どうみゃくかんかいぞんしょう動脈管開存症
動脈管開存症とは?
動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)は出生後、自分で呼吸を始めると自然に閉じるはずの動脈管が閉じずに開いたままになる先天性の疾患です。
胎児の時には母親から酸素が供給されるため肺を使用していません。そのため胎内では大動脈から肺動脈へ流れるようになっています。この動脈管の穴は出生後2~3週間かけて閉じていきます。しかし、この穴が閉じずに残ってしまうのが動脈管開存症です。
動脈管がふさがらなかった場合、心臓に負担がかかります。中には無症状のまま経過して、検診で発覚することもあります。その場合、特徴的な心雑音があり発見されることも多くあります。
発見されたら小児科や循環器内科を受診する必要があります。薬により動脈管が閉じることを促したり、手術を行うなどによって行われます。
動脈管開存症の症状
息切れや呼吸回数が多いなど、心不全症状を認めます。
乳児では多呼吸、頻脈、多汗、哺乳不良などがみられることもありますが、何の症状もなく、たまたま健診などで心雑音に気付かれ、検査によって見つかる場合もあります。
動脈管開存症の診療科目・検査方法
動脈管開存症の原因
胎児期の赤ちゃんでは母体から酸素を譲り受けるため、肺は使われていません。
この時期、肺動脈から大動脈への抜け道になっている血管のことを動脈管と呼びますが、出生後、自身の肺で呼吸し始めると、通常、動脈管は2~3週までに完全に閉じてしまいます。
この動脈管が自然に閉じずに残っているものを動脈管開存症と呼びますが、原因は不明です。
動脈管開存症の予防・治療方法・治療期間
呼吸状態の悪化を伴う未熟児では、まず動脈管が閉じるのを促すために、プロスタグランジン合成阻害薬(インドメタシン)を投与します。
これが無効の場合に手術が選択されますが、手術には、カテーテル手術、外科的手術があります。
症状により入院期間は異なりますが、カテーテル治療の場合は約1週間の入院が必要です。
動脈管開存症の治療経過(合併症・後遺症)
治療により根治可能です。
動脈管開存症になりやすい年齢や性別
単独の動脈管開存症の頻度は出生2千5百~5千人に1人(0.02~0.04%)です。
2:1で女性に多くみられます。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 プロスタグランジン合成阻害薬
プロスタグランジン合成阻害薬は、「痛み / 炎症 / 発熱 / 動脈管を開くなどの作用を有する物質―プロスタグランジンの合成を阻害する薬」です。
代表的なプロスタグランジン合成阻害薬としては、「インドメタシン」「イブプロフェン」があります。
プロスタグランジンを合成するのに必要な酵素―シクロオキシゲナーゼの働きを抑える薬です。
そのため、シクロオキシゲナーゼ阻害薬という呼び方をすることもあります。
いくつか存在するプロスタグランジン合成阻害薬のなかで、動脈管を収縮させる作用が強いのは「インドメタシン」です。
そのため、動脈管開存症に関する文脈で「プロスタグランジン合成阻害薬 / シクロオキシゲナーゼ阻害薬」と言った場合、インドメタシンを指していると考えてください。
※2 カテーテル手術
カテーテル手術は、「カテーテルと呼ばれる器具を用いた手術」を指します。
カテーテルは直径2mmほどの管で、「手首 / 肘 / 太もも」などの血管から動脈内に挿入します。
動脈に入ったカテーテルは血管内部を移動し、心臓周辺まで到達します。
動脈内を心臓周辺まで移動したカテーテルを用い、遠隔操作的に手術をおこなうのが「カテーテル手術」です。
胸部を切開する必要がないので、患者さんの負担を大きく軽減できます。
執筆・監修ドクター
経歴1989年 関西医科大学卒業
1989年 関西医科大学附属病院内科 研修医
1992年 関西医科大学大学院医学研究科博士課程(循環器内科学専攻)入学
1996年 同大学院博士課程単位習得
1997年 関西医科大学附属病院第二内科(助手)
2003年 有隣会 東大阪病院内科 (副院長)
2010年 じくはら医院(内科・循環器内科) 開設(院長)
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