1型糖尿病患者は特有の腸内細菌叢を持っている?

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

「1型糖尿病」患者の腸内細菌叢は、健常者や他の「自己免疫疾患」を持つ患者とは異なる独特な性質である分かりました。

イタリアのサン・ラファエル科学研究所を含む研究グループが、米国内分泌学会が発行するジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム誌で2017年1月2日に報告しました。

 

十二指腸は膵臓につながりがある

1型糖尿病は、通常、子供の頃に発症しますが、原因が現在も不明です。

これまでに、インスリンを分泌する「膵臓β細胞」が自己免疫疾患により破壊されて発症するのではないか、ということが分かっています。

近年は腸との関連性が注目を集めており、腸内細菌がなんらかの影響を与えている可能性が検討されています。

 

健康な人、および他の自己免疫疾患と比較

研究グループは、1型糖尿病患者19人の腸内の腸内細菌叢と炎症状況を、健常者16人及び「セリアック病」の患者19人と比較しました。

セリアック病は、小麦、ライ麦などに含まれるグルテンに免疫作用が働いてしまう自己免疫疾患です。

研究グループは、2009~15年にイタリアの研究所で合計54人の十二指腸粘膜の生検を行って調査しました。

過去、ネズミを使った研究でも、十二指腸の細菌を膵臓に移すと、β細胞を破壊する可能性がある免疫反応が認められました。

 

腸内細菌叢の構成

調査の結果、1型糖尿病患者は、健常者及びセリアック病患者と比べて、10種類の炎症関連遺伝子の発現が多く見られました。

また、1型糖尿病患者は、腸内細菌叢が他と大幅に異なり、特に「プロテオバクテリア」(大腸菌やサルモネラを含む多種多様な大分類)の減少と「フィルミクテス」(グラム陽性細菌:桿菌やレンサ球菌などを含む、プロテオバクテリアに次いで多様な大分類)の増加が見られました。

 

研究グループは、このような特徴的な腸内細菌叢の仕組みを調べることで、1型糖尿病の複雑な原因を解明し、治療法につながる可能性があると述べています。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Type 1 Diabetes Linked to Gut Inflammation, Bacteria Changes | Endocrine Society

 

Duodenal mucosa of patients with type 1 diabetes shows distinctive inflammatory profile and microbiota | The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism | Oxford Academic

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板東浩