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宇宙放射線に晒されると白血病発症リスクが高まる

宇宙放射線に晒されると白血病発症リスクが高まる

米国の研究グループが、人の幹細胞を移植したネズミを使って宇宙放射線の人体への影響について報告しました。

その報告では、宇宙放射線(宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線)に晒されると、白血病のリスクが高くなる可能性があるそうです。

ウェイク・フォレスト再生医療研究所の研究グループが、リューケミア誌2017年3月号で報告しました。

 

人による火星探査は可能か

放射線に晒されるのは、火星探査にとっては、最も危険なものの一つです。研究グループは、「太陽エネルギー粒子」(SEP)と「銀河宇宙線」(GCR)が人の「造血管細胞」に及ぼす影響を目的として研究を行いました。

造血幹細胞が形成するのは骨髄の0.1%未満ですが、これはさまざまなタイプの血液細胞を造り、体内を循環し、酸素を供給、感染から体を守り、悪性細胞を除去してくれます。

 

宇宙飛行士の造血幹細胞について研究

研究グループは健康な30歳~55歳の宇宙飛行士から造血幹細胞を取り出し、火星探査のミッションに関連する宇宙飛行士が宇宙で晒される同じタイプの放射線のプロトンと鉄イオンにさらし調査しました。

その結果、この放射線量で、造血幹細胞に相当な影響を与えることが分かりました。

このレベルの放射線に晒すと、造血幹細胞の機能がかなり低下し、全てのタイプの血液細胞を作る能力が低下すると分かりました。中には60%から80%低下したものもあったと伝えています。つまり長期間のミッション中に免疫機能が低下し、貧血症に陥る可能性もあります。

これまでの研究から、X線など高用量の放射線に晒されると、造血幹細胞に影響がある事は分かっていました。しかし、今回の研究により宇宙探査による低用量の宇宙放射線に晒されても、その影響があることがわかりました。

 

宇宙放射線による影響

研究グループは、次の実験として、ネズミに銀河宇宙線に晒された人の造血幹細胞を埋め込みました。その結果、ネズミはT細胞急性リンパ性白血病を発症し、放射線に晒されることで、白血病の発症リスクが高くなることが示されました。

 

今後の研究でさまざまなリスクが抑えられれば宇宙旅行も可能かもしれません。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Research Uncovers Potential Health Risks of Travel to Mars

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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