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いんふるえんざのうしょうインフルエンザ脳症

更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/01 view数:75,143

インフルエンザ脳症とは?

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症です。死亡することもあり、後遺症が残ることも多くあるため危険な病気です。

症状は嘔吐やけいれん、意識障害、異常行動などが報告されています。インフルエンザからインフルエンザ脳症にかかる頻度は多くはありませんが、子供や高齢者ではインフルエンザ発症時のリスクとして注意する必要があります。発症メカニズムについてはまだ未解明な部分も多くありますが、発熱に何らかの神経症状(具体的には、けいれんや異常行動など)が伴う場合、インフルエンザ脳症が疑われます。
脳症ではないと判断された後、3~5日後にけいれんや意識障害が出現するといった事例も報告されています。

インフルエンザ感染者の中のごくわずかな患者さんが発症する病気ですが、インフルエンザ脳症のリスクを把握しておくことも重要です。子供の場合はインフルエンザ治療薬による異常行動に加えて、脳症の症状による異常行動にも注意する必要があります。
小児科内科などへインフルエンザの受診時に脳症の疑いがあれば、より高度な対応が可能な医療機関へと転送されます。治療法は確立していません。そのため、症状が悪化しないよう支持療法で状態をみながら進めます。脳症に対して炎症を抑えるための治療をおこなうこともありますが、その効果に対して、まだ確証のあるデータはとられていません。

目次
  1. インフルエンザ脳症の症状
  2. インフルエンザ脳症の診療科目・検査方法
  3. インフルエンザ脳症の原因
  4. インフルエンザ脳症の予防・治療方法・治療期間
  5. インフルエンザ脳症の治療経過(合併症・後遺症)
  6. インフルエンザ脳症になりやすい年齢や性別
  7. 編集部脚注

インフルエンザ脳症の症状

インフルエンザによる発熱、呼吸器症状に続いて、意識障害やけいれん、片麻痺、異常行動があらわれます。

分類

インフルエンザ脳症の傾向は非常に複雑ですが、大きく4つの脳症に分類されるようになってきました。

進行が早い分類

急激に発症し悪化する症状変化、びまん性脳浮腫(特定の傾向や部分に限らず広がる脳の腫れ)、多臓器障害、血液障害といった症状をともないやすい脳症の分類です。

このタイプの脳症はインフルエンザ発症後、24時間以内に起こり、進行がはやく、重篤化しやすいのが特徴です。併せて血液凝固や心臓・肝臓・腎臓・骨格筋などの、多臓器の障害をともないやすい傾向があります。

進行がわかりにくい分類

回復や改善をみせたり急変したりする症状の変化、限局性脳浮腫(げんきょくせいのうふしゅ:脳の限られた箇所にみられる脳の腫れ)、大脳皮質(脳の表面。記憶や感覚などを司る)の機能を損なう異常をともないやすい脳症。けいれん重積型と呼ばれます。

この分類では、ほとんどはインフルエンザ発症の24時間以内に15分以上のけいれんを発症します。
回復後に“なんとなく元気がない”“視点があわない”という状況に変わり、その後意識が再び悪化する、といった症状がみられるようになります。

初期には頭部CT、MRIでは異常がみられないことも多く、早期に診断することが難しい症状です。回復後は正常に戻る場合から、重度の障害が残る場合までさまざまです。
後遺症として、薬で発作が抑えられない難治性てんかんになる例も少なくありません。

インフルエンザ発症時に咳や気管支炎を抑えるためにテオフィリンが配合された薬を服用した場合、重篤化するケースがみられるため、使用を控える必要があります。テオフィリンは市販薬にも含まれるため注意が必要です。

インフルエンザ起因で先天的な体質により発症する分類

それまで健康だった小児がインフルエンザをきっかけに先天代謝異常症(通常は先天的なものとして特定の栄養などを分解することができない体質)を発生する場合があります。それに伴い脳症となり、意識障害を起こします。

これはアミノ酸や脂肪の代謝に必要な酵素が働かなくなる、有機酸・脂肪酸代謝異常が原因とみられています。

日本では症例も少ないため馴染みがないが同じく代謝に異常をきたす、古典的ライ症候群と呼ばれる症例もこの分類に入れられられます。この場合、解熱後に肝機能障害と高アンモニア血症(アンモニアの血中濃度があがる症状)から急性脳症をきたします。この症状はインフルエンザなどの感染症を発症後に服用したアセチルサリチル酸(アスピリンの成分。市販の傷み止めにも含まれる)が原因で起こします。

その他分類できないもの

上記3つには分類できない症例です。

「可逆性の脳梁膨大部病変(のうりょうぼうだいぶびょうへん)を有する脳炎脳症」と名付けられた症例の発症メカニズムは明らかになっていません。このケースでは後遺症もなく比較的回復しやすいです。

「難治頻回部分発作重積型脳炎(なんちひんかいぶぶんほっさじゅうせきがたのうえん)」と診断される症例もあります。脳症の進行が進む段階からけいれんが何度も起き、脳症が改善する段階に入ってもけいれんが続きます。

脳症発生時の症状

脳症が発生すると、上記のような状態に陥ることで、意識障害などが現れます。

脳症が疑われる症状としては、

嘔吐
意識障害
乳頭浮腫(眼球と視神経をつなぐ視神経乳頭が腫れる)
脈拍・血圧・呼吸の変化
けいれん
瞳孔・眼球の異常
異常言動や行動

などの症状があります。以下に詳しく説明します。

1.意識障害

呼びかけに答えないなどの意識障害がおこります。軽度の意識障害の場合は判断が難しいため、医療機関で一般的に使われている意識チェックリストを使用し判定されます。リストには「刺激を与えると反応するか」「自分の生年月日を言えるか」「視線があうか」などの項目が設定されており、その項目がどの程度可能かで意識のレベルを判定します。

2.けいれん

インフルエンザに罹患した際のけいれんの症状は単純型、複合型の2つに分類されます。単純型のけいれんに意識障害などを伴う、あるいは複雑型と診断された場合、脳症の可能性を疑われ、早急な入院や精密な検査などの処置が必要になります。

単純型けいれん

「概ね15分以内」「連続しない単発での発生」「半身ではなく、両手両足で起こる左右対称でのけいれん」がおこります。単純型が収まった場合でも経過観察となる場合がある。けいれんが入眠中の症状であれば、必ず意識回復を確認するまでは病院内で経過観察をするなどの処置が必要です。

複雑型けいれん

単純型以外のけいれんを複雑型けいれんと呼びます。「15分以上の長時間けいれんが続く」「左右非対称に発生する」「けいれんを何度も繰り返す」などの症状がみられます。このタイプのけいれんが現れると、経過観察ではなく即座に脳症の可能性を疑います。

3.異常言動や行動

症状の初期に意味不明な言動や自分の手を噛むなどの異常な行動をとる例が報告されている。

ほかには、家族の顔がわからないなどの人物の認知力の低下、幻視・幻覚を見る、恐怖感を感じる、叫ぶ、大声で歌いだすなどの症状がみられる。

中には他人に危害を加える可能性がある行動をとる場合もみられる。一方で話そうとしても言葉が出ない、舌を何度も出すなど異常行動が小さく、第三者が確認しづらいケースもある。

よく似た症状のインフルエンザ脳炎

インフルエンザ脳症とよく似たインフルエンザによる合併症として、ウイルスが脳に入り脳が炎症を起こして腫れる、インフルエンザ脳炎があります。

脳症では脳内にウイルスが確認されないのに対し、脳炎はウイルスが脳内に侵入し神経細胞を直接破壊することで、脳が炎症を起こして腫れやすくなるなどの症状が出ます。つまり、脳内にウイルスの浸潤(広がること)が認められるとインフルエンザ脳炎、脳内でウイルスが検出されないとインフルエンザ脳症とされます。

症状はよく似ており、初期の段階で区別することは困難です。採血などで脳内のウイルスの侵入を調べた結果、脳症か脳炎か判断されます。

インフルエンザ脳症の診療科目・検査方法

死亡例や後遺症が残ることもあり小児科内科での早期の受診が必要です。

脳CT検査、脳MRI検査、脳波測定、血液検査、インフルエンザ抗原(※2)検査、尿検査を実施します。

インフルエンザが疑われる場合は、早急に小児科内科を受診することがインフルエンザ脳症の早期発見につながり、重篤化を防ぎます。その場合、インフルエンザの症状と合わせて診断され、必要に応じて治療や入院が可能な2次、3次の医療機関へ転送されることになります。

神経症状による診断

・意識診断チェックリスト・・・項目の該当数による診断
・頭部CT・・・ 画像検査にて脳の腫れなどの有無の確認
・脳波測定・・・脳波の状態や乱れの有無の確認

などで脳症の可能性を判断します。脳症の可能性が疑われる場合は、早期に対処する必要があります。進行してしまうと、治療の効果はそれぞれ限定的になっていくためです。

インフルエンザ脳症診断の流れ

インフルエンザ脳症の疑いがある場合はおおむね下記の流れで診断されます。

インフルエンザ脳症の疑いがあり来診

脳腫瘍、くも膜下出血など他の病気の可能性を除外

・意識チェックリストを利用したテストにて20項目以上の該当
・頭部CTにて全体または一部分に低吸収域(CT画像が暗く映る)、
脳室が狭くなるなどの診断結果
・脳波測定にて全体的に高い振幅の波形になるなどの診断結果

症状が当てはまればインフルエンザ脳症が確定、当てはまらない場合は経過観察

・過観察中に意識チェックリストに10項目の該経当が24時間継続する
・経過観察中に頭部CT、脳波測定で異常を確認した

・症状が当てはまる場合は脳症としての診断確定。
・その後もけいれんが再度おこる可能性があるため1週間程度は経過観察

インフルエンザ脳症の原因

インフルエンザの発症にともない脳症がおきますが、機序は不明です。
インフルエンザ感染により炎症性サイトカイン(※1)が産生され発症すると考えられています。

脳症に発展する詳細なメカニズムはわかっていません。しかし、インフルエンザ脳症を発症した患者さんを調べると、多くの場合は炎症性サイトカインが急激に増加していることはわかっています。

インフルエンザを発症すると身体がウイルスと戦うために炎症を起こします。炎症が起こると現れる症状が、発熱や咳などです。炎症反応を起こして、身体の外にウイルスを出すことによって、細胞は身体を回復させようとします。

身体の中に炎症が起こっているとき、炎症性サイトカインは血液中で手紙の役割を持ちます。様々な細胞が手紙(炎症性サイトカイン)を別の細胞に送り、手紙を受け取った細胞は書かれたメッセージ通りに動きます。この手紙があるおかげで多数の細胞が組織的に動くことができ、ウイルスを身体から追い出すことができます。

しかし、インフルエンザウイルスは身体での増殖が他のウイルスよりも早いです。そのため、通常なら炎症を抑え身体にとって有益な作用をもたらす炎症性サイトカインが、過剰に分泌されます。この過剰分泌した炎症性サイトカインが、インフルエンザ脳症を引き起こす原因に関わっているのではないかと考えられています。

インフルエンザ脳症の予防・治療方法・治療期間

抗インフルエンザウイルス薬を投与します。
また、脳の炎症を抑える薬(ステロイドパルス療法※3やガンマグロブリン大量療法※4)を投与することもあります。
また、全身状態が悪くならないように管理していく支持療法を併用します。
心肺機能を保つ管理や体温管理を行い、けいれんの治療、頭蓋内圧を抑える薬を投与します。
治療には数週間から数ヶ月かかります。
治療法が確立されていないため、医療機関でも全身の症状を悪化させないよう対処していくことが基本となります。これらは「支持療法」と呼ばれます。診断結果に合わせて「特異的療法」と呼ばれる症状に特化した治療法も用いられます。

支持療法

体全体の状態を悪化させないよう管理する支持療法が、インフルエンザ脳症に直接的に有効なのかは不明です。ただし、脳症の診断前から支持療法を積極的に用いることで、インフルエンザ脳症の重症化の防止には効果が期待できます。
支持療法では患者さんの容体に合わせて様々な対策を行います。内容は「意識レベルの継続的なチェック」「体温の管理」などから「気道の確保」「酸素マスクの着用」など様々です。より高度な医療施設への、安全な搬送計画なども支持療法に含まれます。

特異的療法

医療機関にてインフルエンザ脳症と判定された段階で、脳症に効果が期待される治療法も手段として考慮されます。
発熱の最初期には直接脳症に対し治療効果のないオセルタミビル(タミフルなど)を処方されることがあります。これは解熱効果により病状が改善する可能性があるためです。
ガンマグロブリン(炎症などをおさえる薬品)大量療法は、広く用いられ有効例も報告されています。メチルプレドニソロン(気管支ぜんそくなどで用いられる薬品)大量療法は、早期の段階で行った場合の有効例が報告されています。
しかし、上記の例を含め確立した治療法は現時点ではありません。

インフルエンザ脳症を予防する

インフルエンザ脳症ははっきりとした発生の仕組みがわかっていません。しかし、根本的にインフルエンザを予防することでインフルエンザ脳症の発症は防ぐことができます。
マスクの着用、うがい、手洗いの実施の習慣化などで、まずはインフルエンザにかからない状況を作ることが重要です。
予防接種を受けることによってインフルエンザの発症を防ぐだけでなく、インフルエンザの症状軽減による効果が確認されています。インフルエンザの重篤化を防ぐことで、インフルエンザ脳症が発生する可能性をさらに小さくすることが期待できます。

インフルエンザ脳症の治療経過(合併症・後遺症)

治療は可能であるが、予後は楽観できません。
インフルエンザ脳症を発症すると、早期に死亡、あるいは神経的な障害が発症後として残る場合があります。難治性てんかんや知的障害などの重度の後遺症例も確認されています。
また、発症メカニズムは不明であり、その診断は難しく、症状も一定ではありません。急速に進行する場合もあれば、インフルエンザからの回復後に神経症状がだんだんと重篤化するケースもあります。

難治性てんかん

てんかんは脳の疾患でおこる発作です。ほとんどはてんかんを抑える効果のある、抗てんかん薬の服用で抑えることができます。抗てんかん薬でも発作を抑えられないてんかんを難治性てんかんと呼びます。

知的障害

脳の疾患によって日常生活の中で、不自由が発生する症状が知的障害です。「言葉がはなせない」「計算ができない」など、症状にはそれぞれ個人差があるのも特徴です。

インフルエンザ発症後の脳症による異常行動

インフルエンザ発症後に脳症が発生して異常行動をとる場合があります。小児、未成年がインフルエンザを発症した場合は治療開始後、少なくとも2日は一人にせず見守る必要があります。
異常行動の1つである飛び出しを防ぐため、窓の施錠確認や窓のない部屋で寝かせるなどの処置をとる必要があります。

投薬の種類に注意

強い解熱剤の使用により、急性脳症の発症や後遺症の発生、重度化に影響する可能性がある。インフルエンザ発症時に脳症が疑われる場合は、家庭の常備薬も含めた医薬品の使用には細心の注意が必要です。
悪影響が確認されている成分には、咳止めや気管支炎に使われるテオフィリンがあります。テオフィリンは市販薬にも含まれる成分で、急性脳症の発症、それによる後遺症などに関係しているという報告があります。
他にも鎮痛剤の成分として市販薬にもよく含まれている、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸が死亡率を上げるとされています。
代表的な鎮痛剤であるセチルサリチル酸(アスピリン)は、その使用により古典的ライ症候群を発症する可能性があります。

後遺症へのリハビリテーション

インフルエンザ脳症は、後遺症として症状が残る場合があります。
後遺症には知的障害、てんかん、高次脳機能障害などの精神疾患が残る場合と、四肢麻痺や体の左右どちらか半身だけが麻痺するなどの身体症状があげられます。
リハビリテーションの内容はその後遺症の症状にあわせて行う。たとえば、てんかんの場合は抗てんかん薬による投薬治療を行います。身体的な麻痺症状に対しては、家族や看護師が関節を動かすストレッチを行います。

インフルエンザ脳症になりやすい年齢や性別

例年、100例程度の罹患者が報告されます。5歳未満の乳幼児、10歳未満の学童期に多いです。
国立感染症研究所の報告では、2017年9月から2018年3月にインフルエンザを発症した約2104万に対し、155人がインフルエンザ脳症を発症しました。14万人に1人がインフルエンザ脳症と認められたことになり、その確率は高くはありません。
インフルエンザをきっかけに脳が腫れ、頭の中の圧力が上がり、脳の機能が低下するのがインフルエンザ脳症です。脳症の場合、脳や神経へのウイルスの侵入は確認されません。
2014年~2017年のインフルエンザについて厚生労働省がまとめのデータでは、子供の発症者が多く、10歳未満の症例が平均して50%以上を占めています。2017年に限定したデータでは、インフルエンザ脳症は10歳未満の症例が60%を占め、その中でも5歳未満に絞ると全体の39%になります。したがって、10歳以下の子供がインフルエンザにかかった際は、特に脳症に注意をした方が良いです。
一方で60歳以上の症例も16%あり、高齢者の重篤なインフルエンザ合併症としても注意が必要です。

編集部脚注

※1 炎症性サイトカイン

炎症性サイトカインは、「炎症反応を促すタンパク質」です。
まず、サイトカインは「細胞から別の細胞に、何らかの情報を伝達するタンパク質」です。
もう少し簡潔に捉えて、「細胞間での指示・伝達に使われる物質」と考えていただいても構いません。
以上から、「炎症性サイトカイン=炎症を起こすように指示・伝達する物質」です。

中には「病原体が炎症を引き起こす」と誤解している人もいますが、実際にはそうではありません。
むしろ、身体の免疫システムが炎症を起こします。
炎症反応は「病原体と戦うための免疫細胞を集める」「特定の場所を病原体と戦うための戦場にする」といった反応です。
炎症部位が腫れるのは、「(白血球など免疫細胞を含んだ)血液を集めた結果、膨らんだ」と考えていただいて結構です。
つまり、「炎症=免疫システムが戦闘準備を整え、病原体を排除するための反応」です。
炎症を起こした部位は損傷を受けますが、その代わり、病原体が全身に悪影響を与える状況は回避できます。

簡潔に表現するならば、炎症は「一部を犠牲にして、全体を守るための反応」です。
以上のような理由から、免疫システムは能動的に炎症を起こします。
だからこそ、「炎症反応を促す物質―炎症性サイトカイン」が必要になるのです。
代表的な炎症性サイトカインには、「IL-1(インターロイキン-1)」「IL-6(インターロイキン-6)」「TNF-α(腫瘍壊死因子α)」などがあります。

※2 抗原

抗原は、「免疫システムの攻撃対象となるタンパク質」です。
免疫システムは、「病原体(細菌・ウイルスなど)」「異物」を攻撃する性質を持っています。
このとき、免疫システムは「病原体・異物に含まれるタンパク質」を確認して、「攻撃対象か否か」の判断基準にしています。
このとき、「攻撃対象となるタンパク質」を抗原と呼びます。
身体を守るための「抗体」は抗原と結合(抗原抗体反応)し、「免疫複合体(抗原-抗体複合体)」となります。
あとは、「マクロファージ」「好中球」といった食細胞が免疫複合体を捕食して、処理します。

※3 ステロイドパルス療法

ステロイドパルス療法は、「多量のステロイドを点滴で投与する治療」です。
ステロイドは「免疫反応を抑え、強力に炎症を鎮める薬」です。
ステロイドパルス療法においては、メチルプレドニゾロン500~1,000mgを3日間かけて投与するのが普通です。
「3日間=1クール」として、病状により1~3クールの治療をおこないます。

※4 ガンマグロブリン大量療法

ガンマグロブリン大量療法は、「血液中の液体成分―血漿(けっしょう)に含まれるガンマグロブリンを静脈注射で投与する治療」です。
ガンマグロブリンは「免疫に関与するタンパク質」であり、数多くの抗体を含みます。
多くの提供者から血漿を得て、ガンマグロブリンを抽出したのが「ガンマグロブリン製剤」です。ガンマグロブリン大量療法では、ガンマグロブリン製剤を大量に静脈注射します。
「炎症反応を抑える作用」を持つことから、急性脳症などの感染症にガンマグロブリンを投与することがあります。
「炎症性サイトカインの制御」など、いくつかのメカニズムによる作用といわれています。
しかしながら、現状では「なぜ、ガンマグロブリンの投与で炎症が鎮まるのか」を詳細に解明できているわけではありません。

執筆・監修ドクター

加賀 康宏
加賀 康宏 医師 霞ケ関診療所 院長 担当科目 内科/消化器内科/胃腸内科/循環器内科/呼吸器内科/アレルギー科

経歴2010年 昭和大学医学部卒業
2010年 昭和大学横浜市北部病院初期研修医
2012年 昭和大学横浜市北部病院総合内科
2014年 帰陽会丹羽病院
2015年 昭和大学横浜市北部病院総合内科助教
2017年 霞ヶ関診療所

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