因
間質性肺炎の予防・治療方法・治療期間
原因により治療法も違いがあります。
例えば感染性ものと原因が特定できたのであれば、感染源に対する治療をおこないます。
薬剤性のものであれば、その薬剤の使用を中止します。塵埃や化学物質などであれば、原因物質の除去がおこなわれます。
膠原病などが原因であれば、それに対する治療をします。その場合の多くはステロイドや免疫抑制薬などによる治療がおこなわれることになります。
特発性間質性肺炎でもステロイドや免疫抑制薬を使用します。抗線維化薬などで進行をくいとめる治療がおこなわれることもあります。
医師とよく相談し治療法を決めていきましょう。
間質性肺炎の治療経過(合併症・後遺症)
原因や状態により予後が大きく変わる病気です。
例えば症状も軽く、薬剤や感染症によるものであれば、ステロイドなどの薬剤にも反応が良好であるものもあります。しかし、特発性で肺の線維化が進んでいる状態であれば、薬による治療は難しく、予後もよくありません。
病気が進行すれば在宅酸素療法で、酸素の日常的な吸入が必要になることもあります。
また間質性肺炎によって、肺がんの発症リスクも高くなるとされています。そのため、定期的な検査を受ける必要があります。
風邪やインフルエンザなどになると、急激に症状が悪くなる間質性肺炎の急性増悪(きゅうせいぞうあく)をおこすこともあるため、日頃からマスクをするなどの予防策が必要です。
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間質性肺炎になりやすい年齢や性別
すべての間質性肺炎の患者数を把握するような統計はありませんが、息切れなどの症状があり、医療機関を受診する人は10万人あたり10〜20人と推察されています。症状がなかったり、治まったりする早期の段階であればこの10倍はいると考えられています。
また、「特発性間質性肺炎」として一定の条件を満たして医療受給者証を取得している患者さんは、2014年度では15000人以上いました。
それぞれの原因や症状によって、発症しやすい年代や性別にも違いがあります。例えば間質性肺炎のなかでも治療の難しい特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)であれば、50代以降の男性に多く確認されます。
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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