果物や野菜で喫煙による肺がん予防ができる?オレンジや赤い甘唐辛子がニコチンに及ぼす影響

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

オレンジ・赤色の甘唐辛子、フルーツ、野菜に含まれる「β-クリプトキサンチン」という化合物が、喫煙による肺がんのリスクを下げる可能性があります。

米国、タフツ大学の研究グループが、キャンサー・プリヴェンション・リサーチ誌2017年1月号で報告しました。

 

ニコチンと肺がん

たばこには約7000種類の化合物が含まれ、その多くに発がん性があります。

ニコチンには直接的な発がん作用はありませんが、肺がんの腫瘍を増殖させる作用があります。

ニコチンは「ニコチン性アセチルコリン受容体α7」という肺の表面にある受容体と結合すると細胞の増殖と新生血管の形成をもたらす「シグナル伝達カスケード」(最初の刺激からプロセスが進むにつれ、関与する酵素や分子の数が増大し弱い刺激から大きな反応を誘導する)を促します。これががんの増殖にかかわるプロセスです。

さらに、ニコチンはニコチン性アセチルコリン受容体α7の産生を増加させ、ニコチンに結合する受容体が増えるにつれ、肺がんの増殖を促すカスケード反応も強力なものになります。

 

β-クリプトキサンチンがニコチンに及ぼす効果

研究グループによると、β-クリプトキサンチンはニコチン性アセチルコリン受容体を減らすのに効果的で、肺がん細胞の増殖を減らす効果があるといいます。β-クリプトキサンチンはカルテノイドの一種で、果物、野菜の黄色、オレンジ色、赤色のもとになります。

研究グループは、これまでの研究でβ-クリプトキサンチンが豊富な食物と肺がんのリスク低下との関係を調べていました。

今回の研究では、さらに根底にあるメカニズムを明らかにしました。

 

ネズミの肺がん細胞の増殖が大幅に低下

研究では、ネズミを2つのグループに分け、両方のグループにニコチンからとった発がん物質を投与しました。

次にこのうち片方のグループには、毎日β-クリプトキサンチンを発がん物質の投与前と後に与えました。

その結果、β-クリプトキサンチンを与えたグループでは、肺がんの細胞増殖が52%~63%低下しました。

β-クリプトキサンチン870µgを投与したネズミは(甘唐辛子1個または温州みかん2個分に含まれる量)、肺がんの増殖を減らすのに最も効果がありました。

別の実験で、ニコチン性アセチルコリン受容体α7を持つ肺がん細胞と、持たない肺がん細胞で、β-クリプトキサンチンの効果について調べました。

その結果、ニコチン性アセチルコリン受容体α7を持つ肺がん細胞は、持たない肺がん細胞に比べ、β-クリプトキサンチンによって、広がり方が少なくなりました。

ヒトの肺がん発生に対するクリプトキサンチンの影響を明らかにするには、さらなる研究が必要としています。

 

しかし、喫煙、または受動喫煙にはβ-クリプトキサンチンが豊富な食品を摂取することで恩恵を受ける可能性があると述べています。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Common Food Pigment May Fight Cancer | Tufts Now

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板東浩