今年も流行?!医師が解説する2018年インフルエンザ|秋の特集

2018年~2019年のインフルエンザ情報

インフルエンザとは?

インフルエンザは「インフルエンザウイルスによる気道感染症」です。

一般に、「高熱」「全身のだるさ」「頭痛」「咳(せき)」などの症状が現れます。
このような「いわゆる風邪の症状」を「感冒様症状(かんぼうよう-しょうじょう)」と呼んでいます。
ただし、インフルエンザの場合、普通の風邪よりも重症化する傾向にあります。

インフルエンザ

症状

普通の風邪

38℃を超えることが多い

発熱

38℃未満にとどまることが多い

急激に症状が現れる

発病

だんだんと体調を崩していく

広く全身に症状が出る

症状の範囲

鼻 / 喉(のど)が中心

身体のあちこちが痛む

関節痛 / 筋肉痛

まったくないorわずかに痛む

後期に鼻水の症状が出てくる

鼻水

初期はさらさら、後期は粘性がある

ひどい咳(せき)が数日続く

咳(せき)

数日にわたって続く

もちろん、症状には個人差があるので一概には言えませんが、おおむね上記のような違いが見られます。

季節性インフルエンザの流行時期

基本的に、インフルエンザは「冬期に流行する感染症」です。
日本国内では「1~2月」が流行のピークとなっています。

例年、11月下旬~12月上旬にかけてインフルエンザを発症する人が現れます
年が明ける頃には罹患(りかん)者が激増し、3月まで流行期が続きます。
4月に入るとインフルエンザの発症は減少し、5月にかけて終息していきます。

上記のように「毎年、冬場に流行するインフルエンザ」を季節性インフルエンザと呼んでいます。

インフルエンザの予防接種

毎年、インフルエンザの予防接種を受けている方も多いと思います。

予防接種に使うワクチンは「ウイルスの病原性をなくしたもの」か「弱めたもの」です。
「ウイルスの病原性をなくしたワクチン」を「不活化ワクチン」と呼び、「ウイルスの病原性を弱めたワクチン」を「生ワクチン」と呼びます。
インフルエンザの予防接種では、不活化ワクチンを用いています。

予防接種の目的は「病気を発症することなく、免疫を獲得すること」です。
不活化したインフルエンザウイルスを体内に入れることで、「インフルエンザウイルスに対する抗体」をつくり出し、免疫を獲得するのです。

しかし、インフルエンザウイルスは毎年、変化を続けています。
今年流行するウイルスは、去年までのウイルスと同一ではありません。
つまり、「これから流行するウイルスのワクチン」はどこにも存在しないことになります。

とはいえ、人間の免疫は「類似したウイルスに抵抗できる」程度には融通が利きます。
そこで、予防接種では「今年流行するウイルスに類似したワクチン」を接種します。

効果的な予防接種のため、世界保健機関(WHO)は毎年、推奨ワクチン株(今年流行すると思われるウイルスに類似したワクチン)を発表しています。
日本では、WHOの情報をもとに国立感染症研究所などが「日本国内で予防接種に用いるワクチン」を決定します。

2018-2019シーズンのインフルエンザワクチン

インフルエンザウイルスの種類は、次のように表現します。

・インフルエンザウイルス命名法

【型 / 分離動物 / 分離地 / 分離番号 / 分離年 / 亜型】

※分離番号の部分に「ウイルスの特徴を示す英数字」が入ることもあります。

・具体例1

【A / Solomon Islands / 3 / 2006(H1N1)】

インフルエンザウイルスA型で、ソロモン諸島にて2006年、3番目に分離された「H1N1亜型」のウイルスであることを示しています。分離というのは「ウイルスを検出すること」であり、分離動物は人間の場合には省略します。

 

・具体例2

【B / Brisbane / 60 / 2008(Victoria)】

インフルエンザウイルスB型で、ブリスベンにて2008年、60番目に分離された「ビクトリア系統」のウイルスであることを示しています。

2018-2019年の冬における「インフルエンザウイルス流行予測」をもとに、今年度のワクチン株は次のように決まりました。

【2018-2019シーズン:インフルエンザワクチン株】

4価ワクチンとなっており、次の4種類のウイルス株が使われています。

 

・A / Singapore / GP1908 / 2015(H1N1)pdm2009

2015年にシンガポールで分離された「H1N1亜型」のA型ウイルスです。2009年にパンデミックを起こした「pdm2009」のウイルス株になります。

 

・A / Singapore / INFIMH-16-0019 / 2016(H3N2

2016年にシンガポールで分離された「H3N2亜型」のA型ウイルスです。

 

・B / Phuket / 3073 / 2013(Yamagata

2013年にプーケット(タイ)で分離された「山形系統」のB型ウイルスです。

 

・B / Maryland / 15 / 2016(Victoria

2016年にメリーランド州(アメリカ合衆国)で分離された「ビクトリア系統」のB型ウイルスです。

世界保健機関(WHO)によると、「インフルエンザワクチンの接種で重症化を抑えることが期待できる」とのことです。
予防接種をしてもインフルエンザにかかる恐れはありますが、重症化のリスクを下げることができます。

インフルエンザの潜伏期間

潜伏期間とは病原体が体に侵入して発症するまでの期間を指します。
インフルエンザウイルスは、体に入ってから発症するまでが24~72時間程で潜伏期間が比較的短い病原体です。

発症後は、38度以上の発熱や頭痛、せき、痰、鼻水、関節・筋肉痛などの症状が現れます。
また、インフルエンザウイルスは発症する前から感染力を持っているため、発症に気づいた後に学校や仕事を欠席していたとしても、飛沫感染接触感染により周囲の人に感染するリスクがあります。

インフルエンザの感染経路について

・飛沫感染

感染している人がくしゃみやせきをして、唾液が空気中に飛び散るとインフルエンザウイルスも同じく空気中に舞います。
周囲の人がウイルスの混じった空気を吸い込むと体内に入り、感染します。

・接触感染

感染者が手についた唾液や粘液を洗い流さず、公共のもの、例えばドアノブやつり革などの共有物に触れ、周囲の人もウイルスのついたものを触った場合、触った手から鼻や口、目の粘膜に付着して感染します。

流行時期の予防方法は?

・手洗い・うがいを徹底する

帰宅後や食事前は必ず手を洗いウイルスを洗い流します。
うがいは乾燥を好むインフルエンザウイルスから口の粘膜を潤して、守る役割があります。

・人ごみを避ける

インフルエンザウイルスは人から人へ感染します。
そのため、感染者がいるかもしれない人ごみは極力避けましょう。

・人が多いところへやむを得ず行く場合はマスクを着用する

人が多い場所へ訪れなくてはならない場合は、マスクを着用します。
飛沫感染を防ぐと同時に自分が感染していた際は、ほかの人への感染予防になります。

・適度な休息と栄養補給

寝不足や栄養不足は体の免疫力を低下させ、感染リスクが高まります。
適度に睡眠や栄養ある食事をとってウイルスに強い体づくりをしましょう。

・湿度を適度に保つ

インフルエンザが流行しやすい冬場は、湿度が低く乾燥しがちです。
加湿器やぬれたタオルを置くなどして乾燥を防ぎます。 

・予防接種を受ける

インフルエンザワクチンを接種することでインフルエンザウイルスへの抗体が形成されて、万が一発症した際も軽症で済むといわれています。

・検査の種類

1 迅速抗原検出キットによる検査
2 核酸検査

医師へのQ&A

医師へのQ&A

Q1 インフルエンザに感染した場合、入浴は可能でしょうか?
シャワーのみであればいい、浴槽に浸かるのは問題あるなどがあれば教えてください。

「インフルエンザに罹患したからといって入浴やシャワーが問題となることはありません。
ただし、入浴はそれなりに体力を消耗しますので、体調が悪ければ無理に入らないほうがいいです。」

Q2 家庭内で感染者が出た場合の生活で気をつけるべき点について教えてください。
例えばトイレが二つ以上ある場合、トイレは別にするべきなのでしょうか?
また、一つしかない場合でも、対処方法があれば教えてください。

「インフルエンザの感染経路として飛沫感染や接触感染があります。
ですので、感染者と非感染者の生活エリアを分けることが望ましいです。
そのためトイレが2つ以上ある場合は、別にすることをお勧めします。
もし一つしかない場合、ドアノブや便器などの消毒をしてください。」

Q3 インフルエンザに感染した際に避けたい食べ物はございますか?

「避けたい食べ物は特にありませんが、感染した際には食欲も低下するでしょうから、できるだけ消化に良いものを摂ることが望ましいです。
水分については、発熱により脱水になりやすいため、アルコールやカフェインなど利尿作用のある飲み物は控えていただくことが望ましいです。」

Q4 インフルエンザの可能性がある場合に来院するときの注意点を教えてください。

「インフルエンザに罹患している可能性があれば、受診先の医療機関がインフルエンザ患者さんの対応時間帯を設けていることがありますので、受診前にその確認を電話やサイト上で確認していただくと良いでしょう。
また医療機関の受付でインフルエンザの可能性があることをお伝えください。
そして受診の際は必ずマスクを着用してください。それと他者への感染を防ぐため、医療機関まではできるだけ公共交通機関を使わないことをお勧めします。」

Q5 仕事や学校にはどのタイミングで復帰することができますか?

「登園や登校については、発熱の日を、0日目として、6日目で、かつ解熱し始めた日(0日目)から4日目(小学生・中学生は3日目)が最短の登園・登校可能日となります。
仕事については厳密には統一したルールはなく、職場毎のルールでの対応となります。
職場にルールが無ければ原則上記の登園や登校のルールに準じていただくことが望ましいです。」

Q6 夏でもインフルエンザに感染することはあるのでしょうか?

「あります。冬だけでなく、春や夏に感染が流行することもあります。季節が違うからといって、インフルエンザ感染を否定することはできません。」

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病気スコープ編集部
2018年8月22日

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