骨密度の低下がアルツハイマー病につながる可能性

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

アルツハイマー病になりやすい特徴を持ったマウスによる動物実験を行ったところ、初期の「骨密度」の低下と「脳内セロトニン生成細胞」の減少が確認されました。

この結果から、研究グループによると、骨密度低下がアルツハイマー病につながる可能性が考えられるようです。

 

アルツハイマー病と骨の密度に関係

米国ノースイースト・オハイオ医科大学を含む研究グループが、アルツハイマー病の専門誌ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディジーズ誌で2016年11月3日に報告しました。

従来の研究報告によると、アルツハイマー病の人では、骨密度の減少や、骨密度が大幅に低下する骨粗しょう症の発生率が高くなります。しかも、認知機能が大きく低下する前から骨の問題が発生するケースが多く見られます。

一方で、双方の関連性については分かっていません。

逆に、骨密度の減少はあると、骨折リスクの増加のほか、QOLの低下やアルツハイマー病の患者の死亡率増加につながります。

 

アルツハイマー病と関連する「ヒト型タウたんぱく」

体内にはセロトニンと呼ばれるホルモンがあります。セロトニンは、脳や腸で働くほか、骨を作るためにも関係すると分かっています。

骨の再生に関与しているセロトニンは、アルツハイマー病の早期の段階で影響の表れる「気分」と「睡眠」の制御にも関与しています。

研究グループは、骨密度の減少と、セロトニンの減少に関係があると推定しました。骨密度の減少が、同じくセロトニンと関わりのあるアルツハイマー病の初期症状ではないかと考えました。

研究グループは、アルツハイマー病の人で脳に蓄積することが分かっているヒト型タウたんぱくに着目しました。そこで、タウたんぱくの異常な発生をする特徴を持つマウスを対象として骨密度を測定しました。

 

脳幹のセロトニン生成部分でタウたんぱく異常が発生

その結果、特にオスのマウスで、正常なマウスより大幅な骨密度の減少が見られました。

さらに、脳内セロトニンの大部分を生成する脳幹で変化を確認しています。脳幹は生命維持に大切なところで、その中でも「背側縫線核」という部分で、セロトニンを作るためのセロトニン合成酵素(TPH)陽性細胞が70%減少していると確認できました。

研究グループによると、この部分は、成人の骨格制御において重要な部分となります。脳幹全体でもTPHの減少がありました。

その上で、背側縫線核では、生後4カ月という早期から異常なタウたんぱくの増加が見られました。

 

脳幹のセロトニン生成部分でタウたんぱく異常が発生

研究グループは、タウたんぱくに基づくアルツハイマー病になりやすい特徴を持ったマウスでは、タウたんぱく異常が明らかになる前から骨密度の減少があり、タウたんぱく異常は脳幹のセロトニン生成部分で発生すると結論しています。

さらに、早期アルツハイマー病での「骨密度減少」と「セロトニン生成減少」との関連性に関わる分子メカニズムを解明する必要があるようです。

そこが分かれば、一般的に行われている骨密度の測定がアルツハイマー病の検査にも応用できるかもしれません。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

http://www.neomed.edu/officesanddirectory/prmarketing/forreporters/pressreleases/neomed-researchers-identify-link-between-brain-and-bone-in-alzheimer2019s-disease

 

Early Evidence of Low Bone Density and Decreased Serotonergic Synthesis in the Dorsal Raphe of a Tauopathy Model of Alzheimer’s Disease. – PubMed – NCBI

 

Early Evidence of Low Bone Density and Decreased Serotonergic Synthesis in the Dorsal Raphe of a Tauopathy Model of Alzheimer’s Disease – IOS Press

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板東浩