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悲観的な考え方だと冠動脈疾患の死亡率が高くなる。しかし楽観的でも死亡率は変わらず

悲観的な考え方だと冠動脈疾患の死亡率が高くなる。しかし楽観的でも死亡率は変わらず

フィンランドの地域住民研究のデータを分析した結果、冠動脈疾患の人は悲観的な傾向が強いと死亡リスクが高くなると分かりました。しかし、楽観的だからといって死亡リスクは低くならないそうです。フィンランドのパイヤットハメーン中央病院を含む研究グループが、公衆衛生分野のオープンアクセス医学誌BMCパブリック・ヘルス誌で2016年11月17日に報告しました。

精神医学面から見る心疾患

冠動脈疾患は、心臓を取り巻く冠動脈の内壁にコレステロールなどが沈着して血管の狭窄や閉塞が起こることで狭心症や急性心筋梗塞を発症します。

これにより死亡に至るケースが多い病気です。

冠動脈疾患の危険因子や治療法の研究は、生理学的なものが主体ですが、精神面の健康との関連性を調べる研究も増えつつあり、何でも悪い方に悪い方に考える悲観主義(ペシミズム)は、心臓の健康に悪影響を及ぼすという研究結果も出ているそうです。

「楽観性尺度(LOT)」で評価

研究グループは、フィンランドの地域住民コホートを2002年から11年間追跡した健康評価観察研究の参加者約2300人(52~76歳)のデータを用いて、悲観主義と楽観主義(オプティミズム)がそれぞれ冠動脈疾患に及ぼす影響を調べました。

参加者は研究開始時点で、悲観性と楽観性のレベルを評価する「楽観性尺度(LOT)」という検査を受けていました。

悲観性のレベルで死亡リスクに2.2倍の差

調査の結果、11年間に121人が死亡し、これらの人はLOT結果で悲観性が高いという結果を受けたが人が多いと分かりました。

また、悲観性のレベルを4つに分けた中で最も高い区分の人は、最も低い区分の人と比べて冠動脈疾患で亡くなる確率が2.2倍でした。

しかし、楽観性の高さは冠動脈疾患による死亡に影響することはなく、楽観性レベルの高低で、冠動脈疾患による死亡率の差は見られませんでした。

この研究は観察研究のため、因果関係を確立することはできませんが、悲観的な考え方も、糖尿病や高血圧と並んで、冠動脈疾患による死亡原因の独立した危険因子と考えられると、研究グループは述べています。

参考文献

http://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-016-3764-8

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27852243

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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