しんたいひょうげんせいしょうがい身体表現性障害
身体表現性障害とは?
身体表現性障害(しんたいひょうげんせいしょうがい)は心身症(しんしんしょう)ともよばれる症状です。心身症では痛みやしびれ、めまい、嘔吐…様々な症状を見せます。しかし、検査で調べてみても肉体的には原因になるような疾患は何もみつかりません。例えば「心臓に疾患があるのではないか」と心配し悪循環を繰り返す心臓神経症も身体表現性障害の一つです。こうした症状の原因は精神的なストレスなので「吐き気がするから内臓を調べる」「しびれがあるから筋肉や末梢神経を調べる」といった検査では異常が見つからないという結果になります。
患者さんは「病院では原因がわからない」という不安によってさらにストレスを感じることになります。治療には心療内科を受診する必要があります。また心身症は精神性のストレスだけでなく、薬の効果による場合もあるので注意が必要です。
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- 目次
身体表現性障害の症状
あちこちの痛みやしびれ、めまいや頭痛、腹痛や嘔気などの消化器症状、胸痛や呼吸困難感、喉の違和感など、人によって様々な症状が出現します。
同時に複数の症状を併せ持つ場合がほとんどです。
身体表現性障害の診療科目・検査方法
身体表現性障害の原因
精神的ストレスが背景にある場合がほとんどであり、不安という感情が様々な身体的症状に姿を変えることが多いです。
身体表現性障害の予防・治療方法・治療期間
ストレスの特定と環境調整により改善が期待できます。
また、SSRI(※2)やSNRI(※3)などの抗うつ薬や、ベンゾジアゼピン系(※4)の抗不安薬により症状が緩和します。
人によって治療期間は様々です。早くても数ヶ月かかる場合が多いです。
身体表現性障害の治療経過(合併症・後遺症)
治療により症状の緩和は可能です。
身体表現性障害になりやすい年齢や性別
約72万人(2014年)の患者さんがいるとされます。
発症しやすい年齢や性差は不明です。
編集部脚注
※1 器質的疾患
器質的疾患は、一般的に「組織・臓器などに変形や破壊を伴う疾患」と説明されます。
ただし、精神疾患の文脈では「身体の病気」という意味で使われる傾向にあります。
※2 SSRI
SSRIは、「神経伝達物質の1つ―セロトニンを増やす薬」です。
正式名称は、「選択的セロトニン再取りこみ阻害薬」と言います。
セロトニンが不足した場合、「不安」「気持ちの落ちこみ」など抑うつ症状が起きるとされています。
セロトニンを増やす作用があるSSRIは、抑うつ症状の改善に用いられています。
ほかの神経伝達物質に余分な影響を与えにくいことから副作用が少なく、現在、うつ病における第一選択薬となっています。
「パロキセチン」「フルボキサミン」などの薬が知られています。
※3 SNRI
SNRIは、「神経伝達物質のうち、セロトニンとノルアドレナリンを増やす薬」です。
正式名称は、「選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取りこみ阻害薬」と言います。
セロトニンが不足すると「不安」「落ちこみ」が起こり、ノルアドレナリンが不足すると「無気力」「意欲低下」が起こると考えられています。
SNRIは、抑うつ状態における幅広い症状に有用な薬です。
SNRIとしては、「デュロキセチン」「ミルナシプラン」などの薬が知られています。
※4 ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系は、「代表的な抗不安薬の系統」です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、神経細胞の活動を抑える神経伝達物質―GABAの働きを高めます。
記憶・感情などに関与する大脳辺縁系に作用し、「抗不安作用」「鎮静・催眠作用」「抗けいれん作用」「筋弛緩(きん-しかん)作用」などをもたらします。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬としては、「ジアゼパム」「ブロマゼパム」「エチゾラム」などが知られています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴2004年 弘前大学医学部医学科卒業
茅ヶ崎徳洲会総合病院(現:茅ヶ崎徳洲会病院)にて初期臨床研修
2006年 湘南鎌倉総合病院総合内科にて後期研修
2008年 2008年度内科チーフレジデント
2009年 東京医科歯科大学医学部附属病院膠原病・
リウマチ内科に入局しリウマチ膠原病診療に従事
湘南鎌倉総合病院総合内科・リウマチ科非常勤
武蔵野赤十字病院膠原病・リウマチ内科非常勤
2011年 信愛クリニック非常勤医として勤務
2014年 東京医科歯科大学大学院博士課程修了 信愛クリニック常勤医として勤務
2016年 アカラクリニック開院
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