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魚の網膜再生メカニズム、人類に応用可能?

魚の網膜再生メカニズム、人類に応用可能?

魚には、網膜が損傷を受けても修復する能力があります。その引き金となる神経伝達物質が発見されたようです。

米国、ヴァンダービルト大学の研究グループが、ステム・セル・リポーツ誌オンライン版で2017年3月9日に発表しました。

 

網膜の再生

魚と哺乳類の網膜の構造は基本的に同じで、どちらにも「ミュラーグリア細胞」と呼ばれる特殊な成体幹細胞が含まれています。

魚の場合、網膜損傷などのきっかけがあると、このミュラーグリア細胞が目、神経、臓器などそれぞれの細胞の元となる状態に戻り、幹細胞として増殖します。その後、損傷を受けた神経細胞に置き換わるように分化することで再生が完結します。

一方、哺乳類の場合では、この脱分化が起こらず、再生は行われません。

 

幹細胞を抑制する神経伝達物質に注目

研究グループは、この脱分化が起こるメカニズムを解明するため、脳の神経伝達物質「GABA」に注目しました。別の研究で、GABAの作用である気分を落ち着かせる働きが幹細胞の活動を制御すると報告されていたためです。

研究グループは、ゼブラフィッシュを用いて実験を行ったところ、GABAの濃度を高めると、ミュラーグリア細胞の機能が低下しました。一方、GABAの濃度を下げると、脱分化と増殖が始まりました。

つまり、GABAの濃度の低下が、再生のきっかけになっていると考えられます。

これを応用して、GABA阻害剤を用いることで、人の網膜修復が可能になるかも知れません。

 

編集部註 :成体幹細胞

成体幹細胞は、生物の体内に見られる最終分化していない細胞。 細胞分裂によって増殖することにより、最終分化細胞への前駆細胞の供給源として、死んだ細胞を補充し損傷した組織を再生される機能をもつ。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Fish eyes may hold key to regenerating human retinas | Research News @ Vanderbilt | Vanderbilt University

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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