この記事の監修・執筆者
杉山崇 教授
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神奈川大学人間科学部 教授
心理相談センター 所長
臨床心理士(公益法人認定)
1級キャリアコンサルティング技能士(国家認定)

学習院大学大学院修了
精神科、教育、福祉、産業など各領域の心理職を経て日本学術振興会特別研究員に。
神経(脳)活動・心理過程・社会的関係の相互作用を考慮したうつ病研究を行う。
「心理学で幸せを増やす」をテーマに教育研究および心理・キャリア相談に従事する一方でテレビや雑誌などメディアを通じた啓発活動の実績も多数。

目次

産後うつは意外と多い

産後うつの発生率は厚生労働省の推計では産後1ヶ月で8.5%(2016年度)とされています。新生児を授かった母親が12人いたら、1人以上は深刻な産後うつという計算になるのです。

このように産後うつは決して珍しい問題ではないのですが、「子宝に恵まれて幸せいっぱい」というイメージから見過ごされやすいのが実態でした。

その結果として、産後うつの予防や対策が、母親本人だけでなくサポートするべき家族や、社会資源にも詳しく知られていない状況が続いています。

産後うつの状態とは?

具体的には産後うつでは母親はどのような状態になるのでしょうか。

まず笑うことができなくなり、物事を楽しめなくなります。何かを楽しみにしている…ということすらなくなります。物忘れもひどくなり、次に何をするのかを忘れてしまうこともあります。

また、子どもは予想外の動きや体調不良を示すものなのですが、その中で自分を責めることがあります。はっきりした理由もなく不安になったり、悲しく惨めな気分になったりするなど、感情も不安定です。

赤ちゃんのお世話もできずに一人で泣いてしまうこともあります。赤ちゃんがケアを求めて泣く脇で母親が一人で泣いている…そんないたたまれない場面も少なくありません。その中で自分自身を傷つけてしまうこともあるのです。

孤立感が産後うつを加速させてしまう

産後うつは出産前後のホルモンバランスの乱れ、子どもの生活リズムの不安定さや緊張感のために、母親が十分眠れないなどが原因と考えることが多いです。ただ、それだけに帰属してしまうと危険です。なぜなら、うつ状態は“孤立感を募らせる”ことで高まるからです。

多くの母親は生まれた赤ちゃんに対して誰よりも強い愛情と責任感を持ちます。そして人は、周りの人が自分の目標や気持ちに理解と協調を示してくれないと心の痛みを感じる生き物です。

例えば父親が育児に協力的だったとしても、仕事で忙殺される中で赤ちゃんへの愛情やケアへのコミット、そして母親への気遣いに物足らなさを感じると、それが心の痛みになってしまうのです。

うつ状態は心の痛みが続く中で、考え方や脳機能が偏って心の痛みが慢性化してしまった状態です。そのため、父親を始めとした周囲の大人は心の痛みが続かないように支援してあげる必要があるのです。

産後うつを乗り越えるために

産後うつを乗り越えるために、最も大事なことは母親だけで乗り越えようとしないことです。

人は人に癒やされる生き物で、人にとっては人が最も大切な薬なのです。なので、人と話す機会をとにかく大事にしましょう。SNSやメールも人の存在感を実感できる便利なツールです。

例えばSNSの投稿に「いいね」をもらうだけでも、気持ちは癒やされ心の痛みが軽くなります。出産前後は何かと大変なので、人間関係の維持に割けるエネルギーも限られてしまいますが、細くでもいいので人とのつながりは大切にしましょう。

頼れる人のそばにいることが大切です。もちろん、ご主人も頼りになるわけですが、日本の子育てパパは職場で最も忙しい年代の方がほとんどです。

となれば、一番頼りになるのは実家です。私たちの研究でも、夫が里帰りに協力的なことは母親の気持ちに強く影響する要素の一つでした。実家に帰ることが産後うつを防いでくれることをご主人や周りの人たちと共有して、積極的に里帰りをしてみてください。

また寝ることはとても大切で、子どもを寝かしつけながら一緒に寝る…など、寝ることを大切にしましょう。「片付けものが…」と気になることも多いかと思いますが、よく寝て疲れをとってからのほうが頭も身体も回転がよく、スムーズに片付けられるものです。寝る時間の確保を優先してみてください。

本当に大事なことは「出産前後はうつ病に陥るリスクが高い時期」という、メンタルヘルスリテラシーが常識になることです。

そして、子どもを育てる母親に社会全体がもっと協力的で支援的になることです。産後うつの予防から日本の社会全体の改革が進むように考えていければと思います。

産後うつの状態を脱却!乗り越えるための手段を解説
ベビママほっと。
2020-03-23T12:41:15+00:00
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