ふくまくえん腹膜炎

激しい腹痛が急激におこります。痛みは持続的です。

発熱や吐き気、嘔吐（おうと）などの症状も伴います。

消化器外科を受診します。

検査では血液検査、腹部CT検査をおこないます。
なかでも腹部CT検査は腹膜炎をおこしている場合に欠かせない検査です。あわせて超音波検査や腹部X線検査をおこなうことがあります。

重症の場合は緊急手術をおこなう場合もあります。

腹膜炎の原因の7～8割は胃や腸に穴があく消化管穿孔（しょうかかんせんこう）です。

消化管穿孔の原因として、虫垂炎、大腸憩室炎（だいちょうけいしつえん）、胃・十二指腸潰瘍などがあげられます。
大腸憩室炎は、「大腸の一部が、袋状になって外側に飛び出す病気」です。大腸の壁は、「粘膜」「筋層（筋肉の層）」などで構成されていますが内部に血管が通っている箇所だけ、筋層が薄くなっています。そのため、血管が通っている部位の強度が低く、便秘などで大腸内の圧力が上昇すると、血管の通っている場所が内部からの圧力に負け、一部が袋状になって外側に飛び出します。

ほかに、胆嚢炎（たんのうえん）や膵炎（すいえん）から腹膜に炎症が広がることで発症することもあります。胆嚢は肝臓の隣に位置し、肝臓でつくられる消化液である胆汁（たんじゅう）を溜めておくこ役割があります。胆汁は脂肪の消化に関与しています。

肝硬変やネフローゼ症候群の患者さんは、細菌による腹膜炎を発症することがあります。
また、がんが腹膜に広がり、進行することでがん性腹膜炎をおこすことがあります。

入院による治療が必要となります。
軽症の場合は、絶食し、抗菌薬を点滴します。

点滴しても改善しない、または重症の場合は、手術にて治療をおこないます。炎症をおこしている原因の部位を切りとるなどの治療をおこないます。あわせてお腹の中にたまっている膿などを排出するための処置もおこないます。

がん性腹膜炎に対しては抗がん剤による治療をおこなうことがあります。

多くは抗菌薬や手術などにより数週間で治療可能です。
重症度合にもよりますが、手術をおこなった場合、敗血症や他臓器不全への対策のため手術後に集中治療室に入ることがあります。
術後しばらくは絶食する必要があり、栄養管理も必要になります。

発症してから手術までの時間がかかるほど、予後は悪くなります。また、大腸の穿孔による腹膜炎の場合は、ほかの消化管穿孔よりも予後がよくない傾向にあります。

厚生労働省の2014年の患者調査年では約2000人の患者さんがいました

性差はなく、若年から高齢までおこる可能性があります。