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「妄想性人物誤認症候群」とは? 家族がニセ者と入れ替わっていると信じ込む妄想。その原因と背景

「妄想性人物誤認症候群」とは? 家族がニセ者と入れ替わっていると信じ込む妄想。その原因と背景

「妄想性人物誤認症候群」(DMS)は、人や物や場所が他のものと入れ替わっていると信じ込む妄想を特徴とする病気です。発症することはまれですが、昔からカプグラ症候群などが知られています。

今回、脳のどの部分に問題があるのか、17人の患者が分析され、「脳梁大脳後部」の大脳皮質に損傷があることが分かりました。

 

わずか一つの対象が妄想の焦点になる病気

米国ハーバード大学のベス・イスラエル・ディコネス・メディカルセンターを中心とする研究グループが、ブレイン誌で2017年1月12日に報告しました。

妄想性人物誤認症候群(DMS)は、20世紀の初め頃から報告された一群の妄想性の障害を示す用語で、カプグラ症候群やフレゴリの錯覚などが知られています。他の精神疾患の妄想とは異なり、わずか一つの対象が妄想の焦点になるのが特徴です。

カプグラ症候群は、自分の身の周りの人が、替え玉とすり替えられていると信じ込むようになるもの。フレゴリ症候群では誰かが自分の家族や親しい人のふりをしていると思い込むようになるというものです。

 

脳のマッピングから妄想の神経基盤を探る

研究グループはまず17人のDMS患者の脳マッピングを行い、病気の起こっているのは脳のどの場所かを突き止めました。17人全員に、親密さや、エピソード記憶、進路決定、計画立案の認識に重要だと考えられている「脳梁膨大後部皮質」と呼ばれる特定の場所に接する領域に病変が見つかりました。

さらに、病変部位ネットワーク・テクニックを使いました。

そして17人のうち16人で病変の部位と機能的に接続しているのが、確信を評価することに関連する「右腹側前頭葉」に接続する部位であることを特定しました。

 

患者の家族のために

研究グループによると、自分の家族がニセ者だという妄想が起きる患者の症状に、家族は衝撃を受けてしまいます。一方で、そんな家族にとっては、妄想に名前が付いた神経学的な障害と知るだけでも助けになると説明します。

この研究により、症状が生じる原因について、理解が深まりました。

治療法を見つける重要な一歩になりそうです。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Finding the imposter: brain connectivity of lesions causing delusional misidentifications | Brain | Oxford Academic

Finding the imposter: brain connectivity of lesions causing delusional misidentifications. - PubMed - NCBI

The Man Who Mistook His Wife for an Imposter | Beth Israel Deaconess Medical Center

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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