がんの原因は「運が悪かったから」とする主張を否定。がんにはそれぞれの原因があるとする主張を発表

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板東浩

監修

1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

がんの原因をランダムなDNAの突然変異とする主張を否定

2015年、物議をかもした発表が見られました。がんの主な原因は、生活から来るものではなく、成体幹細胞においてランダムに発生するDNAの突然変異という「不運」によるものであるというものです。(Cancer etiology. Variation in cancer risk among tissues can be explained by the number of stem cell divisions. – PubMed – NCBI

しかし、ランダムに発生するDNAの突然変異ががんの発症に関連しているとしても、それが全てのがんの原因ではないと、主張を否定する新しい研究が出てきています。

オランダ、ユトレヒト大学医療センターの研究グループがネイチャー誌オンライン版で2016年10月3日に発表しました。

 

がんはDNAの複製エラーと生活の影響で生じる

がんは、細胞の成長や分割の方法を変化させるDNAにおける突然変異によって生じます。

DNAの突然変異は、細胞の制御ができなくなり、細胞が過剰に成長、分割し、がん化の原因となるエラーを生じさせます。

一部のDNAの突然変異は両親から遺伝することがありますが、それ以外は喫煙や紫外線の影響などの生活を通して原因が発生している可能性があります。

ただし一部の臓器でがんになりやすい場合があり、根拠も出ています。そのため、生活の影響にかかわらず生じるがんが存在している可能性はあります。2015年1月に、サイエンス誌で発表された研究は、卵巣、膵臓、骨のがんなど、31タイプのがんのうち22のがんが、成体幹細胞が分裂するときに生じる「不運な」突然変異によるものであるとしています。

しかし、研究グループの研究はこの主張を否定しました。

 

がん発症の主な原因は「不運」だからではない

研究グループらは、3歳から87歳の人の大腸、小腸、肝臓から採取した正常な成体幹細胞(さまざまな組織の大元となる細胞)におけるDNAの突然変異の比率とパターンを調べました。

調査の結果、患者の年齡や臓器のがんのかかりやすさの違いにかかわらず、幹細胞が蓄積するDNAの突然変異は一定であることを発見しました。

つまり、不運が積み重なったという考え方では、それぞれの臓器のがんのかかりやすさの違いを説明できないということになります。

研究グループによると、いくつかのDNAの突然変異は「不運」である可能性のあるケースもあったと説明しています。ただし、研究グループは、こうした事例でもがん発生の一部の過程で、「原因があるのに見つけられていないだけ」と考えているようです。

がん発生に必ず原因があるとすれば、防ぐこともやりやすくなるでしょう。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature19768.html

 

Tissue-specific mutation accumulation in human adult stem cells during life. – PubMed – NCBI

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板東浩