けっかんしゅ血管腫
血管腫(けっかんしゅ)とは、血管が広がったり増えたりすることによって発生する腫瘍のことです。
さまざまな種類があり、代表的なものでも「単純性血管腫」「いちご状血管腫」「海綿状血管腫」「動静脈血奇形」のように分類されていました。
昨今は、血管内皮細胞の増殖があるものを「血管腫」、その増殖がなく脈管の形成異常によるものを「血管奇形」と分類され、別の病態という認識が広がり、分けて考えることが主流となっていますが、その分類について正式に統一されているわけではありません。
血管腫の中でも、発生頻度の高いものとして「乳児血管腫(いちご状血管腫)」「毛細血管奇形」「静脈奇形」「リンパ管奇形」「動静脈奇形」などがあげられます。
血管腫の症状
血管腫は細胞の増殖により大きくなり、治療をしなくても年月をかけて自然になくなっていく腫瘍です。一方、血管奇形では細胞の増殖はなく、体が成長するのに伴い大きくなるのが一般的です。
妊娠、生理といったホルモンバランスの変化や外傷、感染症などの刺激により急激に大きくなることもあります。
発生部位や血管腫の種類によって症状は異なり、痛みを生じるものや出血があるもの、潰瘍を伴うものなどさまざまな種類があります。
症状の重いものでは、運動機能障害を及ぼしたり、循環動態に異常をきたしてショック状態になり、生命に関わるようなものもあります。
血管腫の診療科目・検査方法
問診による病歴の確認、視診、触診、超音波エコー、CTやMRIなどによる画像検査といったものが主流です。
血流の確認の為に造影検査やカテーテル検査をおこなうこともあります。
自然消滅するものもあり、積極的な治療はされないことが多いが、発生部位によっては治療が必要な場合もあるため、専門医師による診察を受けた方が良いです。
最近では保険治療で内服薬が使えるもの、早急に外科処置を要するものもあり、発見と同時に受診する必要があります。また、消滅後の皮膚のたるみ、シワを考慮して、早期の治療が望ましいこともあります。
顔に発生している場合には、眼、脳にも同様のものが存在する可能性があるため、検査を受ける必要があります。
血管腫の原因
原因は多様であり不明な部分も多いです。
例えば「いちご状血管腫」とよばれるタイプのものは胎児の時期に、既に発生し出生時に発見されることもあります。もしくは出生時には気づかれずに成長過程で発見される場合もあります。
大多数の場合は、先天的な要素が強いとされています。
「なぜ血管の拡張や増大が起き、腫瘍が発生するのか」「なぜ血管やリンパ管の変形が起こるのか」など、その原因は、現段階では多くの部分ではっきりと明かされていません。
ただし、一部の血管腫は、血管内皮細胞の異常が原因であるということはわかっています。
血管腫の予防・治療方法・治療期間
圧迫療法、薬剤療法、手術、レーザー治療などの治療方法があり、その症状や発生部位によって、適した治療法は異なります。
患部の周囲に機能異常の恐れがない乳児血管腫の場合、自然消失を待つこともあるが、その際は治癒に小学校低学年頃までかかります。
他の治療法も、切除手術以外は消失するまでにそれなりの期間が必要です。
血管腫の治療経過(合併症・後遺症)
乳児血管腫の自然消失を待った場合、他の部位と見分けがつかないほどに治癒することもあります。一方で皮膚の質感異常や皮膚の変色が残ることもあります。
切除手術は確実に血管腫を取り除くことができますが、傷跡が残ってします。
硬化療法を選択した場合は治癒の後は患部に傷は残りません。しかし薬の副作用が発生する可能性もあります。
症状や発生部位によっては、切除手術後でも再発の恐れもあります。
血管腫になりやすい年齢や性別
血管腫の中で最多なのは乳児血管腫であると言われており、乳児期の女児、未熟児、多胎妊娠による乳児、色白の乳児に多い傾向があります。
血管奇形は、胎児の時から発生していても出生時には気づかれず、成長するにつれ発見されることが多いです。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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