体が痙攣(けいれん)する

痙攣(けいれん)は、自分の意思に反して、体の筋肉が不随意筋のように収縮する現象のことです。数秒から十数秒で治まるときから、1時間以上も続く場合もあります。あまりに長時間にわたって続く場合は、脳などの病気を疑ってみるべきでしょう。


「体が痙攣(けいれん)する」をともなう疾患

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)

眼輪筋という目の周辺の筋肉が痙攣を起こし、目の自由がきかなくなる病気です。

日常生活において強い眩しさを感じたり、目を開けているのが辛いといった症状が表れます。その他、上まぶたが垂れ下がった状態のままになる眼瞼下垂(がんけんかすい)や目が乾いてしまうドライアイの症状によく似た目の乾き、瞬きの回数の増加などが起こるときもあります。進行すると、自分の意志で目が開けられない機能的な失明状態に至る危険性がありますから、十分に注意しましょう。

なお、痙攣の症状は両目に起こることが多く、左右の目で症状の進行度が異なる例も少なくないとされています。

患者については1対2から3の割合で女性に多く、40~50代になると発症率が高くなるという説もあります。

原因は特定されていませんが、精神的なストレスや疲れ目、脳の一部の機能障害、常用薬の副作用などとの関連が指摘されています。

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痙性斜頸(けいせいしゃけい)

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や僧帽筋(ぞうぼうきん)などの首周囲の筋肉に極度の緊張と収縮が起こり、首が自分の意思に関係なくねじれたり震えたり、頭の位置が不自然になったりする病気です。「頸部ジストニア」「攣縮性斜頸(れんしゅくせいしゃけい)」と呼ばれることもあります。

発症はストレスや疲労、脳性麻痺などの治療のための服薬との関連性があるといわれています。

初期症状として首の痛みや肩こりが表れ、頭が横に傾いたり、前後のどちらかに倒れたりします。これらの症状は、不安や緊張など精神的な葛藤により強くなる傾向が見られます。なお、頭が傾倒する症状は表れず、頭痛のみが起こったり、頭が動かしにくいといった症状でも、場合によっては痙性斜頸と診断されることもあります。

1万人に3人くらいの割合で発症するといわれ、日本では30~50代の男性に多いとされています。相対的にかかる確率があまり高くはない病気といえるでしょう。

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片側顔面痙攣(けいれん)

左右片側の顔面(傾向的に左側の方が多いようです)が、自分の意思と関係なくピクピクと痙攣する病気のことです。

40代以降の女性に多く見られます。

最初は片目のまぶたの周りが軽くピクピクと痙攣するくらいの症状なのですが、次第に痙攣する回数が多くなっていきます。痙攣が片側の顔全体にまで及ぶようになると、顔がつっぱって歪んだり、痙攣側の目が開けられなくなったりしますから、日常生活に支障をきたすようになるのです。

また、これらの症状は時に就寝中でも治まらなくなり、痙攣の振動が内耳に伝わって耳鳴りを招く場合もあるといいます。

原因はいくつか考えられ、ひとつは脳の奥深い部位で血管が顔面神経を圧迫することが原因といわれています。その他、高血圧や高脂血症の人は、動脈硬化を起こした場合にその血管が顔面神経を圧迫して発症することがあるとの説もあります。

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書痙(しょけい)、職業性ジストニー

ジストニー(ジストニア)は、筋肉の異常収縮の慢性化によって、まぶたや手首などが痙攣(けいれん)を起こしたり、自由がきかなくなったりする状態の総称です。

腕のジストニーは、文字を書くときの障害として表れるため、書痙ジストニーと呼ばれるのです。字を書こうとするときに腕が硬直したり、手の震えにより書けなくなったりします。字を書くとき以外に手を使っている場合には、痙攣が起こらないのが症状の特徴でしょう。

また、バイオリニストやピアニストなどの音楽家、画家、時計職人など、同じ動作を極度のを緊張下で過度に繰り返し、熟練を要する職業に起こりやすい痙攣は、職業性ジストニーと呼ばれます。この場合、腕が痙攣を起こしたり、動かなくなったりといった症状が表れます。動作を反復するたびにジストニーが悪化していく傾向にありますから、非常に厄介な病気といえるでしょう。

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チック(トゥレット症候群)

本人の意思に関係なく、突発的で不規則な体の動き(運動性チック)や発声(音声チック)を繰り返す状態のことです。

遺伝との関連性が指摘されていますが、原因はよくわかっていません。

運動性チックはまばたきの頻発やしかめ面、小刻みな首振り、肩のぴくつきなどが、しばしば表れます。音声チックの場合は、咳払いや甲高い奇声、理解不能な単語などを頻繁に発するようになるのです。

幼稚園から小学校の中学年くらいの子供に多く、5~10人に1人が発症する可能性があるといわれています。

また、運動性と音声チックの両方の症状が見られ、1年以上続く状態を「トゥレット症候群」といいます。多くは発症から1年程度で快方に向かったり治ったりするのですが、成人後も症状が残ることもあります。ただし、トゥレット症候群の発症率は1万人に4~5人くらいといわれていますから、相対的に多いわけではありません。

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三叉(さんさ)神経痛

顔の知覚神経である三叉神経は、顔のこめかみあたりで眼神経、上顎神経、下顎神経の3つに枝分かれをしています。この三叉神経の支配域に痛みが生じる病気です。

多くは顔の左右どちらか半分に起こり、洗顔や歯磨き、お化粧などをしているときに突然、激しい痛みを感じるのです。その痛みは、「電流が走ったような」、あるいは「焼け火箸で刺されたような」と表現されるほど強いものです。通常は数秒から数十秒程度で痛みが治まりますが、再発を繰り返すことがあり、数日から長いと数ヵ月も続くのが、症状の特徴といえるでしょう。

また、痛みが出たときに顔の筋肉が瞬間的に収縮し、痙攣(けいれん)に似た感覚が生じることもあります。

三叉神経が周囲の血管に圧迫されて起こるといわれ、40歳以上の患者が多く、男女比は女性の方が多い傾向にあります。

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破傷風(はしょうふう)

土や泥の中で生息している破傷風菌が傷口などから感染して発症します。日本では、体に傷があるときの土仕事や転倒による軽いけがなどから感染する例が多いようです。

1週間程度の潜伏期間を経て、破傷風菌の毒素が抑制系統の神経を侵し、首筋が突っ張る、飲食物を飲み込みにくいなどの症状が表れます。破傷風顔貌と呼ばれるひきつり笑いのような表情が出ることも、症状の特徴のひとつでしょう。

進行すると、全身痙攣(けいれん)や後弓反帳(後ろ向きに体が反る)、呼吸困難などが表れ、最悪の場合は死に至ることもあります。

患者数は現在、年間50~100人程度に減少しましたが、死亡率は約10%に達するといわれていますから、軽視や放置は危険といえるでしょう。ただし、傷口をすぐに十分に洗浄・消毒すれば、多くの場合は予防できるとされています。

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てんかん

大脳の神経細胞が一時的に異常な興奮状態となる、脳の慢性疾患のことです。症状の度合いにより、主に大発作、小発作と呼ばれる症状に分けられています。

大発作の場合は突然、意識がなくなって倒れた後、全身が突っ張ったような強い痙攣(けいれん)が数秒から十数秒ほど続きます。そして、筋肉が収縮と弛緩を交互に繰り返す痙攣状態となります。発作が起こって倒れたときに呼吸が一時的に停止し、チアノーゼ(動脈の血中の酸素濃度が低くなり、顔色や全身の皮膚の色が悪くなった状態のこと)が表れたりすることもあるのが特徴でしょう。

一方の小発作は、数秒ほど意識がとぎれて、その間は動作が止まる症状のことです。その他、腕や足、顔など体の一部が痙攣を起こす単純部分発作、数分から数十分ほど、意識がかすんで不可解な動作を繰り返す複雑部分発作などの症状が見られます。

過度の睡眠不足や飲酒、疲労、ストレス、体温の上昇などが、てんかんの誘因として考えられています。

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妊娠高血圧症候群

かつて妊娠中毒症と呼ばれていた時期とは病気の解釈が異なり、現在は「妊娠中(20週以降)、分娩後12週まで高血圧の状態で、タンパク尿が認められ、それらが妊娠の偶発的な合併症ではない症状」のことをいいます。

頭痛やめまい、吐き気や嘔吐、体のむくみなどの症状が表れ、最近は少なくなりましたが、全身の痙攣(けいれん)、時にはてんかんを起こすことがあります。この痙攣を子癇発作といい、母体や胎児の生命の危機にかかわり、治っても後遺症の可能性がある危険な症状です。

妊娠高血圧症候群は、母体から胎児への血液供給量が減少し、血液や栄養不足で胎児が発育不全を起こす危険性を伴う病気でもあります。

一説によると、確率的に妊産婦の5~10%が発症するといわれています。特に高齢出産になればなるほど発症の危険性が高まるようです。

危険因子としては高血圧症の他に糖尿病や肥満、喫煙などが挙げられるでしょう。

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脳疾患(脳腫瘍、脳梗塞)

脳の組織内に腫瘍が発生する病気が脳腫瘍です。

腫瘍ができた部位によって、痙攣(けいれん)や言語障害、頭痛や吐き気・嘔吐など、局所的な機能障害が起こるのが症状の特徴といえるでしょう。腫瘍が増大すると、てんかんや意識障害を招くこともあります。

ただ、日本での発症率は10万人に10人前後といわれていますから、相対的にそれほど多い病気ではありません。

脳梗塞は、脳の動脈が動脈硬化などの影響で細くなり、血液の塊が詰まる病気です。血栓が原因で脳組織の一部が損傷し、さまざまな症状が表れます。初期症状として、体半分の自由がきかなくなったり、ろれつが回らなくなったりします。痙攣も脳梗塞の症状のひとつで、後遺症として回復後も続くときもあります。

動脈硬化の誘因となる肥満や糖尿病、高血圧などの人は、持病の治療を欠かさないようにしましょう。

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脳炎

ウイルスが脳や脳脊髄(せきずい)に感染して炎症を起こす病気が脳炎です。主に日本脳炎と単純ヘルペス脳炎があります。

日本脳炎はワクチンの普及で患者数は激減しています。現在は1年間に約50人程度にまで減ったといわれているのです。コガタアカイエカに刺されて日本脳炎ウイルスが脳に侵入することで発症し、頭痛や腹痛、下痢、高熱などの症状に襲われます。また、手足が痙攣(けいれん)するときもあります。

単純ヘルペス脳炎は、三叉神経節などに潜伏している単純ヘルペスウイルスが神経を通じて脳に感染することで起こるとされています。風邪に似た症状から高熱や頭痛、痙攣、運動麻痺などの症状が表れます。症状が重い場合、てんかんを起こしたり、呼吸困難や飲食物がよく飲み込めなくなる嚥下(えんげ)困難を起こして生命の危機にさらされることもありますから、注意が必要です。年間の患者数は200~300人くらいといわれていますので、日本脳炎同様に日本ではそれほど多くはありません。

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日常生活から考えられる原因

1.多量の発汗

運動中に発汗量が多くなると、筋肉の収縮に必要なミネラルや水分も同時に体内から急激に失われます。この状態は極度な神経の興奮を招きやすく、主に手足の筋肉が痙攣を起こすときがあります。


2.高熱

乳幼児と呼ばれる生後5か月から5歳までの子供は、38℃以上の発熱時にひきつけと呼ばれる痙攣を起こすことがあります。この痙攣を起こす回数は、多くは一生に1回きりで、遺伝による体質が主因と見られています。


3.睡眠不足、眼精疲労

睡眠が十分でなかったり、長時間のパソコン作業やゲームなどで目が極度に疲れているときに、まぶたがピクピクと痙攣することがあります。これは一過性の軽い症状なので、原因を解消すれば自然に治りますから心配はいりません。


4.中毒の影響

一酸化炭素や鉛・水銀などの金属、シンナーやアルコールなどの有機物が体内に摂取され、中毒状態になったときに痙攣を起こすことがあります。また、解熱消炎鎮痛薬や抗生物質などの薬物服用時に、顔や手足の筋肉がピクピクする痙攣を伴うときがあります。



※この記事は適切な医師の監修を受け作成しております。