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他人の動作を見るだけでも痛みを感じる「複合性局所疼痛症候群」(CRPS): メカニズムは、活性化される脳領域が異なるため

他人の動作を見るだけでも痛みを感じる「複合性局所疼痛症候群」(CRPS): メカニズムは、活性化される脳領域が異なるため

「複合性局所疼痛症候群」(CRPS)の人では、他人の動作を見るだけでも痛みを感じることがあり、これは他人の動作を見たときに活性化する脳領域が健康な人とは異なるためと分かりました。

 

複雑な疾患で仕組みや原因は不明

フィンランドのアールト大学を含む研究グループが、米国疼痛学会(APS)の機関誌ジャーナル・オブ・ペイン誌で2016年11月12日に報告したものです。

研究グループによると、複合性局所疼痛症候群は、通常は四肢の骨折や捻挫、切り傷や打ち身、外科手術などの後に、けがが治ってからも激しい痛みが残ったり、あるいは損傷した場所以外の部位で痛みが生じたりする症状です。けがをしていなくても発生する場合があります。

症状としては、焼けるような痛みのほかに、皮膚の変色や膨張、運動障害など様々な症状が発生する複雑な疾患となっています。中枢/末梢神経系が関与していることは明らかですが、その仕組みや原因は不明で、確立された治療法もありません。

年齢にかかわらず発生し(10歳未満ではまれ)、女性に多いと分かっています。多くが時間と共に回復しますが、全く回復しない人もいます。

身体を動かすと痛みが激しくなることが多く、さらには他人が四肢を動かすところを見るだけでも痛みを感じる場合もあります。

 

脳の機能的MRI画像を撮影して分析

研究グループはこのたび、上肢CRPSの13人(女性、31〜58歳)と、性別と年齢の条件を合わせた健康な13人を対象として、他人の動きを見たときの脳内の神経活性を調べました。

手がボールを強く握るところなどの映像を見せ、脳の機能的MRI画像を撮影して分析しました。

 

脳の特定な領域での異常な活動と関係か

その結果、健康な人と比べてCRPSの人では、脳の活動が大きく異なることが分かりました。例えば、身体の特定部分(例えば手など)の運動や感覚情報を処理する部分、行動を見るときに使う部分、痛みや触覚に反応して活性化する部分、感覚情報の解釈や伝達、統合に関与する部分などです。

他人の動きを見ても痛みを感じるのは、感覚や運動機能と痛みに関して重要な脳領域で異常な神経活動が発生するためと見られています。

研究グループは、解明が進んでいないCRPSの診断や治療に役立つことを期待しています。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

http://www.aalto.fi/en/current/news/2016-11-28-002/

 

Abnormal Brain Responses to Action Observation in Complex Regional Pain Syndrome. - PubMed - NCBI

 

http://www.jpain.org/article/S1526-5900(16)30309-1/fulltext

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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