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子どものメタボ対策には短時間の激しい運動が効果的?

子どものメタボ対策には短時間の激しい運動が効果的?

胴回りと血中インスリン濃度を下げて心臓、代謝関連のリスクを減らす

国際的なデータを分析した研究の結果、胴回りが太めで血中インスリン濃度が高い子どもでは、軽い運動より短時間の激しい運動のほうが、心臓・代謝関連のリスクを減らす可能性があるようです。

米国ウェイク・フォレスト大学医学大学院を含む研究グループが、米国スポーツ医学会の機関誌メディシン・アンド・サイエンス・イン・スポーツ・アンド・エクササイズ誌で2017年3月8日に報告しました。

 

加速度計の装着による研究データを使用

運動が若者の心臓、代謝などに恩恵をもたらすことは知られていますが、激しい運動に限定した効果は分かっていませんでした。

研究グループは、加速度計を使用して子どもの運動を評価した各国の研究に基づくデータベース(ICAD)から、米国、ブラジル、欧州の11研究(4~18歳の合計約1万1600人)のデータを解析しました。

そして、心臓、代謝関連の測定バイオマーカー(胴回り、収縮/拡張期血圧、血中のHDL/LDLコレステロール、中性脂肪、ブドウ糖、インスリンなどの測定値)と激しい運動との関連性を調べました。

 

他のバイオマーカーとの関連性は一貫せず

その結果、各バイオマーカーと激しい運動の関係のうち、統計的に確実な関連性が見られたのは32組で、全て胴回りと血中インスリン濃度の低下に関連するものでした。

得られたデータから、長時間の軽い運動の代わりに短時間の激しい運動を行うと、中程度の運動や座っている時間の低減よりも、心臓、代謝関連の恩恵がある可能性があります。

しかし、激しい運動は2つのバイオマーカーとしか関連していなかったため、通常の運動と比べて、本当に意味のある恩恵は限定的になりそうです。

 

今後、食事や遺伝子データなどを加えてさらなる研究を行うことで、運動の強度と心臓、代謝との関連性が明らかになるかもしれません。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

A Little Vigorous Exercise May Help Boost Kids’ Cardiometabolic Health

 

Associations of Vigorous-intensity Physical Activity with Biomarkers in Youth. - PubMed - NCBI

 

Associations of Vigorous-intensity Physical Activity with Bi... : Medicine & Science in Sports & Exercise

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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気軽なセックスを好む青少年はセクハラの加害者/被害者になりやすい

気軽なセックスを好む青少年はセクハラの加害者/被害者になりやすい

言葉による性的嫌がらせは男子同士が最も多い

ノルウェーの青少年を対象とした研究によると、特定の相手に限らず気軽にセックスをする、あるいは、したい傾向がある青少年は、性別を問わずセクハラの加害者/被害者になりやすいようです。また、男子から女子へのセクハラより、むしろ男子から男子へのセクハラが最も多い結果でした。

ノルウェー科学技術大学の研究グループが、人間行動の専門誌エボリューション&ヒューマン・ビヘイビア誌で2017年1月7日に報告しました。

 

様々な関係性のセクハラを調査

研究グループは、関係の長さにかかわりなく、多様な性的関係を持つ権利を擁護しています。

そのうえで、セクハラの恐れを少なくするために、背後にある心理学的メカニズムを解明する必要があると考えています。

今回は、異性愛者の高校生1,300人以上(女子57%、平均年齢およそ18歳)にアンケートを行い、様々な関係性におけるセクハラ被害者と加害者について調べました。

セクハラは侮辱的で、望まない/攻撃的な行動を実際に伴うものと定義し、青少年がよく使うジョークと見なされるものは除きました。

 

セクハラは日常的に行われている

調査の結果、対象の男女のうち60%が昨年中にセクハラを受けたと回答しました。

また、女子の30%、男子の45%が1回以上セクハラを行ったと認めています。

回答を分析したところ、ポルノの影響や性差別主義など従来考えられているセクハラ要因よりも、交友、交際関係のある相手ではなくても気軽にセックスをする傾向が強い人ほど、加害者/被害者になる可能性が高いことがわかりました。

 

男子から男子へのセクハラが最多

また、セクハラというと男子から女子へのものと思われがちですが、男子から男子、例えば、相手をゲイだと言うなど、が最も多く、次いで男子から女子で、女子から女子が最も少ない結果でした。

特に異性間のセクハラは性的関心/誘惑が動機と思われます。

 

意図せずセクハラになってしまう場合も

気軽なセックスを好む人は当然ながら性的誘惑も多く、結果的にセクハラも増えるということも考えられますが、本研究ではこの仮説はまだ検証されていません。

また、被害者側にも原因があるとして責めるものでは決してないと研究グループは否定しています。

特に異性間のセクハラの調査で、被害よりも加害の報告が少なかった点に関し、青少年は性的な関心の示し方が未熟であるからのようです。

意図せず嫌がらせになってしまう場合も多いのではないかと研究グループは指摘しています。

この点において、学校での性教育による介入が効果的かもしれません。

よく考えられた脚本で生徒がロールプレイング(役割演技)をすることで、青少年の認識を高められる可能性が指摘されています。

 

交友、交際年数に関わらず、性的言動には注意したいところです。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

A preference for casual sex increases risk of harassment - Geminiresearchnews.com

 

http://www.ehbonline.org/article/S1090-5138(17)30001-6/abstract

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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魚の網膜再生メカニズム、人類に応用可能?

魚の網膜再生メカニズム、人類に応用可能?

魚には、網膜が損傷を受けても修復する能力があります。その引き金となる神経伝達物質が発見されたようです。

米国、ヴァンダービルト大学の研究グループが、ステム・セル・リポーツ誌オンライン版で2017年3月9日に発表しました。

 

網膜の再生

魚と哺乳類の網膜の構造は基本的に同じで、どちらにも「ミュラーグリア細胞」と呼ばれる特殊な成体幹細胞が含まれています。

魚の場合、網膜損傷などのきっかけがあると、このミュラーグリア細胞が目、神経、臓器などそれぞれの細胞の元となる状態に戻り、幹細胞として増殖します。その後、損傷を受けた神経細胞に置き換わるように分化することで再生が完結します。

一方、哺乳類の場合では、この脱分化が起こらず、再生は行われません。

 

幹細胞を抑制する神経伝達物質に注目

研究グループは、この脱分化が起こるメカニズムを解明するため、脳の神経伝達物質「GABA」に注目しました。別の研究で、GABAの作用である気分を落ち着かせる働きが幹細胞の活動を制御すると報告されていたためです。

研究グループは、ゼブラフィッシュを用いて実験を行ったところ、GABAの濃度を高めると、ミュラーグリア細胞の機能が低下しました。一方、GABAの濃度を下げると、脱分化と増殖が始まりました。

つまり、GABAの濃度の低下が、再生のきっかけになっていると考えられます。

これを応用して、GABA阻害剤を用いることで、人の網膜修復が可能になるかも知れません。

 

編集部註 :成体幹細胞

成体幹細胞は、生物の体内に見られる最終分化していない細胞。 細胞分裂によって増殖することにより、最終分化細胞への前駆細胞の供給源として、死んだ細胞を補充し損傷した組織を再生される機能をもつ。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Fish eyes may hold key to regenerating human retinas | Research News @ Vanderbilt | Vanderbilt University

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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かゆみが伝染するのはなぜ?

かゆみが伝染するのはなぜ?

他人が掻いているのを見かけると、つい自分も掻いてしまうのはなぜなのでしょうか? そのメカニズムが分かってきました。

ワシントン大学病院の研究グループが、サイエンス誌で2017年3月10日に発表しました。

 

ネズミを使った実験

他人かゆそうに掻いているのを見て、つい自分もかゆくなってしまった経験はありませんか?このようなかゆみの伝染は以前から知られていますが、理由は分かっていませんでした。

研究グループは、コンピューター画面を置いた囲いの中にネズミを放し、他のネズミが掻いているビデオを流しました。これを見たネズミは、同じように掻きはじめました。

この時、脳の視交叉上核と呼ばれる部位が活性化し、そこからガストリン放出ペプチド(GRP)と呼ばれる化学物質が放出されていました。GRPは、かゆみの伝達物質として知られています。

 

GRPの働きを確認

次に研究グループは、かゆそうと感じる脳の反応を鈍感にしたネズミを使って、同じ実験を行いました。すると、他のネズミが掻くのを見ても掻かなくなりました。しかし、かゆみを誘導する物質に触れると正常に掻く様子が見られました。

このことから、伝染しやすいかゆみに対する行動は、動物が自分の意志で制御できないものであると言えます。つまりそれは、生まれつきの行動であり、本能であると研究グループは述べています。

 

この記事を読んでかゆみを感じたあなたも、それは本能のせいなのかもしれません。

 

編集部註:視交叉上核

脳の視床下部にある非常に小さい領域で、哺乳類の体内時計を統率する役割を担っている。

約20000個の神経細胞によって、睡眠、覚醒、血圧、体温、ホルモン分泌など様々な生理機能の約24時間のリズムが作り出されている。

編集部註:ガストリン放出ペプチド(GRP)

おもに皮膚からの痒みのシグナルが神経に伝わると分泌されるたんぱく質。分泌されたGRPはGRPR(GRPの受容体)に結合し、神経伝達経路を経て脳に到達すると急性の痒みを感じる。

またガストリン放出ペプチド前駆体は肺小細胞がんの腫瘍マーカーとしても用いられる。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Brain hardwired to respond to others' itching | Washington University School of Medicine in St. Louis

 

Molecular and neural basis of contagious itch behavior in mice | Science

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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信じる患者は救われる? 医師への信頼が患者の幸福度に影響

信じる患者は救われる? 医師への信頼が患者の幸福度に影響

患者が医療従事者を信頼しているほど、満足度やQOL(生活の質)が高まるようです。

スイス、バーゼル大学の研究グループが、プロス・ワン誌で2017年2月7日に発表しました。

 

健康にプラスの影響

研究グループは、治療時に患者が感じる医療従事者への信頼と患者の健康の関係を調べたヨーロッパやアジア、北アメリカ、オーストラリアの47の研究結果を用いて、統合的に分析を行いました。患者3万4000人以上のデータが対象です。

その結果、医療従事者への信頼によって、患者の満足度、健康関連の行動、生活の質が改善することが分かりました。

 

信頼関係の構築が鍵

この研究結果は、医療現場における信頼関係の重要性を物語っています。

「臨床教育と診療の現場において、信頼を育て、そして守ることの必要性が再確認されました」と研究グループは述べています。

 

信頼できる医師を見つけることが、健康を向上するための秘訣のようです。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

People who Trust Their Doctor Tend to Feel Better | University of Basel

 

Trust in the health care professional and health outcome: A meta-analysis

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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乳幼児への大気汚染の影響は朝がピーク

乳幼児への大気汚染の影響は朝がピーク

ベビーカーの赤ん坊は、朝のラッシュ時の外出を控えたほうがよさそうです。

英国サリー大学の研究グループが、エンバイランメンタル・ポリューション誌オンライン版で2017年3月6日に発表しました。

 

大気汚染が乳幼児に与える影響

WHOによると、毎年世界中で5歳以下の子供57万人が、肺炎のような呼吸器感染症で死亡しているそうです。その原因は、屋内外の大気汚染や受動喫煙と言われています。

そこで研究グループは、都市部に住む乳幼児がベビーカーで外出する際にさらされる有害化学物質を計測しました。

 

交差点とバス停で高レベル

その結果、交差点とバス停は、粗粒子(PM2.5-10)と微粒子(PM2.5未満)の両方のレベルが高く、ホットスポットになっていることを確認しました。  

また、朝のピーク時は交通量が多く、夕方より多くの小型粒子が見られました。

外出する際の対策として、特に交差点のような汚染のホットスポットで、ベビーカー内の子供と排気ガスの間にバリアーを設けることが考えられます。ベビーカーにカバーを付けるのが現実的な選択と言えるでしょう。

 

近い将来、ベビーカー用の空気清浄機が登場するかもしれません。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

New research finds infants are more exposed to harmful pollution on the way to school than on the way home | University of Surrey - Guildford

 

Exposure of in-pram babies to airborne particles during morning drop-in and afternoon pick-up of school children

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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短期的なダイエットには低脂肪食より低炭水化物食の方がやや効果的

短期的なダイエットには低脂肪食より低炭水化物食の方がやや効果的

低炭水化物食は短期的に血圧、血糖、コレステロールに悪影響を及ぼすことなく、低脂肪食より若干多く減量できる可能性があると分かりました。

しかし、長期的なデータは非常に少ないため注意を要するそうです。

米国メイヨー・クリニックの研究グループが、米国オステオパシー協会(AOA)が発行するジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・オステオパシー・アソシエーション誌で2016年12月1日に報告しました。

 

炭水化物の制限に大きなバラツキ

研究グループは、2005~16年に発表された研究から、低炭水化物ダイエットの効果と安全性を調べた比較試験とメタ解析、系統的レビューのデータを分析しました。

その結果、低炭水化物食は他のダイエットに比べて、血圧、血糖、コレステロールに対する悪影響なしに減量に効果があるようです。

低炭水化物食の減量効果を調べた比較試験41件の分析では、低脂肪食に比べて約1~4 kg減量につながりました。

しかし、6カ月後以降の減量効果は、低炭水化物食と低脂肪食で同様になるようです。                          

また、炭水化物の制限には大きなバラツキがあり、1日のカロリーに占める割合は4~46%の範囲になります。

 

食肉加工食品はなるべく控える

しかし、低炭水化物食は大きく喧伝されている割には文献が非常に少なく、特に長期的な安全性と効果に関するデータはごくわずかであることに注意する必要があると研究グループは述べています。

また、炭水化物を減らすと肉の量が増える傾向があり、がんを含む他の病気リスクの増加につながります。

また、大部分の研究は低脂肪食のたんぱく質と脂肪の質を報告していなかったため、肉類の過度の摂取が及ぼす影響に関しては不明ですが、どのようなダイエットでも、ハムやベーコンなどの食肉加工食品はなるべく控えるように助言しています。

 

情報は不足しているが糖尿病予防には有効

研究に使用した文献には、減った体重が脂肪なのか筋肉なのか水分なのかといった情報がありませんでした。

また、多くの研究が食べたものを思い出してもらう方法を取っていたためにバイアスの懸念がある点など、様々な制限があります。

血糖値の低減や糖尿病予防を目指す人には、低炭水化物食は有効と思われると研究グループは述べています。

(ヘルスキュア編集部)

 

参考文献

Low-carb diets slightly more effective than low-fat, JAOA research finds – The DO

 

Are Low-Carbohydrate Diets Safe and Effective? - PubMed - NCBI

 

Are Low-Carbohydrate Diets Safe and Effective? | The Journal of the American Osteopathic Association

 

板東 浩

監修:板東 浩 氏
医学博士 / 内科

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