こつばんぞうきだつ骨盤臓器脱
骨盤臓器脱とは?
骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)は、女性に起こる症状です。
膣から子宮や膀胱、直腸などが脱出してきます。
以前はそれぞれ子宮脱や膀胱瘤など別の症状とされてきましたが、現在では総称して骨盤臓器脱と呼ばれます。
脱出が起こると陰部に何かはさまったような感覚を覚えるのが特徴で、脱出した組織によって、出血や便秘など異なる症状が起こることもあります。
また出産経験者になりやすいとする調査があり、お腹に力がかかるなどが原因で起こります。
骨盤臓器脱の症状
骨盤臓器脱の診療科目・検査方法
骨盤臓器脱の原因
腹圧がかかる仕事や状況(慢性の咳、肥満)、出産・閉経・加齢により、骨盤内臓器を支持している骨盤底筋群が徐々に弛緩(しかん)し、支えを失った膀胱や子宮、直腸が腟から下がります。
骨盤臓器脱の予防・治療方法・治療期間
軽度の場合は保存的に治療をする。重度になると手術治療となります。
保存的治療には骨盤底筋体操、ペッサリー装着、サポーターなどの装着などがあります。
手術療法は子宮を摘出する経腟式子宮全摘術、メッシュを用いたTVM手術(※2)、腹腔鏡下にメッシュを用いて固定する腹腔鏡下膣(子宮)仙骨固定術、膣口を閉じる腟閉鎖術などがあります。
軽度の骨盤臓器脱は保存的治療で改善することもありますが、根治治療は手術を行います。
術式によって入院期間はやや異なりますが、約1週間前後です。
骨盤臓器脱の治療経過(合併症・後遺症)
治療は可能です。
骨盤臓器脱になりやすい年齢や性別
日本人のデータはありません。
アメリカ人女性では11.1%が80歳までにに1度は骨盤臓器脱で手術を受けるといわれています。
スウェーデンにおける骨盤臓器脱調査によると、20歳から59歳までの女性のうち、出産経験者の44%が骨盤臓器脱の症状を持っていると報告されています。閉経後の中高年女性に多いです。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 チェーン膀胱尿道造影検査
チェーン膀胱尿道造影検査は、「膀胱・尿道の形態を知るための検査」です。
尿道からカテーテル(細い管)を入れて、膀胱内に造影剤を注入します。
造影剤を入れてX線撮影することで、膀胱がはっきりと写るようになります。
また、チェーン膀胱尿道造影検査で用いるカテーテルにはチェーン(鎖)が入っています。
尿道はX線に写りませんが、チェーンははっきりと写ります。
そのため、尿道の形状を明確に知ることができます。
※2 TVM手術
TVM手術は、「メッシュで臓器を支えて、骨盤臓器脱を解消する手術」です。
骨盤内の臓器は、「骨盤底筋群」と呼ばれる組織によって支えられています。
骨盤臓器脱の原因は「支持組織である骨盤底筋群が損傷したり、弱ったりすること」です。
そこで、骨盤底筋群の代わりに、人工のメッシュで骨盤内臓器を支える方法を採ります。
TVM手術は「骨盤内にメッシュを設置する手術」ということになります。
執筆・監修ドクター
経歴1999年3月 高知医科大学医学部医学科 卒業
1999年6月 岡山大学附属病院 勤務
2000年7月 岡山中央病院泌尿器科 勤務
2006年3月 岡山大学大学院医歯学総合研究科 卒業
2006年4月 岡山大学附属病院泌尿器科 勤務
2007年4月 岡山労災病院泌尿器科 勤務
2009年4月 岡山大学病院泌尿器科 勤務
2011年4月 岡山労災病院婦人科 勤務
2013年10月 みやびウロギネクリニック 開院
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