肺がん手術後の化学療法は治療開始が遅れても有効。全米がんデータベースの分析結果

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

全米がんデータベースからのデータを分析した研究で、「非小細胞肺がん」の補助化学療法は、現行の推奨開始時期より遅い手術後7~18週の開始でも有益であることが分かりました。

米国イェール大学の研究グループが、有力医学誌JAMAの腫瘍学版であるJAMAオンコロジー誌で2017年1月5日に報告しました。

 

通常は術後6~9週間以内に開始                                   

肺がんは死亡率が高いがんですが、早期に発見すれば、治癒の可能性が高くなります。

肺がんの二大分類のひとつである「非小細胞肺がん」の場合、大きめの腫瘍またはリンパ節に転移した場合は、手術や放射線治療後の化学療法(補助化学療法と呼ばれる)が有益であることが分かっています。

しかし、化学療法を始める時期については異論があり、多くの臨床医は術後6~9週間以内の開始を支持していますが、術後の合併症などによりこの期間に開始できない場合も多くあります。

研究グループは、病院基盤の腫瘍登録で米国の肺がん症例の70%以上が含まれる「全米がんデータベース」の情報を用い、術後化学療法の開始時期と5年生存率との関連性を調べました。

 

手術のみの場合より死亡リスク低下

研究グループは、ステージI、II、IIIの肺がん患者で手術後18~127日の間に補助化学療法を受けた約12,500人(2004~12年)のデータを分析した結果、術後7~18週の間に化学療法を開始した人でも、現行の推奨時期6~9週間以内に化学療法を開始した人と同じような結果でした。

また、手術のみの場合と比較して、開始時期が遅れていても死亡率の低さに関連があると分かりました。

非小細胞肺がんで手術を受けた人は、化学療法の開始時期が遅くても有益な結果で、確認のためにさらなる研究を要しますが、化学療法が可能な患者は術後最大4ヶ月まで検討すべきと研究グループは述べています。

 

参考文献

Lung cancer patients may benefit from delayed chemotherapy after surgery

http://news.yale.edu/2017/01/05/lung-cancer-patients-may-benefit-delayed-chemotherapy-after-surgery

 

Association of Delayed Adjuvant Chemotherapy With Survival After Lung Cancer Surgery.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28056112

 

Association of Delayed Adjuvant Chemotherapy With Survival After Lung Cancer Surgery

http://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2595781

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