体が冷える

末梢神経の血行不良が原因となり、手足の先や身体の表面などの冷えを常に自覚している状態のことです。

女性に多く見られ、血行障害がもとで肩こりや腰痛、肌荒れなどが起こる場合もあります。

主な疾患と原因(クリックで各詳細へ)

【疾患】

貧血 低血圧症 更年期障害 閉塞性動脈硬化症 急性腹膜炎 など

【原因】

食生活 自律神経の変調 きつい衣類の着用

運動不足 女性ホルモンの変調 など

【総括】

医師からの見解


「体が冷える」をともなう疾患

貧血

酸素を体内ヘ運ぶ役割を果たす赤血球やヘモグロビンの血中濃度が薄くなった状態が貧血です。医学的には、赤血球とヘモグロビンの量が男性は13g/dl、女性は11g/dl以下の状態を貧血と診断されます。

いくつか種類がある貧血のうち、鉄欠乏性貧血は、体内に酸素を運ぶヘモグロビンの合成に不可欠な鉄分の血中含有量が不足したために起こる貧血で、貧血の約7割がこのタイプといわれています。この貧血は女性の割合が高く、10人に1人が潜在的な患者といわれています。

女性の場合、鉄欠乏性貧血は、実は冷え症と密接な関係があります。血液中の鉄分不足により赤血球が正常に作られにくくなり、手足の先まで酸素を運ぶ役目を果たすヘモグロビンの働きが鈍くなるために、冷え症が起こることがあります。

女性は月経などにより、血中の鉄分量が相対的に男性よりも少ないといわれるため、貧血から冷え症になりやすいわけです。低血圧症を伴う場合はさらに冷え症になりやすく、両方の改善が冷え症の防止に必要になってきます。

貧血は全身の倦怠感や顔面蒼白、めまいや食欲不振など、さまざまな症状が表れます。日常生活に影響が出ることもありますから、日頃から注意しましょう。

病院を探す(この疾患の主な受診科目:内科)


低血圧症

低血圧症の患者さんとは、最高血圧が慢性的に100mmHg未満の状態にある人のうちで日常的に自覚症状があり、日常生活に支障のある方を指します。

医学的に低血圧状態が続いていても、症状が表れない人は全体の8~9割にも達します。つまり、低血圧症は病気というよりも体質に近いので、必ずしも治療が必要とは限りません。

全身の倦怠感や朝なかなか起きられない、肩こり、めまいなどが代表的な症状といえるでしょう。

また、手足の冷えも、低血圧症の症状のひとつです。低血圧症が冷え症の原因となる理由は、手足の先で血流が滞りやすい点にあります。血液は、心臓から動脈を通って手足などの末端に循環し、静脈から心臓に戻ってきます。低血圧症の人は、動脈血が手足に行き届きにくくなり、結果として静脈血がうっ血状態のようになるために、手足の先が冷えやすくなるのです。

手足は普通、気温が低いときに冷えやすいですが、低血圧症が原因の場合は、夏でも手足が冷えることが特徴でしょう。

病院を探す(この疾患の主な受診科目:内科/循環器科)


更年期障害

女性は更年期(50歳前後)にさしかかると、卵巣の機能が次第に低下して女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少してきます。それが原因で体や精神に不調が表れることがあります。厳密には病気ではありませんが、日常生活に支障をきたすほど症状が重い状態を、更年期障害と呼び、治療の対象となります。

症状のひとつに冷え症がありますが、同じ冷え症でも更年期障害が原因の症状には特徴があります。通常の冷え症は、手足や体が常に冷えている状態が一般的なのに対して、更年期障害が原因の場合は、体の冷えにほてりやのぼせを伴う例が多いです。また、若い頃から冷え症の女性は、更年期を迎えると冷え症がより酷くなる傾向にあるといわれています。

更年期障害の症状は他に、動悸や異常な発汗、全身の倦怠感、肩こりや頭痛などがあります。精神的な症状として、不安やゆううつ、焦燥感や不眠などが挙げられます。

病院を探す(この疾患の主な受診科目:婦人科/産婦人科)


閉塞性動脈硬化症

動脈は全身に血液を運ぶ重要な役割を果たしています。高血圧や血中のコレステロールの増加などが原因で、動脈の血管がもろくなったり、弾力を失った状態が動脈硬化です。その動脈硬化が原因で動脈の血管が狭まって、血行不良が慢性化した状態が閉塞性動脈硬化症です。

足の動脈にこの病気による血行障害が起こると、歩行中に足がしびれたり、痛んだりします。足の痛みは、休憩すると和らいで、また歩けるようになるのが、この病気の特徴です。

進行すると血行障害が原因で足の指の潰瘍や皮膚の壊死(えし)を招くときがありますから、十分に注意しましょう。また、血行不良により手足の冷えを感じるようになります。

高血圧症や糖尿病、高脂血症の人がかかりやすく、運動不足や喫煙などがリスク要因といわれています。40歳以降、特に50代以降の男性に多い血管の病気です。

病院を探す(この疾患の主な受診科目:循環器科/心臓血管外科


急性腹膜炎

腹壁と胃腸などの臓器の内側を覆う腹膜に炎症が起きた状態のことで、急性と慢性の症状があります。

急性の場合は、虫垂炎や胃・十二指腸潰瘍により臓器の壁に穴が開き、そこから胃腸の内容物が漏れ出したために感染が起こる場合が多いとされています。特に多いのが、虫垂炎で盲腸が破れ、そこから細菌が感染して炎症を起こす症状です。

女性の場合は、子宮や卵巣の炎症から腹膜炎にかかることもあるようです。

症状はかなり強く、激しい腹痛に吐き気・嘔吐を伴うことが多いです。発熱や脱水症状などが表れることもあります。症状が重い場合は全身がショック状態になってしまい、それが原因で血圧が急激に低下して、手足が急に冷えることもあります。

急性の場合は早期治療が必要なため、症状に気づいたらすぐに医療機関にかかることをお勧めします。

病院を探す(この疾患の主な受診科目:外科/消化器外科)



日常生活から考えられる原因

1.食生活

食物中のミネラルやビタミンが不足していると、人間の体は食物の摂取からエネルギーを作り出せなくなり、体温が上がらなくなって冷え症になりがちです。また、夏場などで水分を過剰に摂取すると、体内の水分過多により体が冷えることもあります。


2.自律神経の変調

人間の自律神経は、血行をコントロールすることで体温を正常値に保つ役目も果たしています。たとえばエアコンを効かせすぎると、自律神経の血行調整が妨げられて、体が必要以上に冷えることがあります。

少し暑く感じるくらいの温度調整を心がけましょう。

また、過度のストレスが原因の血行不良も、冷え症につながりがちです。


3.きつい衣類の着用

ボディにジャストフィットした衣服や下着を身につけることにより、体が締め付けられて血行が悪くなる可能性があります。それがもとで毛細血管への血液循環が妨げられて、冷え症の原因になるのです。特に女性に多い傾向が見られます。

締め付けの強い衣類は、なるべく選ばないようにしましょう。


4.運動不足

歩くという動作はふくらはぎの筋肉を収縮させ、それが血液やリンパ液を足から心臓に行き渡らせる働きをしています。日常的に歩く機会が少ないと、この血液循環が阻害されて、冷え症につながることがあります。

また、心臓の機能が弱っている場合も、血液循環が悪くなり、冷え症を招く可能性があります。


5.女性ホルモンの変調

女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れると、自律神経が正しく機能しなくなり、体温調節機能に影響して、冷え症の元になります。ホルモンのバランスは初潮や出産、閉経などの時に大きく変化するため、自律神経も影響を受けやすく、それらの時期は冷え症になるケースが多くなるとされています。



総括

~医師からの見解~

冬に外に出たときに、寒く感じたり、冷えてしまったりするのは問題ありません。

冷え性とは、慢性的に冷えを感じる場合です。体幹部も含めて寒く感じるケースと、手足など冷たくなる末梢冷え性があります。

もし冷えを感じるようであれば、生活習慣を見直すことから始めてみましょう。体温を上げるためには筋肉量とエネルギーが必要です。筋肉不足や運動不足、過度の食事制限、食生活の乱れはありませんか? 

冷えの原因としては、大きく3種類に分けられます。

体温調整を命じるはずの自律神経に乱れがあるケースとしては、女性ホルモンの乱れ、更年期障害、自律神経失調症などが考えられます。

すぐに寒いと感じるべき皮膚感覚が鈍くなってしまったケースとしては、老化やきつい下着などによる身体への締め付けなどが考えられます。

身体を温めるべき血流に問題があるケースとしては、貧血、低血圧症、閉そく性動脈硬化症などが考えられます。たばこもニコチンが血管を委縮させるため、よくありません。

どれも当てはまらない場合には、膠原病や甲状腺機能低下症などの可能性もあります。確率的には低いですが、ASO(閉塞性動脈硬化症、レイノー病、全身性エリテマトーデス(SLE)なども考えられます。


総括:菅原道仁 先生

杏林大学医学部卒業後、国立国際医療センター 脳神経外科勤務などを経て、
2000年より医療法人社団 北原脳神経外科病院勤務

脳神経外科専門医
体育協会公認スポーツドクター
坑加齢医学専門医

オールアバウト 家庭の医学 ガイド
( http://allabout.co.jp/gm/gp/102/ )




※この記事は適切な医師の監修を受け作成しております。