いぶつにくげしゅ異物肉芽腫

美容あるいは形態の矯正目的で顔面や乳房に注入された異物（多くはフィラー※2とも呼ばれるジェル状物質）の本体または周囲が固くなり触れる状態になることです。まれに皮膚の発赤や感染による潰瘍ができことがあります。

なお、異物肉芽腫は、外傷に伴い、砂、石、木片などが入りこんだ場合も生じるため、診察上鑑別は必須です。

顔面ではCT、MRIによる画像検査をします。

乳房では単純X線撮影、マンモグラフィー、CT、MRI、超音波エコーなどを行います。必要があれば摘出して異物の成分分析します。

顔面では触知されるシコリと変形を確認します。乳房では、併せて早期乳癌の自己診断の阻害要因となります。

そのため、形成外科への受診が必要です。

異物を取り込んだ線維性組織が膜、あるいは固形状のシコリになります。

摘出には皮膚切開が必要になります。

完全摘出は異物が小分化して分散している可能性があることから、困難であることを予め納得して行います。

異物肉芽腫を摘出し、皮膚縫合した場合は約2週間です。

希望があれば摘除します。

乳房では画像で乳癌の疑いがあれば摘出、病理検査を行います。

注入を受けてから早ければ数か月、遅くとも数年でできます。

増大したり複数に増えたりすることがあります。

※1　肉芽腫 （にくがしゅ/にくげしゅ）

肉芽腫は、異物が体内に入った際に除去しようとする防衛反応によって形成されます。体内で異物が長時間分解されないため、隔離しようと異物を包囲し、増大します。肉芽腫が形成される要因は、感染症や特定の薬、炎症、外傷に伴って入り込んだ物質などによって刺激を受けることです。治療は、原因になっている異物を摘出する必要があります。肉芽腫自体は発生したからといって症状はありませんが、できる臓器によって機能が阻害される可能性があります。

肉芽腫があらゆる臓器に発生する疾患にサルコイドーシスがあります。

※2　フィラー

フィラーは、「詰め物」「充填剤」などの意味があります。美容の分野では、ボリュームをもたせ、しわの補正やハリを出すための注入剤、もしくは注入療法のことを指します。