生殖系に影響なしとされる化学療法は本当に影響なし?ホジキンリンパ腫の女性の治療で検討

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

生殖系に影響なしとされる化学療法による薬の併用で、卵巣にどのような影響が出てくるか検討がなされました。

未成熟卵の数が増えたり、卵胞の成長に一部影響が出てきたり、何からの影響が出てくる可能性が示されています。

英国のエディンバラ大学の研究グループが、ヒューマン・レプロダクション誌2016年12月号で報告しました。

 

生殖系に影響のないとされる「ABVD」を検討

研究グループは、女性ががんに対する化学療法を受けた後の生殖系への影響を予測するのは困難と説明しています。その女性の年齢・受けた化学療法の種類・投与量で異なるためです。

研究グループは、ホジキンリンパ腫を対象とした薬を併用する化学療法について検討しました。ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫と呼ばれるがんの一種です。検討した化学療法は「ABVD」というもので、ABVDは女性の生殖に影響がないとして知られています。

研究グループは治療を受けた患者の卵巣の中の卵胞について調べました。卵胞は卵巣内に存在し、未成熟卵を含みます。

 

ホジキンリンパ腫の人と、そうではない人を比べる

研究グループは13人のホジキンリンパ腫患者とホジキンリンパ腫でない患者1人から卵巣の組織を取って調べました。

ホジキンリンパ腫患者のうち2人と、ホジキンリンパ腫でない人は、バイオプシー前に治療は受けていません。その他の11人のホジキンリンパ腫患者は、1回から2回の化学療法を受け、その後にバイオプシーを行いました。

研究では、サンプルの組織を、同年齢の健常者と比較しました。

 

編集部註:バイオプシー

生体組織診断のこと。病変部位を採取し、顕微鏡で観察することで、病変の拡大の程度を調べる臨床検査の一つ。生検とも呼ばれる。

 

第2段階への成長で影響あり?

さらに、研究グループは、第2段階の研究(実験)として、さらに卵胞の成長について調べるため、6日間サンプルを培養しました。

その結果、ホジキンリンパ腫患者で、ABVDで治療を受けた患者8人の組織には、同年齢の健常者・別の化学療法を受けた患者より、未成熟卵胞がはるかに多く含まれていました。

また、ABVDで治療を受けたサンプルは、健康な状態にあると思われました。

一方で、培養されたサンプル内において、すべてのグループで卵胞は成長しましたが、第2段階への成長に進んだのは、ABVDで治療を受けた女性のサンプルでは、限られていました。また、治療を受けなかったホジキンリンパ腫患者のサンプルは、健常者のサンプルと同様に成長しました。

未成熟の卵胞を増やすような影響がある一方で、成長の上で影響が出てくる可能性があります。もっとも対象者が少ないため、より一層の研究で検証は必要のようです。

 

化学療法と生殖系との関係は密接なので、今後の研究にも注目は集まりそうです。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Chemotherapy may cause women to grow new eggs | The University of Edinburgh

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板東浩