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かゆみが伝染するのはなぜ?

かゆみが伝染するのはなぜ?

他人が掻いているのを見かけると、つい自分も掻いてしまうのはなぜなのでしょうか? そのメカニズムが分かってきました。

ワシントン大学病院の研究グループが、サイエンス誌で2017年3月10日に発表しました。

 

ネズミを使った実験

他人かゆそうに掻いているのを見て、つい自分もかゆくなってしまった経験はありませんか?このようなかゆみの伝染は以前から知られていますが、理由は分かっていませんでした。

研究グループは、コンピューター画面を置いた囲いの中にネズミを放し、他のネズミが掻いているビデオを流しました。これを見たネズミは、同じように掻きはじめました。

この時、脳の視交叉上核と呼ばれる部位が活性化し、そこからガストリン放出ペプチド(GRP)と呼ばれる化学物質が放出されていました。GRPは、かゆみの伝達物質として知られています。

 

GRPの働きを確認

次に研究グループは、かゆそうと感じる脳の反応を鈍感にしたネズミを使って、同じ実験を行いました。すると、他のネズミが掻くのを見ても掻かなくなりました。しかし、かゆみを誘導する物質に触れると正常に掻く様子が見られました。

このことから、伝染しやすいかゆみに対する行動は、動物が自分の意志で制御できないものであると言えます。つまりそれは、生まれつきの行動であり、本能であると研究グループは述べています。

 

この記事を読んでかゆみを感じたあなたも、それは本能のせいなのかもしれません。

 

編集部註:視交叉上核

脳の視床下部にある非常に小さい領域で、哺乳類の体内時計を統率する役割を担っている。

約20000個の神経細胞によって、睡眠、覚醒、血圧、体温、ホルモン分泌など様々な生理機能の約24時間のリズムが作り出されている。

編集部註:ガストリン放出ペプチド(GRP)

おもに皮膚からの痒みのシグナルが神経に伝わると分泌されるたんぱく質。分泌されたGRPはGRPR(GRPの受容体)に結合し、神経伝達経路を経て脳に到達すると急性の痒みを感じる。

またガストリン放出ペプチド前駆体は肺小細胞がんの腫瘍マーカーとしても用いられる。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Brain hardwired to respond to others' itching | Washington University School of Medicine in St. Louis

 

Molecular and neural basis of contagious itch behavior in mice | Science

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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