ひとつのIDでさまざまな施設の順番待ち・予約が可能

EPARKグループ

夜間・休日に電話1本で医師がご自宅へ

急な発熱時など往診(自宅で診察・処方)の無料電話相談を受付しています。

0066-98090-0345523(無料電話相談)

夜間・休日に電話1本で医師ご自宅へ

今すぐ電話する無料電話

しんぞうべんまくしょう心臓弁膜症

更新日:2022/08/10 公開日:2019/05/30 view数:4,430

心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)とは、心臓の弁が正常に機能しなくなり、血流が悪くなることや逆流するなど心臓のポンプ機能が低下する病気です。
心臓は血液を全身に送るポンプの役割をしており、生命活動に欠かせない臓器です。
この心臓は「右心房」「右心室」「左心房」「左心室」の4つの部屋で構成されており、それぞれの部屋の出入り口に弁がついています。
弁は4つあり、左心室と大動脈を隔てる「大動脈弁」、左心房と左心室を隔てる「僧帽弁(そうぼうべん)」、右心房と右心室を隔てる「三尖弁(さんせんべん)」、右心室と肺動脈を隔てる「肺動脈弁」があります。
この心臓弁があることで、血液が流れるときは開き、流れ終わると閉じます。
しかし心臓の弁が異常をきたすと、血流がせき止められたり、逆流したりすることがあり、結果さまざまな症状があらわれます。

また心臓弁膜症は異常が発生した弁の場所と状態によって、より細かく病名を分類します。
弁が正常に閉じない状態を「閉鎖不全症」といい、逆に開かなくなり血液が流れにくい状態を「狭窄症(きょうさくしょう)」といいます。
例えば大動脈弁が閉じにくい状態にある場合は「大動脈弁閉鎖不全症」と診断されます。

目次
  1. 心臓弁膜症の症状
  2. 心臓弁膜症の診療科目・検査方法
  3. 心臓弁膜症の原因
  4. 心臓弁膜症の予防・治療方法・治療期間
  5. 心臓弁膜症の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 心臓弁膜症になりやすい年齢や性別

心臓弁膜症の症状

心臓弁膜症は無症状のことが多いです。
症状があらわれた場合は息切れや胸痛、食欲不振や疲れやすい、むくみといった症状がおこります。
これらは弁膜症が進行し、心不全に発展した際の症状で、他にも「夜寝る時に息苦しい」「咳やたんが出やすい」などがあります。

さらに心臓の動きが悪くなることにより血液がよどみ、血栓ができることもあり「脳卒中」の原因になることも考えられます。

上述以外の症状で、障害がおきている弁の場所により、異なった症状があらわれます。

大動脈弁狭窄症

大動脈の弁が硬くなり、開きが悪い、あるいは閉じていて血流が悪くなる状態。動作にともなって胸痛がしたり、突然意識を失ったり、息苦しさや足のむくみなどがあらわれます。
しかし、大抵は無症状のことが多く、自覚症状があらわれた場合は進行しているため早急な治療が必要になります。

大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁が閉じにくい状態です。
左心室が送り出した血液は本来大動脈から全身へ届けられるが、弁が閉じないことで逆流し、一部が左心室へ戻ってきます。
そのため、左心室は送り出さなければいけない血液量が増えるため、負荷が大きくなり、心肥大をおこします。

主な症状は「息切れ」「咳が出る」など心不全の兆候と、「動悸がする」「脈がとぶ」などの不整脈の兆候があらわれます。

僧帽弁狭窄症

左心房と左心室を隔てる僧帽弁が開きにくくなることで、左心室への血流が悪くなります。
左心室へ血液を送り込もうと左心房に高い負荷がかかることで左心房が大きくなります。
これにより心房細動という種類の不整脈がおこります。

また、左心房内の血流が悪くなることで、左心房内に血栓ができます。
呼吸困難やむくみなどの心不全の症状があるが、無症状のことも多いです。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁が閉じにくくなることで、左心室から本来は大動脈へ送られるはずの血液が左心房へ逆流します。
これにより左心室は、大動脈へ通常の量の血液を送ろうと負荷がかかり、肥大します。
また左心室から逆流した血液が左心房へも負荷をかけます。
息切れ、むくみなどがあらわれます。不整脈の原因になっていることもあります。

三尖弁狭窄症

全身から右心房へ戻ってきた静脈血が、三尖弁が開きにくいために右心室へ流れ込むことができなくなります。
行場のない静脈血は左心房へ卵円孔を通って流れ込みます。
そのため酸素の少ない静脈血が動脈血にまざり、酸素含有量の低下がおこります。

まれな先天性疾患であり、後天的にはほぼおこりません。
足にむくみが出たり、腹水や肝臓の肥大がおきたりします。

三尖弁閉鎖不全症

右心房と右心室を隔てる三尖弁が閉じにくい状態になります。
右心室は肺動脈へ血液を送り出しているが、三尖弁の閉鎖不全により、肺動脈へ送り込むはずの血液が右心房へ逆流し、右心房、右心室ともに負担がかかります。
軽度であれば、自覚症状はほとんど見られません。
重症になると「腹部不快感」や「全身の倦怠感」、「虚脱感」などの症状があらわれることもあります。

肺動脈弁狭窄症

右心室と肺動脈を隔てる肺動脈弁が開きにくいです。
そのため右心室に負荷がかかり肥大します。
重症化すると低酸素血症(チアノーゼ)がおこることもあります。
ほとんどの場合は先天性によるもので軽症であれば成長とともに改善することもあります。

ただし重症の場合は手術が必要になることもあるため、油断は禁物です。

肺動脈弁閉鎖不全症

肺動脈弁が閉じにくいことで、肺動脈の血流が額瘤して右心房に戻ってきます。
症状は特にない場合が多いが、まれに心不全のような症状があらわれることがあります。

 

これらは進行性があり、速度などはそれぞれ異なりますが、心臓弁の状態にあわせて症状も進行していきます。複数の弁に異常が併発することもあります。

心臓弁膜症の診療科目・検査方法

心不全をおこす可能性もあるため、疑わしい場合は心臓血管外科にて検査をおこなうことが望ましいです。

聴診により心雑音が確認された場合は、超音波(心エコー)検査をおこないます。

このエコー検査で比較的容易に重症度まで判定できます。
その際、重症であると判定された場合は心臓カテーテル検査をおこないます。
心臓が拡大している場合は、胸部レントゲンにより確認できます。また心電図による検査をおこなうこともあります。

心臓弁膜症の原因

さまざまなことが原因になりえます。

先天的に弁が開きにくい、閉じにくいという場合もあれば、加齢によっても同じことがおこります。

大動脈弁狭窄症では加齢による硬化や高血圧、高コレステロール血症、リウマチ熱などが原因として挙げられています。
近年では特に動脈硬化が原因で引きおこされることが多くなっています。

大動脈弁閉鎖不全症は、本来3つあるはずの弁(三尖弁)が、未発達により2つ(二尖弁)となる先天的な原因があることや、加齢によるものなど、大動脈弁自体の変性が原因になることが多いです。
また大動脈瘤など、大動脈に関する疾患が原因となっておこることもあります。

僧帽弁閉鎖不全症は、「腱索(けんさく)」という左心室から僧帽弁を引っ張っている筋が伸びたり断裂したりすることで、弁を支えることができなくなることでおこります。さらに心房細動などの不整脈が原因で引きおこされることもあります。

肺動脈弁や三尖弁の狭窄症はその多くが先天的な異常により発症します。
逆に肺動脈弁閉鎖不全症は、薬剤や他の疾患に起因しておこることが多いです。

心臓弁膜症の予防・治療方法・治療期間

軽症であれば経過観察をおこないます。
心臓の機能に障害がない場合は、薬物療法を用いて、心臓の機能を保護し、自覚症状の発症を遅らせます。

薬物療法などの内科的療法で治療の限界がある場合は手術療法を検討します。
バルーンをつかった治療法やカテーテルでの治療、人工弁に置き換える人工弁置換術など、症状にあわせて術法を検討する必要があります。
僧帽弁狭窄症では血栓ができやすい状態を抑制するためワーファリンを服用します。

心臓弁膜症の治療経過(合併症・後遺症)

薬物療法をおこなっていても心臓弁膜症はゆっくりと進行します。
そのため、最終的には外科的治療を選択することもあります。
術法も新たな工夫がされており、治療成績は悪くありません。

人工弁を使用する場合は年数により劣化し破損する可能性も考えられます。
また感染性心内膜炎や血栓などに注意する必要があります。
血栓をできにくくするために「ワーファリン」という薬を服用している場合は、血がとまりにくくなるため、外傷などに注意し定期的に血液検査を受ける必要があります。

心臓弁膜症になりやすい年齢や性別

心臓弁膜症の患者数は200~300万人と推計されています。また手術数は2014年には22,816件でした。

この数値は高齢化に比例して年々、上昇しています。
性差については特に言及されていません。

執筆・監修ドクター

伊藤 幹彦
伊藤 幹彦 医師 伊藤メディカルクリニック 院長 担当科目 心臓血管外科/循環器内科

経歴1993年 東京医科大学 卒業
東京医科大学 第2外科(心臓血管外科)入局
東京医科大学霞ヶ浦病院 循環器外科助手(現 東京医科大学茨城医療センター)
東京医科大学第2外科助手
新潟こばり病院 勤務(現 新潟医療センター 心臓血管外科)
東京警察病院 外科 医長 (血管外科責任者)
伊藤メディカルクリニック 開業
現在に至る

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
※メールアドレスをご入力いただいた方には、改善結果をご報告致します。
コメント(オプション):

関連する病気

心臓弁膜症以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。

関連カテゴリ

心臓弁膜症に関連するカテゴリはこちら。

関連コラム

「心臓弁膜症」に関するコラムはこちら。