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大豆を食べてきた人は、乳がんの抗がん剤「タモキシフェン」の効果が高まる可能性。ただし治療中に食べても効果は弱まる

大豆を食べてきた人は、乳がんの抗がん剤「タモキシフェン」の効果が高まる可能性。ただし治療中に食べても効果は弱まる

乳がん発症前に長期間にわたって大豆を食べていると、タモキシフェンの効果を高めて、乳がんの再発も減らせる可能性があるようです。

逆に、発症してから治療中に食べると、薬の有効性を減らしてしまう可能性もあるようです。

ジョージタウン大学のロンバルディ総合がんセンターの研究グループが、クリニカル・キャンサー・リサーチし2017年2月号で報告しました。

 

大豆に含まれるイソフラボンの一種「ゲニステイン」

今回の報告によると、2012年に世界で乳がんと診断された167万人のうち70%はエストロゲン受容体陽性乳がんとなっています(乳がんの原因遺伝子「エストロゲン受容体」とは?アメリカのボストンから【ハーバード大学医学大学院 齊藤康弘】参照)。

エストロゲン受容体陽性乳がんは、タモキシフェンという抗がん剤によって、エストロゲンによるがん増殖を抑えられます。ホルモン療法は乳がんの予防と治療に高い効果がありますが、半数の人には耐性が出てしまい、再発する場合もあります。

今回、研究グループは、大豆の摂取による抗がん剤の影響を調べています。

過去の研究から、大豆に含まれているイソフラボンの一種「ゲニステイン」がエストロゲンと構造が似ており、エストロゲン受容体を活性化すると判明しています。エストロゲンは乳がんの増殖を促しますが、アジア人種の大豆を多くとる女性は、大豆の摂取がはるかに少ない西洋の女性に比べ、5分の一、乳がんの発生割合が少ない結果となっています。

研究グループは、アジア人種で大豆がどのように保護作用につながっているかに着目しました。

 

「オートファジー」に影響する

研究グループは、ラットを使った実験により、ゲニステインの摂取の時期によって抗がん剤への影響が異なってくると突き止めました。

まず乳がん発生前に長期間にわたりゲニステインを摂取していると、がんに対する免疫力が高まるために、がんの発症や再発の予防につながるようです。

さらに、オートファジーという、がん細胞の生存メカニズムを阻害することも分かりました。このために、抗がん剤であるタモキシフェンの作用を助ける働きにつながると見られました。

逆に、乳がんを発症した後でゲニステインを取り始めても、がん細胞をなくすための抗腫瘍効果につながる免疫反応を起こすことはありませんでした。

むしろ、大豆をベースにした食事は、タモキシフェンで治療を受けている間だと、薬の有効性を抑えてしまい、再発の促進につながってくる可能性もあるようでした。

 

再発率に差が出てくる

大人になったときにゲニステインを取っていた動物は、タモキシフェンでの治療後にがんの再発を示したのは7%だった一方で、乳がんの発症後にゲニステインを取り始めたラットでは再発率が33%と高い値を示していました。

大豆にプラスとマイナスの影響がある可能性があり、注意が必要かもしれません。

 

編集部註:オートファジー

細胞が持っている、細胞内のたんぱく質を分解する仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。細胞内で、異常なたんぱく質の蓄積を防ぐ、過剰にたんぱく質合成した際など栄養環境が悪化したときにたんぱく質の再利用を行うなど、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Toward Understanding When Eating Soy Might Help or Harm In Breast Cancer Treatment | Georgetown University Medical Center | Georgetown University

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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