睡眠を測るウエアラブル・デバイスが睡眠障害を助長。正しく判定できないケースとは

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

睡眠を測るウエアラブル・デバイスは、かえって睡眠障害を助長することもあり得るようです。

米国ラッシュ大学とノースウエスタン大学の研究グループが、ジャーナル・オブ・クリニカル・スリープ・メディシン誌で、2017年2月15日に報告しました。

 

むしろ不安につながる

今回の報告によると、フィットビット(Fitbit)、アップルウオッチ(Apple Watch)などのウエアラブルタイプの睡眠トラッキング装置が流行しています。米国人の成人の15%はフィットネスあるいは睡眠をモニターするためのウエアラブル・デバイスを持っており、50%が購入を検討中であるようです。

研究グループは、睡眠を測って睡眠を改善させようとして、かえって睡眠障害になるケースがあると説明しています。

例えば、39歳の男性のケースでは、数年前から、眠れないことに悩んでいて、恋人から睡眠トラッキング・デバイスをプレゼントされたそうです。

このケースでは、毎晩8時間以上眠るという目標を設定し、睡眠トラッカーでそれを判定しました。朝にはデバイスが8時間の睡眠時間を続けられるようにと気にしていましたが、かえって不安神経症につながり、健全な睡眠を邪魔されてしまうという結果になりました。

研究グループは、「オーソソムニア」(orthosomnia)という用語を使用しています。「正しい睡眠」という意味ですが、正しくしようと思うあまり強迫観念にとらわれて、睡眠障害につながってしまうようです。

 

不適切な用途での使用も

ウエアラブル・デバイスが不適切に使われるケースは多いようです。

今回の報告によると、27歳の女性のケースでは、フィットビットにより睡眠不足と判定されていました。しかし、睡眠ポリグラフの検査を受けると、深い眠りに入っていると判定されました。デバイスの判定に振り回されて、実際の睡眠の状態を自分自身でも分からなくなっていました。

睡眠モニター用のデバイスは、浅い眠りや深い眠りといった睡眠のレベルを正確に判定することはできないと、研究グループは説明しています。

一方で、69歳の男性のケースでは、睡眠時無呼吸の改善にトラッキング・デバイスを使っていましたが、睡眠時無呼吸症の診断には有効ではないと、研究グループは解説しています。

 

ウエアラブル・デバイスをどのように使うか、使う側も知識を得ていく必要はあるようです。

 

参考文献

JCSM – Orthosomnia: Are Some Patients Taking the Quantified Self Too Far?

 

Orthosomnia: Are Some Patients Taking the Quantified Self Too Far? – PubMed – NCBI

 

Sleep trackers can prompt sleep problems | EurekAlert! Science News

 

Sleep Trackers Can Prompt Sleep Problems – Featured News – Rush University Medical Center

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板東浩