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せんてんせいしんしっかん先天性心疾患

更新日:2022/08/16 公開日:2019/01/31 view数:2,763

先天性心疾患とは?

先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん)は先天的な要因でおこる心臓の疾患を指す言葉です。

頻度(ひんど)の多い症例だと、心室中隔欠損症、肺動脈欠損症などがあります。また、動脈管が自然に閉じずに開いたままになる動脈管開存症も先天性心疾患の一つです。

自然に治癒したり、治療が必要のない程度ものから、手術が必要になるものまでたくさんの種類があります。先天性であっても大人になってから症状が出始める症例も存在します。

目次
  1. 先天性心疾患の症状
  2. 先天性心疾患の診療科目・検査方法
  3. 先天性心疾患の原因
  4. 先天性心疾患の予防・治療方法・治療期間
  5. 先天性心疾患の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 先天性心疾患になりやすい年齢や性別
  7. 編集部脚注

先天性心疾患の症状

チアノーゼ(体の酸素が足りない状態)、息切れ、むくみなどの重症なものから軽症のものまであります。

合併症として:脳膿瘍(※1)、奇異性塞栓症(※2)、赤血球増加症、感染性心内膜炎※3)、不整脈などがあります。

先天性心疾患の診療科目・検査方法

血液検査、心電図、心臓超音波、胸部レントゲン、心臓カテーテル検査。

精密検査を受ける必要があるため、小児科循環器内科を受診すべき。

先天性心疾患の原因

出生時の心臓や血管の発生過程(生まれてくるまでの間)の構造異常が原因とされています。

先天性心疾患の予防・治療方法・治療期間

内服治療、心臓カテーテル治療、手術治療などが挙げられます。

重症なものから軽症のものまであり、個々の病気によって異なります。

先天性心疾患の治療経過(合併症・後遺症)

治療は可能ですが、長期的に検査、観察が必要なケースもあります。

先天性心疾患になりやすい年齢や性別

先天性心疾患の発生頻度はおよそ1%です。

頻度の高いものから、心室中隔欠損症(※4)、肺動脈狭窄症(※5)、心房中隔欠損症※6)(成人では最多)、ファロー四徴症(※7)などがあります。

出生時から症状が出るもの、成人してから症状が出るものがあります。

編集部脚注

※1 脳膿瘍(のう-のうよう)

脳膿瘍は、「脳が細菌感染を起こし、脳内に膿が溜まった状態」を指します。
健康な状態であれば、本来、脳は無菌状態です。
しかし、身体のどこかに細菌感染症があると、血流に乗って細菌が運ばれてくることがあります。
創傷感染(そうしょう-かんせん:ケガをした場所の細菌感染)、気管支炎、副鼻腔炎、虫歯など、さまざまな感染症が、脳膿瘍の原因になり得ます。

脳膿瘍になると、
・発熱
・頭痛
・嘔吐
・意識障害
・手足の麻痺
・痺れ / 痛みなどの感覚障害
・精神障害
などの症状が現れます。

※2 奇異性塞栓症(きいせい-そくせんしょう)

奇異性塞栓症は、「静脈で生じた血栓が、心臓の左心系に入りこむことで生じる病気」です。
血栓は、「血管内で血液が固まったもの」です。
血管に詰まれば、その部分の血流が止まります。
そして、心臓の左心系は、「全身に向けて血液(動脈血)を送り出す場所」です。
静脈の血栓が左心系に入ると、「血栓が(動脈血の流れに乗って)脳などの部位に入りこみ、重要な血管を詰まらせる」という恐れが出てきます。

「静脈の血栓が左心系に入る理由」としては、「卵円孔開存(らんえんこう-かいぞん)」「肺動静脈瘻(はいどうじょうみゃく-ろう)」が知られています。
卵円孔開存は、「左右の心房が小さな穴でつながった状態」です。
胎児のころ、左心房と右心房は1cm程度の穴―卵円孔でつながっています。
通常、卵円孔は生後に閉じますが、これが残ってしまった状態を卵円孔開存と呼びます。
卵円孔があると、(基本的には力を入れた拍子に)右心房の静脈血が、卵円孔を通って左心房(本来、動脈血だけが存在)に入りこみます。
このとき、静脈血に混じって「静脈内の血栓」が左心系の左心房に移動する恐れがあります。

肺動静脈瘻は、肺動脈と肺静脈がつながった状態です。
この状態では、やはり静脈血が動脈血の中に入りこんでしまいます。
静脈血と同時に、「静脈内の血栓」が動脈血に混じる恐れもあります。
肺を循環した血液は左心房に戻り、左心室から再び全身に送られます。
やはり、血栓が左心系を介して、全身をめぐる状態です。

「静脈内の血栓」が全身をめぐり、たとえば脳の動脈に詰まった場合、「奇異性脳塞栓症」と呼ばれます。塞栓症は、「血管が詰まる病気」という理解で問題ありません。

以上をまとめると、奇異性塞栓症とは「静脈血が動脈血に混じってしまう状態」を前提とする塞栓症です。

※3 感染性心内膜炎(かんせんせい-しんないまくえん)

感染性心内膜炎は、「心臓の内部が細菌感染を起こす病気」です。

感染箇所になりやすいのは、
・心臓内部に生じた傷
・血液の逆流を防止する心臓内の弁
の2つです。

身体のどこかで細菌感染が起こると、血液中に細菌が入りこむ場合があります。
すると、細菌が血流に乗り、心臓内にも入ってきます。
このとき、「心臓内部の傷」「心臓の弁」に細菌が棲みつき、増殖する恐れが出てきます。

心臓内部に細菌の棲み処(感染巣)が形成された状態を、感染性心内膜炎と呼んでいます。発熱、全身倦怠感などの一般的な感染症状に加え、心雑音、呼吸困難、浮腫(むくみ)といった心不全症状をきたす恐れがあります。

※4 心室中隔欠損症

心室中隔欠損症は、「右心室と左心室を隔てる壁に穴があいた状態」です。

心室中隔欠損症の半数程度は生後1年が過ぎるまでに自然閉鎖(穴がふさがって自然治癒)します。
しかしながら、自然閉鎖しなかった場合は外科手術による治療の対象となります。

心臓の内部は4つの部屋にわかれています。

・右心房
⇒全身から返ってきた静脈血を受けとる部屋

・右心室
⇒右心房から流入した静脈血を肺に向けて送り出す部屋

・左心房
⇒肺から返ってきた動脈血を受けとる部屋

・左心室
⇒左心房から流入した動脈血を全身に向けて送り出す部屋

以上から「右心系(右心房・右心室)は肺への循環」「左心系(左心房・左心室)は全身への循環」という役割分担があることがわかります。
「右心系の血液」と「左心系の血液」が心臓内で混じることは(健康な人ならば)あり得ません。

しかし、左右の心室を隔てる壁に穴があいている場合、本来、混じるはずのない左右の血液が混じることになります。

また、左右心室の「血液を送り出す勢い(=血圧)」は同レベルではありません。全身に血液を送る左心室は、肺に送るだけの右心室と比較して、圧倒的に高い圧力をかけています。
そのため、左右心室を隔てる壁に穴があいていると、「血液が左心室から右心室に(圧力が大きいほうから小さいほうに)移動する」という現象が起こります。
これは、「全身に送るべき動脈血の一部が、再び肺に送られる状態」です。

とはいえ、全身が必要とする血液量は変わりません。
左心系は「全身が必要とする血液+再び肺に送られる血液」をまとめて送り出す必要に迫られます。
この状況に適応するため、左心房・左心室が通常より大きくなります。
ですが、それでも運動などの負荷がかかったときには「全身をめぐる血液量」が不足し、心不全症状が現れます。

※5 肺動脈狭窄症(はいどうみゃく-きょうさくしょう)

肺動脈狭窄症は、「心臓から肺に血液を送る血管―肺動脈が狭くなった状態」です。

血液は、全身に酸素・栄養を届ける役目を負っています。
動脈血は全身の細胞に酸素・栄養を渡し、代わりに二酸化炭素・老廃物を受けとって静脈血になります。
静脈血は心臓の右心房に戻り、その後、右心室から肺に送りこまれます。
肺で再び、酸素を含んだ動脈血に生まれ変わるためです。
肺動脈狭窄症では、「右心室から肺に向けて血液を送る血管―肺動脈」が狭くなります。
「右心室が血液を送り出すために必要な力」が増大し、右心室に負担がかかります。

狭窄が軽度なら経過観察で済む場合もありますが、中等度~重度の場合には右心不全(心臓の右側の心不全)につながるため、治療の対象となります。

※6 心房中隔欠損症(しんぼう-ちゅうかく-けっそんしょう)

心房中隔欠損症は、「右心房と左心房を隔てる壁に穴があいた状態」です。
先天性心疾患の7~10%程度を占めます。

心臓は、4つの部屋から構成されています。

・右心房
⇒全身をめぐった静脈血が戻ってくる場所

・右心室
⇒静脈血を肺に向けて送り出す場所

・左心房
⇒肺で酸素を受けとった動脈血が戻ってくる場所

・左心室
⇒動脈血を全身に向けて送り出す場所

以上から、常に「右側(右心房・右心室)には静脈血」「左側(左心房・左心室)には動脈血」となっていることがわかります。
正常ならば、左右の血液が混じることはありません。

ですが、左心房と右心房を隔てる壁に穴があいている場合、左右の血液は混じり合うことになります。

ちなみに、心臓の左側と右側の力は均等ではありません。
「全身に血液を送る左側」と「肺に血液を送る右側」では、左側のほうが強い力を持っています。
そのため、心臓内の血液は(原則として)「左心房から右心房に流れこむ」という動きをします。

左心房・左心室の血液は、これから全身に送り出す動脈血です。
全身に送るべき血液の一部が別の方向に行ってしまうわけですから、血液の循環効率は低下します。

ただし、心房中隔欠損症の多くは、乳幼児期~小児期において無症状のまま経過します。
心臓は適応力が高く、「右側に余分な血液が流れてくるなら、右側(右心房・右心室)を拡大する」などの対応がなされるのです。

そのため、心房中隔欠損症は「心雑音」「心電図異常」など、何らかの検診・検査の結果として見つかる例が多くなっています。

とはいえ、生涯にわたって無症状というわけではありません。
心臓が拡大すると、だんだんと心筋(心臓の筋肉)が伸びます。
10年、20年の単位で伸びきった心筋は収縮力が落ちて、最終的には心臓の「血液を送る能力」が低下することになります。

治療をしないまま成人・中年を迎えると、多くは心機能の低下が目立ちはじめ、心不全の症状が現れます。

※7 ファロー四徴症(ふぁろー-しちょうしょう)

ファロー四徴症は、「およそ3600人に1人の割合で見られる先天性心疾患」です。

本来、心臓の内部は4つの部屋(右心房 / 右心室 / 左心房 / 左心室)に仕切られていますが、ファロー四徴症の場合は正しく仕切られていません。
部屋をくぎる壁の位置がずれているからです。

ファロー四徴症は、次の4症状を特徴とします。

・心室中隔欠損
⇒右心室と左心室を隔てる壁に大きな穴があいている

・大動脈騎乗
⇒大動脈が左右の心室にまたがった位置にある(本来は、左心室から大動脈に血液が流れる)

・肺動脈狭窄 / 漏斗部狭窄
⇒心臓から肺に向かう肺動脈が狭くなっている

・右室肥大
⇒左右の心室の圧力が等しくなった結果、右心室が肥大する(本来は、左心室の圧力が高い)

生後すぐに心雑音を指摘され、発見されることが多いです。
治療する場合は、外科手術が基本になります。

執筆・監修ドクター

井守 洋一
井守 洋一 医師 二俣川内科・循環器内科クリニック(旧:笹野台内科) 院長 担当科目 内科/循環器内科

経歴2005年 日本医科大学医学部医学科 卒業
     横浜市立市民病院
     日本医科大学医学部付属病院
2008年 国際親善総合病院内科 
2009年 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院循環器センター内科
2011年 湘南鎌倉総合病院 心臓センター循環器科 
2014年 スイス留学・チューリッヒ大学病院循環器内科
2015年 日本医科大学医学部付属病院 循環器内科 
医療法人笹野台内科 院長
2019年 5月より二俣川内科・循環器内科クリニック 院長

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