妊娠中にヘルペスに感染した母親、子どもが自閉症になるリスクが倍増、ノルウェーの長期研究から

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

母体の感染と自閉症のリスクの関連について調査した結果、妊娠中に母親が性器ヘルペスとして知られる単純ヘルペスウイルス2型に感染すると男の子が自閉症になるリスクが2倍になっていました。

 

5種類の病原体と自閉症の関係を探る

ノルウェー公衆衛生研究所と米国の研究グループが、mSphere誌で2017年2月22日に報告しました。

自閉症は、さまざまな症状が虹のスペクトルのように存在するところから、専門的には「自閉症スペクトル障害」(ASD)と呼ばれています。その原因はまだはっきりとは解明されていません。遺伝的要因と環境的要因の両方が考えられています。環境的要因には妊娠中の感染があります。 

ノルウェーで1999年~2008年に、「ToRCH」と総称されている5つの病原体による感染と自閉症のリスクとの関連を調べました。ToRCHとは、トキソプラズマ原虫(To)、風疹ウイルス(R)、サイトメガロウイルス(C)、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型と2型(H)の5種類です。

 

神経が発達する時期の感染に関連か

妊娠18週頃と出産時の2回、血液サンプルを採取し、ToRCH病原体のそれぞれの抗体レベルを分析しました。感染が起こっていれば、抗体の値が上昇します。

子どもが自閉症(ASD)と診断された母親412人と、子どもに自閉症がいない母親463人が対象となりました。

結果として、HSV-2の抗体が高レベルなこととASDのリスクに関連が見られましたが、その他の病原体との関連性は見られませんでした。しかも、出産時ではなく、胎児の神経系が急速に発達をしている時期に採取された血液サンプルでのみ、その関連性が見られました。

 

ほどんどのHSV-2感染は無症状

研究グループによると、米国人女性の5人に1人はHSV-2のキャリアです。ヘルペスは感染力が強く、通常セックスを通して感染し、生涯にわたってその影響が持続します。

今回の研究で調査した母親の13%が、妊娠中期の時点でHSV-2抗体陽性でしたが、ほとんどの感染は症状を伴っていませんでした。

この研究では、HSV-2によるASDのリスクは男の子だけに見られましたが、これは、もともと女の子のASDが少ないためで、男の子だけが影響を受けると言える十分なエビデンスはありませんでした。

 研究グループによると、母体の免疫反応が胎児の中枢神経系の発達を撹乱し、自閉症のリスクを高めるのではないかと推定しています。

 

妊娠中の感染に気を付けると良さそうです。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Maternal Immunoreactivity to Herpes Simplex Virus 2 and Risk of Autism Spectrum Disorder in Male Offspring | mSphere

 

Autism risk linked to herpes infection during pregnancy | EurekAlert! Science News

 

Autism Risk Linked to Herpes Infection During Pregnancy

https://www.mailman.columbia.edu/public-health-now/news/autism-risk-linked-herpes-infection-during-pregnancy

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板東浩