きゅうせいだいどうみゃくかいり急性大動脈解離
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急性大動脈解離の症状
典型的には突発する前胸部・背部の激痛が現れます。
疼痛は発症時が非常に強く、進行に伴って移動していくのが特徴です。
急性大動脈解離の診療科目・検査方法
心電図、胸部レントゲン、血液検査、心臓超音波(心エコー)、CTを行います。
危険度の高い病気のため、直ぐに心臓血管外科、循環器科を受診する必要があります。
急性大動脈解離の原因
急性大動脈解離の予防・治療方法・治療期間
人工血管置換術、人工血管バイパス術、ステントグラフト、薬物療法があります。
治療期間は約2〜3週間です。
急性大動脈解離の治療経過(合併症・後遺症)
命にかかわるが、早急に処置すれば治療は可能です。
急性大動脈解離になりやすい年齢や性別
10万人あたりの年間発症人数はおよそ3人前後 (大動脈瘤破裂と合わせた統計)です。
70代に多く、女性よりも男性に多くみられます。
編集部脚注
※1 Marfan症候群(マルファン症候群)
Marfan症候群は、「血管、骨格、皮膚、眼、肺など、全身の結合組織が弱くなる病気」です。
・血管が弱い⇒大動脈解離
・骨格が弱い⇒側弯症(背骨が歪み、ねじれる病気)
・肺が弱い⇒自然気胸(肺に穴があく病気)
など、さまざまな問題をきたします。
「常染色体優性遺伝」の遺伝性疾患です。これは「両親の一方が罹患者なら、50%の確率で子供も罹患する」という遺伝形式です。ただし、両親からの遺伝ではなく、突然変異でMarfan症候群を発症する人もいます。
※2 ベーチェット病
ベーチェット病は、「免疫異常による炎症性疾患」です。全身のさまざまな場所で、急性の炎症を繰り返します。「口腔内」「陰部」「皮膚」「眼」の4箇所が、特に炎症の現れやすい場所です。
血管に症状が出た場合は「血管型ベーチェット病」と呼ばれます。大動脈に炎症を繰り返すと大動脈壁が弱って大動脈解離につながる恐れがあります。
具体的な原因は未解明ですが、遺伝的素因が関与していると考えられています。また、「北緯30~45度のシルクロード沿いで罹患率が高い」という特徴から、何らかの環境要因が影響していると思われます。
※3 Ehlers-Danlos症候群(エーラス・ダンロス症候群)
Ehlers-Danlos症候群は、「血管、皮膚、関節などの結合組織が弱くなる病気」です。症状が現れる部位など、特徴ごとに「血管型」「関節型」「古典型」「皮膚脆弱型」などと分類されています。
血管型のEhlers-Danlos症候群は、大動脈解離などの致命的な合併症を起こしやすい病態です。実際、血管型では、約8割の患者さんが40歳までに「生命にかかわる合併症」を発症しています。「死亡年齢の中央値=48歳」というデータからも、厳しい予後がうかがい知れます。
病型ごとに遺伝形式が異なる遺伝性疾患で、血管型は「常染色体優性遺伝」となっています。これは「両親の片方が罹患者の場合、50%の確率で子供も罹患する」という形式です。
※4 ステントグラフト
ステントグラフトは、「金属の網に支えられた人工血管」です。動脈瘤(どうみゃく-りゅう)のある部位にステントグラフトを入れることで、動脈瘤に血液が流れこむのを防ぎます。「動脈瘤破裂」「急性大動脈解離」の発症を抑止するために役立ちます。
ステンドグラフトの特徴は、カテーテル(直径2~3mm、長さ1m程度の管)を使って血管内に留置できることです。
カテーテルは太ももの動脈から入れて、血管内を移動させることができます。胴体を切開することなく、小さな傷だけで大動脈を治療することが可能です。
執筆・監修ドクター
経歴2005年 日本医科大学医学部医学科 卒業
横浜市立市民病院
日本医科大学医学部付属病院
2008年 国際親善総合病院内科
2009年 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院循環器センター内科
2011年 湘南鎌倉総合病院 心臓センター循環器科
2014年 スイス留学・チューリッヒ大学病院循環器内科
2015年 日本医科大学医学部付属病院 循環器内科
医療法人笹野台内科 院長
2019年 5月より二俣川内科・循環器内科クリニック 院長
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