足の痙攣(けいれん)・ふるえ

自分の意思に反して、足の筋肉が不随意筋のように収縮する現象です。足の場合は、ふくらはぎの筋肉が突然痙攣して激痛が走る、「つる」という現象が知られていますが、原因はよくわかっていません。長時間にわたって続く場合は、脳などの病気が疑われるでしょう。


「足の痙攣(けいれん)・ふるえ」をともなう疾患

脳疾患(脳腫瘍、脳梗塞)

脳の組織内に腫瘍が発生する病気が脳腫瘍です。腫瘍ができた部位によって症状は異なりますが、痙攣(けいれん)や頭痛、吐き気や嘔吐、言語障害などが起こります。手足の痙攣は、感覚異常や麻痺を伴うときもあります。

ただ、日本での発症率は10万人に10人前後といわれていますから、それほど多い病気ではありません。

脳梗塞は脳の動脈が細くなり、血液の塊ができてそれが血管内で詰まる病気です。詰まった血管の先の脳組織が壊死(えし)してしまうため、さまざまな症状が表れます。

発症すると体半分の自由がきかなくなったり、ろれつが回らなくなったりします。体の痙攣も脳梗塞の症状のひとつです。何の前触れもなく手足が痙攣を起こすこともあります。

脳梗塞は動脈硬化が主因とされています。動脈硬化のリスク要因といえる肥満や糖尿病、高血圧を患っている人は、常日頃から注意が必要でしょう。

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バセドウ病(甲状腺機能亢進症)(こうじょうせんきのうこうしんしょう)

体の新陳代謝を活性化させる甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気のことです。原因は、自分の免疫が甲状腺を攻撃することだとされていますが、ストレスや遺伝、女性の場合は妊娠・出産も関係しているともいわれており、まだはっきりとしない部分もあります。

甲状腺の腫れと頻脈、眼球の突出が三大症状です。しかし、眼球が前方に突き出たような状態になるのは全体の2割から3割といわれ、一般的な病気のイメージほど多くはありません。

その他、多汗や息切れ、動悸、手足の震え、体重減少、微熱などの症状が表れます。手足の震えや多汗は、甲状腺ホルモンの過剰分泌により交感神経の緊張状態も過剰になるために起こるとされています。震えは気候や場所などに関係なく、日常的に表れるのが特徴です。

また、女性の場合は生理不順や無月経、不妊の原因になるときもあります。

症状の表れ方は個人差や年齢差があります。たとえば甲状腺の腫れは若い人に多ですが、60歳を過ぎると腫れる人が少なくなり、腫れた場合でも若い人より目立たない程度におさまる傾向が見られます。

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過換気症候群

必要以上の呼吸を繰り返すことで、体内の二酸化炭素が肺から呼吸とともに排出され、その影響で体がアルカリ性に変わるために、さまざまな障害が表れるようになった状態のことです。「過呼吸」とも呼ばれます。

息苦しさや手足のしびれが突然表れ、胸痛や頭痛、動悸を伴うときがあります。症状が強いときはまれに意識混濁、手足の指先や口の周囲の痙攣(けいれん)を起こし、さらには意識消失につながることもあります。

発作は長くても10分程度で治まることが多いとされています。しかし、中には発作が繰り返し起こる場合もありますから、注意しましょう。

心身の過剰なストレスや緊張、強い不安などが原因といわれています。ストレスが原因の場合、発作が新たなストレスを生み、不安を助長してまた発作が起こるという悪循環に陥ってしまう場合もあります。

傾向的に20代の女性に多いといわれている病気です。

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パニック障害

ある日突然、激しい動悸や頻脈、息苦しさや呼吸困難、手足の震えやしびれ、冷や汗めまいなどが起こります。検査しても身体的な異常は認められず、その発作を繰り返す病気がパニック障害です。

飛行機や電車、自動車などの乗り物に乗っているとき、あるいは極度の緊張下に置かれたときなどに、急に強い不安に襲われてパニック状態になってしまうのです。

症状として多いとされているのが手足の震えです。震えが起こると、自分の意思では抑えられません。時に全身が痙攣(けいれん)を起こすこともあります。

パニックの発作自体は通常、数十分から1時間以内に治まります。しかし、再発への強い恐怖や不安が生まれるようになり、発作を起こした場所や、人の多い公衆の場を避けるようになります。その行動が悪化すると自閉症になり、うつ病を招くこともあります。

身体的な緊張の持続とそれによる筋肉の硬直が主な原因と見られています。女性患者は男性の約3倍といわれ、20~30代の女性に多いとされています。原因は解明されていませんが、カフェインなどの興奮物質や乳酸などの疲労物質との関連性も指摘されています。

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てんかん

大脳の神経細胞が一時的に異常な興奮状態となる疾患です。

大発作の場合は突然、意識がなくなって倒れた後、全身が突っ張ったような強い全身硬直が数秒から十数秒ほど続き、手足も小刻みな痙攣(けいれん)を起こすことがあります。その後、筋肉が収縮と弛緩を交互に繰り返す痙攣に移ることが多いです。また、発作が起こって倒れたときに呼吸が一時的に停止してしまい、チアノーゼ(動脈の血中の酸素濃度が低くなり、顔色や全身の皮膚の色が悪くなった状態のこと)が起こるときもあります。

小発作とは、数秒ほど意識がとぎれて、その間は体の動作が止まる症状のことです。その他、腕や足、顔など体の一部が痙攣を起こす単純部分発作、数分から数十分ほど、意識がかすんで不可解な動作を繰り返す複雑部分発作などが症状として挙げられるでしょう。

危険因子としては、過度の睡眠不足や飲酒、疲労、ストレス、急激な体温の上昇などが考えられています。

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妊娠高血圧症候群

以前、妊娠中毒症と呼ばれていた時期とは病気の解釈が変わり、現在は「妊娠中(20週以降)に高血圧の状態で、タンパク尿が認められ、それらが妊娠の偶発的な合併症ではない症状」が妊娠高血圧症候群です。

主な症状として、体のむくみ、頭痛やめまい、吐き気や嘔吐などが表れます。最近は滅多に見られなくなりましたが、全身の痙攣(けいれん)や時にてんかんを起こすことがあります。この痙攣を「子癇発作」と呼ばれます。母体や胎児の生命の危機にかかわり、治っても後遺症が残る可能性がある危険な症状です。

なお、子癇発作が起こる確率は、2000~3000分娩に1例くらいという説があります。また、妊娠高血圧症候群は妊産婦の5~10%が発症するとの説もあります。

高血圧や糖尿病、肥満や喫煙習慣がリスク要因といわれます。また、慢性的な睡眠不足や疲労蓄積なども一因と考えられています。

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破傷風(はしょうふう)

土や泥の中で生息している破傷風菌が傷口から体内に入り込んで発症する感染症です。

1週間程度の潜伏期間を経て、破傷風菌の毒素が中枢神経系の神経を侵し、全身に硬直性の痙攣(けいれん)が表れます。最初に痙攣により、口を開けにくくなることが多いです。また、顔面が硬直・痙攣すると表情がひきつり笑いのようになります。これは破傷風顔貌と呼ばれる症状で、痛みを伴います。

痙攣は首から胸、手足に移っていく場合もあります。また、背中に痛みを伴う痙攣が生じることもあります。

さらに進行すると後弓反帳(後ろ向きに体が反る)、呼吸困難などが表れ、最悪の場合は死に至る可能性もあります。

日本では体に傷がある状態での土仕事や、転倒などによる軽いけがから感染する例が多いとされています。患者数は現在、年間50~100人程度に減少しましたが、死亡率は約10%に達するだけに要注意の病気といえるでしょう。

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脳炎

ウイルスが脳や脳脊髄(せきずい)に感染して炎症を起こす病気が脳炎です。

日本脳炎は、コガタアカイエカに刺されて日本脳炎ウイルスが脳に侵入することで発症します。頭痛や腹痛、下痢、高熱などの症状に襲われます。また、手足が痙攣(けいれん)するときもあります。子供がかかると後遺症として健忘症が表れるときがありますから、注意しましょう。日本ではワクチンの普及で患者数が激減し、現在は1年間に約50人程度にまで減ったといわれています。

単純ヘルペス脳炎は、三叉(さんさ)神経節などに潜伏している単純ヘルペスウイルスが、それらの神経から脳に感染することで起こります。初期には風邪によく似た症状が起こり、進行すると高熱や痙攣(けいれん)、運動麻痺などが表れます。症状が重い場合、てんかんや呼吸困難、飲食物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)困難を起こし、場合によっては生命の危機にさらされることもあります。しかし年間の患者数は現在、200~300人程度とされており、現代の日本ではまれな病気といえるでしょう。

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日常生活から考えられる原因

1.多量の発汗 

運動中に発汗量が多くなると、筋肉の収縮に必要なミネラルや水分も同時に体内から急激に失われます。この状態は極度な神経の興奮を招きやすく、それが原因で手足の筋肉が痙攣するときがあります。


2.加齢、筋肉疲労 

人間の筋肉は20代をピークに、徐々に低下していきます。衰えた筋肉を使いすぎると、乳酸などの疲労物質が筋肉に蓄積しやすくなり、痙攣の原因になるときがあります。特に夜間は筋肉を動かさないために血液循環が滞りがちで、体に疲労物質がたまりやすいです。就寝中に足が痙攣を起してつるときは、多くはそれが要因と考えられています。


3.高熱 

乳幼児と呼ばれる生後5か月から5歳までの子供は、38℃以上の発熱時にひきつけと呼ばれる全身の痙攣を起こすことがあります。この痙攣を起こす回数は、多くは一生に1回きりで、遺伝による体質が主因と見られています。


4.中毒の影響 

一酸化炭素や鉛・水銀などの金属、シンナーやアルコールなどの有機物が体内に摂取され、中毒状態になったときに痙攣を起こすことがあります。また、解熱消炎鎮痛薬や抗生物質などの薬物服用時に、顔や手足の筋肉がピクピクする痙攣を伴うときがあります。



※この記事は適切な医師の監修を受け作成しております。