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乳がんの再発リスクが中位なら化学療法不要か?

乳がんの再発リスクが中位なら化学療法不要か?

早期乳がんで再発リスクが中位の人は化学療法不要の可能性があるようです。

米国テキサス大学の研究グループが、米国がん協会(ACS)の機関誌キャンサー誌で2017年2月15日に報告しました。

 

低スコアの人は化学療法不要の初期結果

今回の報告によると、以前は、早期(ステージI/II)乳がんでも化学療法が標準治療に含まれていましたが、近年の複数の研究から、過剰治療であったことが明らかになっているようです。

特に、早期乳がんの人で21種類の遺伝子の発現状況から再発リスクを予測できることが分かりました。

この方法を使って個人に最も適した治療法を割り当てることができるかどうかを調べる国際的な大規模試験(TAILORx)も行われています。

 

この試験から、ホルモン受容体陽性(HR+)、HER2(ヒト上皮成長因子受容体タイプ2)陰性、腋窩リンパ節陰性(LN-)で、21遺伝子再発スコア(RS)が低い(0~10)人は、化学療法を省くことができるという初期結果が2015年に発表されました。

しかし、この試験で21遺伝子再発スコアが11~25と定義されているリスク中等度の人についてはまだ結論が出ていません。

 

約1400人を平均58カ月追跡

そこで研究グループは、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで2005~11年に治療を受けたステージI/II乳がんの1424人(いずれもHR+、HER2-、LN-)を対象として、3つのグループに分けました。

それぞれ、がんの浸潤がないままで生きている割合である「浸潤性疾患のない生存(IDFS)率」、再発のないままで生きている割合である「無再発生存率」、どんな条件によらず生きている割合である「全生存率」などを調べ、特に21遺伝子再発スコアが11~25の場合に化学療法の有無について比較しました。

結果、21遺伝子再発スコアは、0~10が297人(21%)、11~25が894人(63%)、25より上が233人(16%)で、それぞれ1.7%、15%、73.4%が化学療法を受けました。

 

化学療法の有無にかかわらず生存率は同じ

平均58カ月の追跡期間で、21遺伝子再発スコアが11~25の人の5年IDFS率は化学療法の有無にかかわらず92.6%でした。

化学療法を受けなかった人では、推定IDFS率および全生存率は93%と98%で、化学療法を受けた人と同様でした。

追跡期間が比較的短かったことなどの制約があるため、今回の結果から化学療法を完全に除外することはできませんが、TAILORxの結果が出るまで、治療法について医師と患者が話し合う上でのデータになるのではないかと研究グループは述べています。

 

研究結果は、乳がんの治療に影響を及ぼしてきそうです。

(ヘルスキュア編集部)

 

 参考文献

More patients with early-stage breast cancer may be able to avoid chemotherapy in the future | MD Anderson Cancer Center

 

More patients with early-stage breast cancer may be able to avoid chemotherapy in the future | EurekAlert! Science News

 

Outcomes in patients with early-stage breast cancer who underwent a 21-gene expression assay. - PubMed - NCBI

 

Outcomes in patients with early-stage breast cancer who underwent a 21-gene expression assay - Barcenas - 2017 - Cancer - Wiley Online Library

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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