ふみんしょう不眠症

寝つきが悪くなる入眠障害、途中で目が覚めてしまう中途覚醒、早く目が覚めてしまう早朝覚醒があります。

いずれも熟眠感に欠けるため、日中の眠気やだるさ、集中力や意欲の低下などの体の不調も伴うことが多くみられます。

心療内科を受診しましょう。

精神的なストレスや生活リズムが乱れることによって発症します。

また、「今晩も眠れないかもしれない」といった不安や焦りにより、不眠の症状にさらなる拍車がかかるようになります。

不眠となった原因の特定と除去が基本であり、睡眠環境の調整も大切です。

睡眠薬や抗精神病薬による対応も可能ですが、特にベンゾジアゼピン系の睡眠薬による耐性や依存性には注意する必要があります。

治療期間には個人差があります。

発症してから治療開始時期が早く、程度が軽いほど速やかな改善が望めます。

年齢や性別はとくに関係はありません。日本人の20%が慢性的な睡眠障害があるとされています。

※1　抗精神病薬

抗精神病薬は、「主に統合失調症の幻覚・妄想を改善する薬」です。
しかし、一部の抗精神病薬は強い鎮静作用を持っていることから、（適応外処方にはなりますが）睡眠障害に対して処方されるケースがあります。
睡眠を促す作用が強い抗精神病薬としては、「フェノチアジン系」「MARTA（多元受容体標的化抗精神病薬）」が知られています。
フェノチアジン系は定型抗精神病薬（古くから使われている薬）で、具体的な薬剤には「クロルプロマジン」「レボメプロマジン」などがあります。
一方のMARTAは非定型抗精神病薬（比較的、新しい薬）で、具体的な薬剤には「オランザピン」「クエチアピン」などがあります。

※2　ベンゾジアゼピン系

ベンゾジアゼピン系は、現在主流となっている「抗不安薬」「睡眠導入剤」の系統です。
神経細胞の働きを抑える神経伝達物質―GABAの働きを強める性質があります。
大脳辺縁系と呼ばれる「記憶・感情に関連する部位」が抑制され、「抗不安作用」「鎮静・催眠作用」「抗けいれん作用」「筋弛緩作用」が現れます。
睡眠導入剤として処方されるベンゾジアゼピン系薬剤としては、「トリアゾラム」「ゾルピデム」「ブロチゾラム」「フルニトラゼパム」などがあげられます。