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「プレバイオティクス」が睡眠を改善、善玉の腸内細菌を増やして、ストレスも和らげる

「プレバイオティクス」が睡眠を改善、善玉の腸内細菌を増やして、ストレスも和らげる

腸内善玉菌の(注1)「プロバイオティクス」を増やすオリゴ糖や食物繊維などを食べ物に取り入れる(注2)「プレバイオティクス」は日本でもよく知られるようになりました。

その実践により睡眠の改善やストレスによる悪影響を緩和する可能性があると分かりました。

米国コロラド大学ボルダー校を含む研究グループが、行動/神経科学分野のオープンアクセス専門誌フロンティアーズ・イン・ビヘイビオラル・ニューロサイエンス誌で2017年1月10日に報告しました。

善玉菌の増殖は脳にも影響する可能性

プレバイオティクスは、食べ物に自然に含まれているオリゴ糖や一部の食物繊維などを取り入れて、腸内善玉菌の栄養源を増やし、腸内環境を整えるというものです。

従来の研究によると、腸内環境が整えられた時に、腸内善玉菌による代謝産物は、脳の働きにも影響を及ぼす可能性が示されています。

そこで研究グループが注目しているのが、ストレスへの影響です。

強いストレスが慢性的に続くと、睡眠周期や腸内細菌叢の異常などの健康影響を及ぼします。しかし、プレバイオティクスの多い食事は善玉菌を増やすことで腸内細菌叢に作用し、ストレスによる影響を緩和する可能性があると考えたのです。

善玉菌の増殖と代謝産物を増やす

研究グループは、生後3週齢の雄のネズミを対象に実験を進めました。

ネズミを2つのグループに分けて、一方のグループには普通のエサ、もう一方のグループにはプレバイオティクスを含むエサを与えて、脳波計や脳活動、便などの検査により、体温、腸内細菌、睡眠周期を調べました。

その結果、プレバイオティクス入りのエサを与えたラットは、普通のエサを与えたラットと比べて、安静で、より体の回復効果があると考えられているノンレム睡眠の時間が長いと分かりました。

ストレスが加わった後からの回復も

さらに、ストレス(尾の電気刺激)を加えた後の効果も調べており、プレバイオティクス入りのエサを与えたラットは、レム睡眠も長くなると分かりました。

レム睡眠はストレスからの回復を促進すると考えられており、心的外傷(トラウマ)後にレム睡眠を多く取ると、心的外傷傷後ストレス障害(PTSD)になりにくいことが証明されています。

ストレスを加えた後、普通のエサを与えたラットは腸内細菌叢の多様性が減り、体温の自然な変動が平坦になりましたが、プレバイオティクス入りのエサを与えると回復しました。

食事からの食物繊維は有益

プレバイオティクスの作用機序を解明するためにさらなる研究が必要ですが、「食事から健康的な食物繊維を取ることは明らかに有益」と研究グループは説明しています。

普段の生活でも参考になりそうです。

 

(注1)プロバイオティクス
腸内細菌叢のバランスを改善し人体に有益な作用がある生きた微生物。
また、それらを含むヨーグルトや乳酸菌飲料のこと

(注2)プレバイオティクス
食道、胃などの消化管で分解、吸収されなくプロバイオティクスの栄養源になって善玉菌を増やす食品成分

※編集部 註

参考文献

Dietary prebiotics improve sleep, buffer stress | CU Boulder Today | University of Colorado Boulder

Dietary prebiotics improve sleep, buffer impacts of stress, says study | EurekAlert! Science News

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28119579(PubMed)

http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fnbeh.2016.00240/full

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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