自律神経失調症

自律神経失調症とはどういった身体の状態につけられる病名?

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

 

自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態です。
自律神経の乱れによって起こっていると考えられ、ほかの原因が見当たらない場合、心身に現れる不調を自律神経失調症と呼びます。

自律神経とは何か?

簡単に表現するなら、自律神経は「本人の意思と関係なく、自動的に身体の調子を整える神経」です。
「交感神経(=活発に動く方向に調節)」と「副交感神経(=リラックスする方向に調節)」が相互にバランスをとりながら、身体機能を調節しているわけです。

神経には、いくつかの種類が存在します。「自律神経とは何か」を詳しく説明するため、まずは神経の分類を解説します。

中枢神経中枢神経系は、大脳・小脳・脳幹・脊髄の総称です。中枢神経系のことを「脳脊髄」と呼ぶこともあります。
末梢神経自律神経交感神経自律神経系は、本人の意思ではコントロールできません。
状況に合わせて、自動的に体調を整える神経です。
交感神経は、身体を「活動する方向」「緊張する方向」「興奮する方向」に調節します。
副交感神経同じく、状況・外部からの刺激に応じて、自動的に体調を整えます。
副交感神経は、「身体を休める方向」「落ち着く方向」「リラックスする方向」に調節します。
体性神経運動神経脳からの指令(信号)を身体のあちこちに伝達する神経です。
手足を動かす命令、言葉を話す命令などは、運動神経を経由して、身体の末端に伝わります。
感覚神経身体のあちこちで受けた刺激を、脳に伝達する神経です。
脳は、「冷たい」という情報を手足から受けたり、「明るい」という情報を目から受けたりします。
脳が受け取る感覚は、感覚神経を経由してきた信号です。

自律神経系が「本人の意思と関係なく機能する」という部分を詳述します。

たとえば、右腕を動かすとき、人は自分の意思で右腕を動かします。
本人が「右腕を動かそう」と思っているわけですから、本人の意思で機能しています。
このとき、右腕を動かす信号は、体性神経系の運動神経を経由します。

一方、「緊張すると心臓の鼓動が早くなる」という出来事を想定してください。本人は「心臓の動きを早めよう」とは思っていません。
心臓は、状況に合わせて、本人の意思とは無関係に動きを早めています。これは、自律神経系の交感神経が関与しています。

自律神経とは何か?

ほかにも、体性神経と自律神経の違いを把握するのに役立つ例はたくさんあります。
寒いとき、身体を丸めるのは体性神経(=本人の意思)ですが、震えたり鳥肌が立ったりするのは自律神経(=意思と無関係)です。暑いとき、身体をあおぐのは体性神経ですが、汗をかくのは自律神経です。

自律神経失調症とは?

交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経系が適切に機能しなくなると、身体にさまざまな不調が現れます。
自律神経の乱れによって生じた「心身の不調」を総称して、自律神経失調症と呼んでいます。
そのため、一概に「メンタルの病気」とも「身体の病気」とも断定できません。

そもそも、自律神経失調症は診断名であり、病名ではありません。そもそも、「本当に自律神経のバランスが崩れているのか」を検査で確定診断できるとは限りません。自律神経失調症と診断されるのは、「自律神経が乱れたときに起こり得る症状が出ていて、ほかの原因が見つからない場合」です。

いわば、不定愁訴(ふていしゅうそ:原因不明の体調不良)に対する診断名の1つとして、自律神経失調症が存在するわけです。
しかし、「自律神経の不調」で説明がつく症状に対して、自律神経失調症と診断するのは、ある程度、合理的です。
自律神経のバランスを整える生活習慣を続けるうちに、症状が軽快することもあるからです。

以上から、自律神経失調症と診断された症状は、医学的には「抑うつ傾向」「不安障害」などメンタルの病気かもしれません。
その場合、身体の症状は精神疾患に起因する心身症(※)ということになります。

※心身症は、心理的問題に起因する身体疾患の総称です。

もちろん、本当に自律神経のバランスが崩れていて、主に身体的な症状が出る例もあります。
要するに、自律神経失調症というのは「原因が不明瞭で、メンタル・身体の両方に影響を及ぼし得る慢性的疾患」の総称です。

しかし、原因が明確でない場合、暫定的に「自律神経失調症」と診断しておくことは有益です。規則正しい生活を送り、ストレスを抑えることで「抑うつ傾向」「不安障害」が快方に向かえば、患者さんの症状は軽快します。
「症状の軽快」「悩みの解消」を第一の目的とするならば、不定愁訴における診断名はそれほど重要ではありません。

以上から、自律神経失調症の定義は「自律神経の問題だと仮定して矛盾が生じない症状に対して、暫定的に使用する診断名」となります。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。
 
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病気スコープ編集部
2017年12月28日

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