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アルコールや薬物の乱用で統合失調症の発症リスクが増加

アルコールや薬物の乱用で統合失調症の発症リスクが増加

親の物質乱用で子供の発症リスク増加という結果も

デンマークの研究グループは、300万人以上のデータに基づいて、総合失調症発症のリスクを分析しました。

その結果、「アルコール」や「薬物」の乱用歴があると「統合失調症」の発症リスクが増加すると報告しました。

デンマークのコペンハーゲン大学病院を含む研究グループが、イタリアのミラノで開催された国際早期精神病学会(IEPA)「第10回精神疾患の早期治療に関する国際会議」で2016年10月21日に報告しました。

アルコールや薬物と統合失調症の関係性に多くの議論

これまでの研究で、アルコールや大麻などの薬物と統合失調症など精神障害の発症リスクとの関係性は、多くの研究が行われています。

しかし、この研究は複数の物質の乱用など加味しなければならない要素が多いため、難しい分野であり、矛盾する研究結果が出てしまい異論も絶えません。

300万人のデータで統合失調症の発症リスクを調査

研究グループは、デンマークの全国登録から1955~99年に生まれた300万人以上のデータを使い、性別、居住地域、他の精神病診断、複数の物質乱用、両親の出身国や社会経済的状態、精神病歴などさまざまな要素について調整し、

アルコールや薬物などの乱用が統合失調症の発症リスクを増大させるかどうかを調べました。

10~15年後でもリスクは残る

その結果、何らかの薬物乱用の診断があると、統合失調症の全体的な発症リスクが6倍高まったと報告しています。

中でも、大麻(5.2倍)とアルコール(3.4倍)は最も関連性が強く、幻覚剤(1.9倍)、鎮静剤(1.7倍)、覚せい剤であるアンフェタミン(1.2倍)、他の物質(2.8倍)もリスクが増加したと分かりました。

また、薬物乱用の診断後から10~15年経っても、リスクの増加が見られました。

結局、どのような薬物乱用でも統合失調症の発症リスクを増加させる結果でした。

さらに、統合失調症の傾向がある人が薬物乱用に陥りやすいとも、両方同時になる可能性もあり、因果関係が確立できませんでした。

大麻は子供の出生後でもリスク増加

デンマークの研究グループは、同じデータを用いて、親の物質乱用が子供の統合失調症発症リスクに関連するかも調べました。

両親の大麻乱用は、診断が子供の出生の前でも後でも、子供の統合失調症リスクを増大させ、母親の使用では約6倍、父親では約5.5倍と高める影響があると分かりました。

報告によるとアルコールの乱用は、診断が子供の出生前であれば母親では5.6倍、父親では4.4倍とリスク増加につながっていましたが、出生後の診断ではそれぞれ1.9倍、1.8倍と減少しました。

この差に関して研究グループは、大麻では副流煙があるため、出生後でも影響が続くと思われると伝えています。

因果関係には不明点も

今回の調査ではやはり因果関係は確立できませんでした。しかし早期介入と治療の成功のためには、統合失調症と物質乱用との関連性を解明し、高リスクの人を識別することが重要と思われます。

日本では、大麻の使用は認められていませんが、アルコールの過剰摂取などは気を付けた方が良さそうです。

参考文献

http://curis.ku.dk/ws/files/156410996/Asymmetric_dimethylarginine_in_somatically_healthy_schizophrenia_patients_treated_with_atypical_antipsychotics.pdf

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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