尿の異常

尿は通常、透明感のある淡い黄色ですが、それ以外の色の尿が排出されることです。尿の色は健康な人でも多少変化しますから、その場合は心配する必要はありません。


「尿の異常」をともなう疾患

尿路結石

腎臓から尿管、膀胱、尿道に至る尿の通り道を尿路といいます。尿路のどこかに、リン酸塩、シュウ酸塩、尿酸などが固まってできる小さな塊の結石が表れる病気が尿路結石症です。

病気のイメージとして一般的に知られている症状は、激しい腹痛でしょう。ただし、全ての場合が激痛というわけではなく、時に鈍い痛みだったりするときもあります。結石が膀胱の近くにあると頻尿や残尿感を訴え、膀胱から尿道に落ちてくると排尿時に鋭い痛みが生じるときもあります。また、結石が移動するときは血尿が見られるときもあります。その他、吐き気や嘔吐、冷や汗、顔面蒼白も症状として挙げられます。

尿路結石は生活習慣病の一つと考えられていて、食生活が大きく影響します。肉類や糖類の過剰摂取、カルシウム不足、過度の飲酒などが誘因となります。また、痛風や高尿酸血症では尿酸結石が出来やすいと言われています。

近年では、女性の20人に1人が生涯に1回は尿路結石を経験しており、特に壮年男性と閉経後の女性に多い病気です。

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腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎臓の一部である腎盂が炎症を起こした状態のことです。

先行する膀胱炎から逆行性に菌が腎盂へ到達して感染を起こすことが多いため、膀胱炎にかかりやすい成人女性で頻度が高い病気です。

女性がかかる腎盂腎炎は急性の場合が多い傾向にあります。主な症状として38℃以上の高熱や悪寒、腎臓部の痛みなどが表れます。悪寒は、震えが止まらないほど強く表れるのが、この病気の特徴といえるでしょう。尿のにごりが出るときもあります。尿のにごりは通常、白っぽいことが多いのですが、膿が尿に混じった場合は白以外に変色します。

急性腎盂腎炎の場合は、大腸菌などの細菌が主な原因です。長いと1週間くらい高熱状態が続きますが、熱が下がれば症状が急速に安定してきます。治療は入院による安静、点滴、抗菌薬の投与が必要となります。

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急性膀胱炎

膀胱炎は、特に成人女性に多い泌尿器系の病気です。男性よりも尿道が短く、膣からの分泌物で尿道口付近が湿っており、細菌が尿道から膀胱内に入りやすいことが、女性に多い理由です。

また、膀胱炎の好発年齢は性的活動期と呼ばれる20歳代前後、閉経を迎える50歳代、70歳代と3回あります。

膀胱炎の原因となる菌の多くは、自分の腸内に常在する大腸菌で、肛門周囲の皮膚に付着した細菌が尿道から膀胱に侵入して感染を起こします。

尿意を我慢し続けたり、腰を必要以上に冷やしたり、水分摂取を制限したりすると突然起こることがあります。細菌は膀胱内である程度増えても、通常は尿とともに排出されます。しかし、過労状態など体力が低下しているときは、その浄化作用がうまく働かず、膀胱炎になるときもあります。

膀胱に感染症が起こり、トイレが近くなったり、夜間に多く排尿するようになったりするほか、排尿痛や残尿感、下腹部痛などが表れます。炎症部の分泌物の尿への混入などによって、尿が白っぽくにごることもあります。

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尿道炎

尿道に侵入した菌が原因で急性の炎症を起こす病気です。主に性交渉で感染します。淋菌性と非淋菌性に分けられ、淋菌性の場合は淋菌の感染のときが多いです。非淋菌性の場合は、クラミジア菌やマイコプラズマなどが原因として挙げられます。

淋菌性の方が、膿が多く、排尿時の痛みも強いなど、症状が強いのが特徴です。排尿時に飛び上がるほどの激痛を感じます。しかし女性の場合は、膣に感染を起こすためおりものが増える程度の症状に過ぎないことが多く、感染に気づかないことも珍しくありません。

クラミジア菌の症状は比較的軽微です。尿道がむずかゆく感じたり、軽い排尿痛が起こり、膿が出ても少量で水のような印象のものが多いとされています。

女性の場合は原因菌が子宮に感染することがあり、さらに卵管や卵巣が感染すると不妊症の原因になるときもありますから、気をつけましょう。

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性器クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティス(クラミジアの一種)の性器感染により起こる性感染症です。

男女ともに感染しますが、女性の方が2~3倍ほど多く、10代から20代の若年層の感染率が高いといわれています。若者に限定すると、感染者は100人に数人という説もあるほどです。

女性の場合、初期症状は黄色のおりものが増えるくらいにすぎません。そのため見過ごしがちです。次第におりものが増加し、排尿痛や性交痛、下腹部の痛みや骨盤痛などの症状が表れます。この病気の場合、排尿痛は軽度のときが多いようです。

また、子宮からの不正出血(月経以外の性器の出血)などの症状も表れるようになります。この段階で見過ごしてしまうと、感染領域が卵巣や卵管にまで広がる可能性があります。そうなると子宮頸管炎や骨盤炎を招いて不妊症や子宮外妊娠などに至る危険性もありますから、注意が必要です。

男性の場合は白や淡い黄色の膿が少量、尿に混じることで、にごったように見えるときがあります。

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淋菌感染症

淋菌(ナイセリア)が性器に感染する性感染症のことです。

女性の場合、自覚症状が少ないために見過ごしがちです。一説によると、1割から2割の女性感染者に症状がまったく見られないとされています。症状が出た場合、初期はおりものの量が増えたり、粘っこいおりものが出たりするくらいのときが多いです。痛みも伴わないため、感染に気づかないことが少なくないのです。

進行すると、おりものの色は黄色っぽく変色していきます。また、尿道が感染すると、排尿痛や頻尿が表れるようになります。発熱などの症状が表れる場合があります。淋菌感染症が原因で子宮内膜炎を併発した場合は、膿のようなおりものや不正出血(月経以外の性器の出血)、下腹部や腰の痛みといった強い症状が表れることもあります。また、骨盤腹膜炎を併発するときもありますから、十分にご注意ください。

妊婦が感染すると、早産や流産を起こしたり、新生児への二次感染の危険性を伴います。

男性の場合は、白や淡い黄色の膿が尿に混入し、にごったように見えることがあります。

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膀胱がん、腎臓がん

腎臓がんは年間10万人あたり10人前後が発症するといわれます。男性が女性よりも3倍ほど多く、60歳以上で発症率が高くなります。腎臓がんの原因ははっきりしていませんが、リスク要因として喫煙、肥満、高血圧などが考えられています。

かつては症状として多いとされていたのが血尿でしたが、最近は検査で偶然発見されることが多くなっています。病気が進行すると、血尿、腹の張りや腹痛、食欲不振、貧血、全身の倦怠感などが表れます。

膀胱がんの発症率は10万人に20人前後とされ、60代以降の男性に多いといわれています。原因としては、とくに喫煙習慣がリスクを高めるといわれています。

膀胱がんの初期症状として、血尿が表れます。見た目で血尿とわかるほどですが、初期は尿道の痛みは伴いません。その他、排尿痛や頻尿、場合によっては背中の痛みが表れることもあります。

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日常生活から考えられる原因

1.生理現象 

起床後に初めて排尿したとき、尿の色が通常よりも濃い黄褐色をしていることがあります。これは就寝中に水分が失われて尿が濃くなったため起こる自然な現象です。

また、水分を過剰に摂取した場合は、尿の色の元となるビリルビリンという色素の濃度が低下するために、無色透明に近くなるのです。


2.栄養補助飲食物の摂取 

尿の色に、摂取したものの色素や着色料が表れることもあります。

たとえば栄養ドリンクを飲んだ後の尿は、濃い黄色になるときがあります。また、ビタミン剤を服用した場合は、オレンジ色がかった尿が排出されることがあります。


3.女性特有の現象 

女性の場合、粘液性の白い浮遊物のようなものが混じっている尿が出るときがあります。これはおりものの混入と考えられますから、心配はいりません。

また、生理中に尿に血が混じって、うっすらと赤みを帯びるときもあります。


4.塩類の過剰摂取 

リン酸、シュウ酸、炭酸、尿酸などの結合体を塩類といいます。塩類が尿中で結晶化すると尿がにごることがあります。塩類を含む食物を多く摂り過ぎると、体の中の塩類が飽和状態になり、尿中で結晶化して白くなるのです。



総括

~医師からの見解~

尿は通常、透明感のある淡い黄色です。
おりものや経血などが混じることで、色が変わることもあります。
水分が多いと色が薄くなり、少ないと濃縮されて色が濃くなります。
また、食べ物、薬、体調などでも色や匂いが変わることがあります。

尿路の感染は性交渉でうつるものもありますが、体力が落ちたときに常在菌で発症する病気もあります。

神経質になりすぎる必要はありませんが、尿の色の変化や排尿時の違和感が続くようであれば、一度病院を受診されることをお勧めいたします。

白っぽく濁った時には、腎盂腎炎や膀胱炎の可能性があります。
腎盂腎炎の場合には、高熱を伴うことが多いでしょう。
膀胱炎の場合は、頻尿、排尿痛や残尿感に悩まされる可能性が高いです。

痛みを伴わない血尿の場合は、腎臓がん、膀胱がんなど悪性の場合もあります。

排尿時に痛みがある場合は、尿路結石、膀胱炎、尿道炎、時に膀胱がんの可能性もあります。

残尿感がある場合は尿路結石、膀胱炎などが考えられます。

尿路結石になりやすい人は、結石が繰り返しできてしまうこともあります。
女性の20人に1人は生涯で1回は尿路結石を経験するといわれています。


総括:前田佳子先生
東京女子医科大学附属青山病院 泌尿器科部長
東京女子医科大学卒業卒業後、米国アルバートアインシュタイン医科大学およびイエール大学研究員を経て、2007年より東京女子医科大学附属青山病院泌尿器科部長。医学博士。

日本泌尿器科学会専門医・指導医
泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定医、産業医
(公社)日本女医会理事
?日本排尿機能学会代議員


※この記事は適切な医師の監修を受け作成しております。