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パーキンソン病に腸内細菌叢が関与の可能性

パーキンソン病に腸内細菌叢が関与の可能性

パーキンソン病のマウスモデルで腸内細菌叢の変化が、脳や運動機能の異常につながることが実証され、新たな治療法の可能性があると分かりました。

 

末梢神経系の70%が腸にある

米国カリフォルニア工科大学を含む研究グループが、生命科学分野の国際誌であるセル誌2016年12月1日号で報告しました。

従来の研究報告によると、腸内細菌叢およびそのDNAの総称であるマイクロバイオームは、健康や病気に大きな影響を及ぼすことが次第に明らかになっており、肥満や癌だけでなく、自閉症やうつ病などの神経疾患との関連性が指摘されています。

研究グループによると、末梢神経系(脳・脊髄以外の神経系)を構成する全神経の70%が腸にあり、腸の神経系は迷走神経を介して中枢神経系(脳・脊髄)と直接的につながっています。

以前の研究から、パーキンソン病の人では腸内細菌叢の変化が見られると分かっています。運動障害を発症させるよりも何年も前から便秘などの消化管障害が発生している場合が多いとも分かっています。

研究グループは、パーキンソン病などの神経変性疾患の原因と考えられているαシヌクレインというたんぱく質を過剰に持つマウスを使って、腸内細菌叢がパーキンソン病に及ぼす影響を調べました。

 

無菌マウスでは運動機能が影響されない

αシヌクレイン過剰マウスの一部は、完全に無菌の環境で育てて腸内細菌叢を持たないようにし、他は通常の環境で育てて多様な細菌叢を持つようにしました。

踏み車やポール降下などの運動能力を評価するテストを行ったところ、αシヌクレイン過剰の状態は同じなのに、無菌マウスは腸内細菌叢を持つマウスより大幅に良い成績でした。

腸内細菌叢がパーキンソン病の症状に関与していることを示す結果に、研究グループは、食物繊維が分解されるときに生成される短鎖脂肪酸のアンバランスが脳内の炎症などの症状をもたらしているのではないかと考えました。

以前の研究で、この短鎖脂肪酸が脳内で免疫反応を活性化することが証明されているためです。

 

パーキンソン病の人の腸内細菌叢の移植で症状が現れる

事実、無菌マウスにこの短鎖脂肪酸を投与したところ、ミクログリアと呼ばれる脳内の免疫細胞が活性化し、無菌マウスは運動機能が低下して、脳内にαシヌクレインが蓄積しました。

最後に、健康な成人とパーキンソン病の成人の便から分離した人間の腸内細菌叢を無菌マウスに移植したところ、パーキンソン病の人から移植したマウスでは運動障害、αシヌクレイン蓄積、炎症を含むパーキンソン病の症状が現れ、便中には短鎖脂肪酸が多く認められました。健康な成人から移植したマウスでは現れませんでした。

 

治療にも影響を及ぼす可能性

パーキンソン病では脳内の変化だけでなく腸内細菌叢の変化が大きく寄与している可能性を示す今回の結果は、治療法にも大きな影響を及ぼす可能性があると研究グループは述べています。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Parkinson's Disease Linked to Microbiome | Caltech

 

Gut Microbiota Regulate Motor Deficits and Neuroinflammation in a Model of Parkinson's Disease. - PubMed - NCBI

 

http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(16)31590-2

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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