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分子生物学の話題:たんぱく質のダンス 分子振動とは?

分子生物学の話題:たんぱく質のダンス 分子振動とは?

エネルギーより動く方向が重要

生物学の世界において、たんぱく質の振動は、そのエネルギーよりも「振り付け」が重要なようです。

イタリア・ペルージャ大学を含む研究グループが、バイオフィジカル・ジャーナル紙2017年3月号で報告しました。

 

たんぱく質のダンスフロア

たんぱく質の働きとは、

他分子(たんぱく質を含む)との相互作用を最適化するため、たんぱく質分子は常に「振動」しています。ダンスのように迅速に形を変えることで、他分子との結合を可能にしているようです。

 

ダンスの「振り付け」で反応の効率が変わる

研究グループは、「鶏卵白レゾチーム」に焦点を当てました。これは卵白中に存在するたんぱく質で、ある分子が存在すると通常の生物学的役割が阻害されると知られています。そこで、「ATM」(異方性テラヘルツ顕微鏡)といわれる新技術を用いて、阻害された場合の振動と通常の規則的な振動とを比較しました。

その結果、両者の振動エネルギーは同程度だったものの、動きの方向が違いました。

通常のレゾチームはチョウの羽のような動きをしますが、阻害されたレゾチームはハサミのような動きでした。

また、このレゾチームは突然変異によって効率が向上することがあります。そこで、突然変異後の動きを通常のレゾチームと比較したところ、同じ現象が観測できました。両者の振動エネルギーは同じだったものの、振動の方向が異なっていたのです。

この結果は既存の考えを大きく変えることになります。振動のエネルギーが同じでも、その方向によってたんぱく質の機能が変わることがわかったからです。分子振動に関する研究は、薬物開発と人工エネルギー収穫の新しい道につながる可能性を秘めています。

 

参考文献

When proteins court each other, the dance moves matter - University at Buffalo

When proteins court each other, the dance moves matter | EurekAlert! Science News

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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