地中海食が脳の委縮を防ぐと判明、70代のおよそ1000人を3年以上にわたり追跡調査

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

「地中海食」が脳の萎縮を防ぐことが判明しました。地中海食が健康に有用であることは多くの証拠が示してきました。今回の研究ではこの健康的な食事法が、高齢者の脳の容量を保持することにできるようです。

英国スコットランドのエジンバラ大学のミシェル・ルチアーノ氏らが米国神経学会の医学雑誌、ニューロロジー誌オンライン版で2017年1月4日に発表しました。

 

地中海食の効果

典型的な地中海食は、多くの果物と野菜を用い、無精白の穀物、オリーブオイル、適度な魚類、乳製品、ワイン、そして少量の赤肉を摂取するものです。これらを継続的に摂取すると、心・代謝系の改善が認められると言われています。
様々な研究において、地中海食が、2型糖尿病や肥満のリスクを軽減し、体重減少の助けとなり、ひいては心臓病などを予防することが明らかになっています。

 

高齢者の脳への特定の変化

さらに、地中海食が精神的かつ肉体的にも健康を維持することにより、長寿を可能にするという報告もあります。今回の新しい研究は地中海食が脳の健康に特に有用であることを示唆するものです。

人間の脳は加齢とともに委縮し、細胞はどんどん死滅してゆきます。研究グループはそれが学習障害や記憶障害につながると説明しています。

研究グループは、特に地中海食が、脳の総容量、灰白質容量、皮質の厚さに影響していると結論付けています。

研究の対象者はスコットランド在住の認知症のない73歳から76歳までの967人で、3年以上追跡調査されました。

対象者は脳容量のデータを取った時点の3年前の70歳時点で食事についてアンケートを行っています。

その上で、対象者のうち562人が73歳時点でMRIを受けています。

さらにこの対象者のうち401人が76歳時点で2度目のMRIを受けました。

研究グループは、この3年間で脳容量の計測と地中海食スコア(MeDi)との関連性を調査しました。

 

地中海食により脳容量の0.5%の減少を防ぐことができた。

調査の結果、対象者のうち、食事をきちんと守らなかった人は3年間の間に脳の萎縮が進む傾向がありました。具体的には食事法を守る人に比較して、守らなかった方は0.5%以上、脳の総容量の低下がありました。

0.5%の脳の総容量低下というのは、加齢に伴う自然な減少の半分の量に相当します。

研究グループは、対象者の脳容量に影響しそうな項目として年齢や教育水準、糖尿病、血圧などの健康状態を調整して検討を行っていますが、食事法と灰白質容量及び皮質厚との相関はありませんでした。

 

魚や肉とは関連なし

また、既存の報告に反して、本研究で、魚や肉の摂取と脳の容量の変化には関連はありませんでした。

もしかしたら他にも食事に関する要因が関連しているのかもしれませんし、複数のことが重なり合って影響しているのかもしれません。

既報での、脳の評価は一度だけですが、今回の研究では経時的な脳の総容量の変化を評価しており、より詳しい結果が分かったことになります。

今回の研究では食習慣というものが、脳の容量を計測するまでもなく、長期にわたる脳保護をもたらしてくれる可能性があるとしています。

この結果をさらに深く確かめるためには今後さらなる大規模な研究が必要となりそうです。

参考文献

Mediterranean diet prevents brain atrophy, study finds – Medical News Today

Mediterranean Diet May Have Lasting Effects on Brain Health

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板東浩