おたふく風邪のワクチンは任意接種で、2回受けることがすすめられています。1回の接種ではおたふく風邪にかかってしまう可能性のある人が30~40%程いるとの調査もあるので、小学校入学前までに2回とも接種しておくようにしましょう。
目次
おたふく風邪は、かかるとどんなリスクがあるの?
おたふく風邪にかかったり、重症化したりするとどんな症状があらわれるのかについて解説します。
おたふく風邪ってどんな病気?
おたふく風邪は感染症によるもの
おたふく風邪の正式な病名は、『流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)』といいます。
おたふく風邪とは、「パラミクソウイルス」が唾液腺(唾液を分泌するところ)で増殖して、全身にばらまかれる感染症です。
感染のルートは、おもに2つ
・飛沫感染…ウイルスを含んだせきやくしゃみなどによって飛び散った分泌物を吸い込むことによって口や鼻などの粘膜に直接ウイルスが触れて感染すること。
・接触感染…患者の皮膚や粘膜に直接接触するか、ウイルスが付着した衣服や物品(タオル、手すりなど)に触れることによって感染すること。
おたふく風邪はどこが腫れるの?
唾液腺には、耳下腺・舌下腺(ぜっかせん)・顎下腺(がくかせん)の3つがあります。
おたふく風邪はおもに耳下腺が腫れますが、舌下腺や顎下腺が腫れる場合もあるでしょう。
耳下腺の腫れがない、左右どちらかだけ腫れている、顎下腺のみ腫れている、ということもあるため注意が必要です。
悪化すると危険!おたふく風邪のリスクについて
もっとも多い合併症は、『無菌性髄膜炎』
おたふく風邪の合併症でもっとも多いのは『無菌性髄膜炎』です。
発熱・頭痛・嘔吐などの症状がみられることもありますが、無症状のことも多いです。
女の子よりも男の子のほうが約3~5倍かかる確率が高い、という報告があります。
思春期前後の感染に注意!
思春期前後 (男女ともに18歳頃まで)に感染した場合、国立感染症研究所の調査によると、男性は20~30%の確率で『精巣炎』、女性は5~7%の確率で『卵巣炎』を発症することがあります。
しかし、おたふく風邪による精巣炎や卵巣炎で不妊になってしまうことはほとんどないでしょう。
『ムンプス難聴』はもっとも注意すべき合併症!
『ムンプス難聴』は、ウイルスが耳のもっとも内側の「内耳(ないじ)」に侵入し、細胞を障害する病気です。
特有のほほの腫れが消えてから 1 か月以内に難聴の症状があらわれ、後遺症が残る可能性が高いといわれています。
乳幼児が発症した場合は、本人からの訴えがないため発見が遅れてしまい、重大な後遺症となる可能性があるでしょう。
そのほかの合併症や後遺症
ほかにも『関節炎』『心筋炎』『脳炎』『脳症』を発症する可能性があります。
また、後遺症として四肢の麻痺やてんかんが残ることもあるでしょう。悪化してしまった場合、死亡につながることがあります。
おたふく風邪のワクチンの作用は?どれくらい続く?
ワクチンを打つことによる作用って?
おたふく風邪は、『脳炎』を引き起こす確率が比較的高いものの、それを除けば命に危険がおよぶことのない感染症といわれています。
しかし、難聴が早い時期にあらわれると、言葉がうまく話せない、意味を理解できないなど、その後の言葉の発達に影響をおよぼす 可能性があります。
そのため、おたふく風邪の発症を阻止するための予防接種がおこなわれています。
国立感染症研究所によると、予防接種後の『抗体陽転率(免疫が一定値以上に達した人の割合)』は12~20か月児で92~100%におよぶとされ、高い予防作用を持ちます。
ワクチンの作用はどれくらい続く?
おたふく風邪のワクチンは、接種から8年経過しても作用が持続しているとの報告があります。
しかし、接種後5年が経過すると、明らかに作用が低くなっていくこともわかっています。
おたふく風邪のワクチン接種の費用や回数について
接種は任意?かかる費用について
おたふく風邪の予防接種は、任意になります。
費用は、地域や病院によってさまざまですが、一般的には5000~8000円程度とされています。
地域が一部費用を負担する公費助成で受けられる場合は、3000~4000円程度になることもあるため、役所や保健センターなどに確認することをおすすめします。
接種する回数
おたふく風邪の予防接種は2回おこないます。
国立感染症研究所の調査によると、1回の接種の有効率は64%と出ており、おたふく風邪にかかってしまう人が30~40%いると考えられます。
そのため2回の接種がすすめられています。
2回接種がすすめられている理由
おたふく風邪は感染すると難聴になったり、重症化すると最悪の場合死に至ったりしてしまう深刻な病気です。
2回の予防接種でも完全に感染を防げるわけではありませんが、感染したとしても重症化を防げる可能性が高くなります。
そのためおたふく風邪の予防接種は、2回接種することをおすすめします。
接種する時期について
1回目の接種について
1回目の接種は、1歳になったらおこないます。
この時期に接種しておくと、合併症や感染率を下げる作用が高いと判断されているためです。
日本では、おたふく風邪にかかる約60%が3~6歳の幼児といわれています。
2回目の接種について
1回目は受けたとしても、2回目の予防接種をおこなわないと平均6.3歳のときにおたふく風邪を発症するという報告があります。
そのため2回目は、1回目から4~5年後の小学校入学前(年長)に接種することがすすめられています。
MRワクチンの2期と同じ時期で、同時接種することができます。
大人もワクチンを接種するべき?
大人になっておたふく風邪に感染した場合は、症状がひどくなるといわれています。
「おたふく風邪にかかったかわからない」、「予防接種を受けたかわからない」という場合は、予防接種を受けたほうがよいでしょう。
おたふく風邪のワクチンの副反応について
ごくまれに、接種後2~3週してから耳の下が軽く腫れることもありますが、1~2日でおさまることが多いです。
年齢とともに副反応の発症率が高くなるといわれていますが、2回目の接種の場合や免疫を持っている場合は、副反応は発生しないと考えられます。
『おたふく風邪』は、幼児期の子どもに多い感染症です。耳やあごの下が腫れて痛みが出るのが特徴で、発熱や頭痛などの症状が出ることもあります。
重症化すると、『難聴』や『脳炎』などの合併症があらわれる可能性があるため、予防接種をおすすめしています。
この記事では、『おたふく風邪』のワクチンの接種や作用について解説します。
まとめ
おたふく風邪は合併症にも注意!
おたふく風邪は、子どもに多い病気ですが大人でもかかります。
合併症になると『難聴』や『脳炎』などの重い症状があらわれる可能性があるため、予防接種をおすすめします。
予防接種について心配なことがあれば病院へ
おたふく風邪は、2度かかることはないといわれていますが、「おたふく風邪にかかったかわからない」、「予防接種を受けたかわからない」という場合は、予防接種を受けることがすすめられています。
心配なときは内科や小児科を受診して医師に相談してみましょう。
- おたふく風邪のワクチン接種の費用は?なぜ2回必要?予防作用について
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